すでに感染済みの人は? 医師に聞いた「ワクチンの7つの疑問」

「接種券は届いているけど、2人目(の子供)が欲しいな、とも思っているので、僕たちはまだ待ちたいな、と……」
7月4日に出演した『サンデー・ジャポン』で、そう語ったのはタレント・りゅうちぇる(25)。妻・ぺこ(26)といっしょに新型コロナウイルスのワクチン接種を迷っているという。
因果関係は証明されていないものの接種後に死亡した事例も報じられており、接種を受けるべきか悩んでいる人々も少なくない。今回は2人の医師に接種にまつわる疑問に答えてもらった――。
【Q1】不妊症になるという話を聞きましたが?
「そういった話の根拠となる事実はまったくありません。昔、彗星が近づくと空気がなくなるといった話でパニックが起きましたが、同じレベルのデマだと思います」
そう語るのは、日本ワクチン学会理事で長崎大学病院の森内浩幸教授。妊婦であっても、おなかの子供には影響がないという。
「ワクチン接種や薬を飲むことで流産するというケースは、極めてまれ。すでに世界中で妊婦さんがワクチンを打っていますが、影響があったという報告はありません」
また同じくワクチン学会理事で静岡厚生病院小児科診療部長の田中敏博先生も、
「ファイザーやモデルナのワクチンは特定のタンパク質を作るための情報を細胞内に運び込むメッセンジャーRNA(mRNA)ワクチンです。mRNAワクチンは、軽度の病気にかからせて免疫をつけるという“生ワクチン”とは異なります。そのメカニズム上、胎児に影響するような状況は想定できません。逆に妊娠中だったり、これから妊娠を希望するようであれば、コロナに感染するリスクを減少させるために接種を考えたほうがよいと思います」

【Q2】持病がありますが大丈夫でしょうか?
「ワクチンを接種しないほうがいいという持病はありません。むしろ持病がある方のほうが、コロナウイルスに感染して重症化した際、命に関わるリスクが高まりますので、積極的に接種してください。
ただ接種後に、発熱したり体がだるくなったりすることはありますので、体調が悪いときの接種は避けるべきです」(森内教授)
■「子供はメリットとデメリットのバランスを考えて」
【Q3】接種の間隔期間は守らなければいけない?
ファイザー社製のワクチンは1回目から3週間後、モデルナ社製のワクチンは1回目から4週間後に接種することになっている。しかしワクチンの供給が追いついておらず、2回目のめどが立たない人が急増しているのも実情だ。
「間隔はそれほど厳密なものではありません。1回目から12~13週間後まででしたら問題はありませんので体調が悪いときには無理をしないでください」(森内教授)
【Q4】子供が受験生。接種させたほうがいい?
ファイザー社製のワクチンは12歳以上から接種可能になっている。すでに夏休みに接種を受けられるように先行予約を受け付け始めた自治体もある。
「子供の場合は感染する率が低く、感染しても多くが軽症または無症状で経過します。痛みや発熱といった副反応を覚悟してまで接種する必要性を感じにくい状況があります。接種のメリットとデメリットのバランスをよく考えて判断する必要があります」(田中先生)

「2回目の接種が終わっていない高齢者も多い状況で、子供に打つ必要はないと思います。
しかし高齢者や基礎疾患のある人など、優先すべき人たちの接種が終わり、ワクチンの供給が十分に進んだ状況になれば打ってもよいのではないでしょうか。そのころになれば、世界での子供の接種に関するデータも増えていると思います。
若い人は2回目の接種後に高熱を発することもありますので、もし受験生であれば、受験日まで余裕のあるスケジュールにすべきでしょう」(森内教授)
■すでにコロナに感染した人のワクチン接種は?
【Q5】すでにコロナに感染し、抗体もありますが?
「国内外のデータによれば、感染した人が持っている抗体の量は、ワクチンを1回接種した人の抗体と、ほぼ同じくらいのレベルなのです。ですから医学的には、すでに感染した人は、”ワクチンを1回打つ”のが正解となります。さらにもう1回接種しても問題はありませんが、あまり抗体量は増えません」(森内教授)
「国内外の研究によれば感染によりできる免疫と、ワクチン接種で獲得される免疫の種類が異なるようです。感染後に接種したという事例も増えているようですが、副反応がひどくなるという報告もありません。さらなる検討は必要ですが、状況に応じて感染者も接種を考慮してよいと思います。2回接種することのデメリットも特にはないでしょう」(田中先生)
【Q6】副反応が強いほど抗体は増えているの?
「インフルエンザワクチンでもそのように言われることがありますが、残念ながら裏付けとなるデータはありません」(田中先生)

【Q7】接種後に熱が…。市販薬は飲んでOK?
「注射の痕がひどく痛んだり、高熱が出たりするようでしたら、我慢せずに市販薬を服用してください。抗炎症作用が少ない薬を服用したほうがよいとされています。
アセトアミノフェン(カロナールやタイレノール)は、解熱作用や鎮痛作用がありますが、炎症を強く抑える薬ではないので推奨されています。しかし頻繁に使用するのでなければ、アセトアミノフェンではない解熱鎮痛剤でもそれほど心配する必要はないと思います」(森内教授)
日本でコロナワクチンの接種がスタートしてまだ半年足らずだが、今回紹介した疑問はその一部にすぎない。
「SNSや口コミの情報ですと、どうしても主観が混じりやすく、また“印象の強い”情報が流布しがちです。主治医、それが難しければ接種会場で医療者に相談することをおすすめします」(田中先生)
デマに惑わされず、正しい情報を求めていくことが大切なのだ。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする