五輪開会式演出の小林賢太郎が“ユダヤ人大量惨殺”ギャグで解任! 問題人選続発の背景に政権とメディアの”差別・歴史修正主義”蔓延

東京2020オリンピック競技大会公式ウェブサイトより

片桐「いいんじゃない? ちょっとやってみようか。ちょうどこういう人の形に切った紙いっぱいあるから」
小林「本当? ああー! あの“ユダヤ人大量惨殺ごっこ”やろうって言ったときのな」
片桐「そーうそうそうそうそう! トダさん怒ってたなあ」
小林「『放送できるか!』ってな」
ネットなどに流れている当該コントの内容を確認する限り、ユダヤ人大量虐殺=ホロコーストに、「ごっこ」と付けて矮小化し、何の批判もなくただ笑いにしているだけ。
SNS上では、脳科学者の茂木健一郎氏が〈コメディを、文脈から切り離してこのように取り上げることに私は断固反対。小林賢太郎さんがどのようなクリエイターか、わかっているはず。著しくフェアでない〉とツイートしたのをはじめ、お笑いのネタまで問題にするのはおかしい、という擁護論も出ているが、オリンピック・パラリンピックという大会の性格、そしてユダヤ人虐殺の歴史的な経緯を考えれば、非難され、解任されるのは当たり前だろう。
しかも、SNSでこの問題が話題になり始めたのは昨日の深夜だが、今日の未明に、ユダヤ人人権団体で、これまで日本のメディアや有名人によるユダヤ人差別や陰謀論、ナチスドイツ肯定論などに激しい抗議をしてきたことで知られるサイモン・ウィーゼンタール・センター(SWC)が以下のような抗議声明を出していた。
〈SWCは東京オリンピック開会式のディレクターによる反ユダヤ発言を非難する

2021年7月21日
サイモン・ウィーゼンタール・センターは、東京オリンピック開会式のショー・ディレクターを務めるコメディアンの小林賢太郎氏が過去に行った反ユダヤ的なジョークや、障がい者へのいじめなどを非難します。
報道によると、小林氏は1998年に、彼のコント(コメディ)のために、ナチスによる600万人のユダヤ人大虐殺をネタにしました。その際、「ユダヤ人大量惨殺ごっこやろう(=Let’s play Holocaust )」など、下劣な反ユダヤの冗談を言っていました。小林氏は、障がい者に対しても不快な冗談を言ったと報告されています。
誰であろうと、どんなにクリエイティブでも、ナチスの大虐殺の犠牲者をからかう権利はありません。ナチス政権は、障がいのあるドイツ人もまたガス室で虐殺しました。
「この人物がどんな形でも東京オリンピックに関わることは、600万人のユダヤ人の記憶を侮辱し、パラリンピックを残酷に嘲笑することになるでしょう」とSWC副所長兼グローバル・ソーシャル・アクション・ディレクターで、ラビであるアブラハム・クーパー氏は述べています(太字は原文のもの)〉
いずれにしても、今回は、あらゆる差別に反対することを憲章に掲げたというオリンピック・パラリンピックという公的で世界的な大会の開会式演出の総指揮に、明らかに国際感覚、人権意識の欠如したギャグをやっていた人間が付いていたという話なので、非難をされ、解任されるのは当たり前なのだが、驚いたのは政府や組織委の対応の素早さだ。

小山田圭吾のケースは、問題がSNSで話題になってから、一旦は留任を発表するなどし5日もかかったのに、今回は半日も経たないうちに解任の報道が出た。本サイトが調べた範囲だが、時系列で振り返ってみよう。
★21日22時25分ごろ

★同日3時10分中山防衛副大臣がサイモン・ウィーゼンタール・センターの抗議文を以下の通り掲載
〈A person no matter how creative has no right to mock the victims of the Nazi Genocide. Nazi regime also gassed people with disabilities. Any association of this person to the Tokyo Olympics would insult memory of 6million innocent Jews and make a cruel mockery of the Paralympics.〉
★同日3時56分サイモン・ウィーゼンタール・センターの公式TwitterアカウントがHPへリンクを貼るかたちで抗議声明掲載をお知らせ
〈SWC Condemns #Antisemitic Remarks by Director of Opening Ceremony of Tokyo #Olympics2021〉
これも見て注目すべきは、サイモン・ウィーゼンタール・センターが抗議声明を出す前に、中山防衛副大臣と同団体の間で連絡を取り合っていることだ。ツイートを見る限り、深夜、中山副大臣がユーザーの通報を受けてすぐにSWCに連絡して、はじめてSWCが把握したようにも見える。

中山防衛副大臣は以前、自らのTwitterにイスラエルとパレスチナの戦闘を巡って「私たちの心はイスラエルと共にある」と露骨なイスラエル寄りの投稿をして問題になったことがある。深夜に連絡を取り合ったところを見ても、SWCなどの団体と太いパイプがあるのだろう。
いずれにしても、SNSで話題になった数時間後に政府関係者が動き出した。そして、今朝から政府や組織委とサイモン・ウィーゼンタール・センターの間で対応の話し合いが進められ、早々に解任という結論を出したということのようだ。
小山田問題と段違いのこの素早い対応の背後には、ユダヤ人差別問題だったからという事情もあるはずだ。ユダヤ人差別やホロコースト正当化は、欧米や日本でも他の差別問題よりも素早く厳格な対応がなされ、メディアでは最大のタブーと言われている。SWCの厳しい抗議が展開され、スポンサー企業の世界的な不買運動にもつながりかねない。
ましてや、今回は世界中から視線が集まり、多くのグローバル企業のスポンサードを受けているオリンピックの開会式を演出指揮する人物の問題ということで、すぐに動かざるを得なかったのだろう。
そういう意味では、今回の素早い対応は、けっして組織委や政府が人権意識に目覚めたということではない。
そもそも問題はそれ以前、組織委がまたまたこういう人選をしてしまっていたということにある。佐々木宏、小山田圭吾、のぶみ、そして今回の小林賢太郎と、五輪メンバーに人権意識の欠いた差別発言が発覚したのは偶然ではない。本サイトが繰り返し指摘してきたことだが、日本のお笑いやテレビバラエティは人権意識に薄く、差別的なネタが平気で横行している。ところが、安倍政権以降、歴史修正主義と差別排外主義まるだしで、芸術文化に無教養な連中が政権に蔓延るようになった関係で、そうした人権意識や歴史認識に欠けるお笑いやテレビ、バラエティ出身、サブカルチャーの人間に公的な仕事をさせるようになった。その流れがそのままオリンピックに持ち込まれてしまったのだ。
SNSではこのゴタゴタに「日本の恥」という言葉も飛び交っているが、この五輪の状況こそが、いまの日本の政治と文化を忠実に反映していると言っていいかもしれない。

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