社説[コロナ「第5波」]我慢に報いる具体策を

緊急事態宣言さえ響かなくなっている、ということか。第4波の収束を見ないうちに、新型コロナウイルスの第5波が押し寄せている。
玉城デニー知事は20日の記者会見で「第5波に突入した。非常に大きな警戒感を持っている」と語り、県民に対する外出自粛と、県外からの来県自粛を呼び掛けた。
県内では20日の新規感染者が154人、21日が169人に上り、それぞれ前の週から2倍以上も増加した。
緊急事態宣言の早期解除を目指していたにもかかわらず、驚くような急速なリバウンドだ。
若年・中年層の感染が増え、感染力の強いインド由来のデルタ株への置き換わりが進んでいるのが、最近の特徴という。
ワクチンがまだ十分行き渡っていない層と、デルタ株対策は全国的な課題だが、県内の深刻さは、宣言下でも感染を抑えられなくなっていることにある。
宣言発令から既に2カ月近くがたつ。「自粛疲れ」や「コロナ慣れ」が広がっているのだ。
県内でコロナ対策に従事する医師の一人が「自粛効果を信じる行政の建前」と「自粛生活に限界がきた市中の現実」と指摘しているが、その通りだと思う。
政府のコロナ対策分科会の尾身茂会長も「人々の行動制限だけに頼るという時代は終わりつつある」と語っている。
住民の協力を前提に自粛を求める、これまでのやり方はもはや限界ということだろう。
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県は4連休が始まる、きょう22日から31日までを集中行動抑制期間と位置付け、感染対策の徹底を求める方針だ。

新たな対処方針によって、美ら海水族館や県立図書館など県関連施設を休館にするほか、那覇空港での抗原検査を開始する。
政府が実施する沖縄便搭乗者への無料PCR検査も始まっており、水際対策は強化されつつある。ただ主要空港で希望者を対象にした検査の効果は限定的だ。観光業界などは1年以上も前から実施を求めており、スピード感にも乏しかった。
これからさらに県民に我慢を強いるのだから、水際対策の実効性を高め、その我慢に報いなければならない。
長く営業時間短縮や休業要請に応じ続けてきた飲食店の協力に応えるには、支援策の拡充しかない。
県への信頼が、対策の鍵となることを忘れないでもらいたい。
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現行の緊急事態宣言は、ゴールデンウイークに多くの観光客が訪れたことが、要因の一つとなった。
このまま感染が拡大すれば、再び医療逼迫(ひっぱく)の危機が訪れる。
県は「7月に抑え込まなければ、8月上旬に大きな感染拡大が起こる」と危機感を強めている。
必要なのは「今回を最後に」という県民の強い意志と実効性のある対策だ。
4連休、夏休み、お盆と続くこの時期は、まさに危機回避の重大な局面となる。

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