感染リバウンド鮮明 月内の「緊急事態」解除、ほぼ絶望的な沖縄の現状

感染者1人が平均何人に感染させるかを示す沖縄本島の実効再生産数は12日からの1週間で1・31となり、拡大の傾向を示す「1」を上回った。前週の0・72から急上昇し「第5波」に伴う感染のリバウンド(再拡大)が鮮明となった。
沖縄県は、緊急事態宣言の再延長が決まった8日に「7月中で早期解除の目安に達したい」(玉城デニー知事)と掲げたが、目標達成は数値上「ほぼ絶望的」(県関係者)な状況だ。
■急上昇したデルタ株 感染拡大の要因が、主に本島中部で陽性率が急上昇したデルタ株だ。県外との接触で感染する移入例の急増が引き金とみられる。
不要不急の県をまたぐ往来自粛要請中だが、移入例は13~17日の5日間に確認できただけで19人。県内の感染者全体に占める割合は5%で、5月11~17日の大型連休後の3%を上回る高さだった。19人の内訳は県外来訪者5人、県外から戻った県民6人、県外の人と接触した県民8人。本島中部で観光業者が県外来訪者と接触し、デルタ株のクラスター(感染者集団)が起きた事例もあった。
感染経路は依然、家庭内や職場が多数だが、7月中旬以降、飲食に絡む感染が目立つ。11日から1週間の飲食関連感染は33人。県内が緊急事態宣言下に入った5月23日の週の138人よりは少ないものの、底を打った6月27日の週の14人と比べると2倍を超えた。
県によると、飲食を通じた感染から家庭内や職場で広がる事例が増え、感染者を押し上げているという。

国の指標は、20日時点で全7指標中(1)人口10万人当たりの療養者数(2)人口10万人当たりの新規感染者数(3)重症者病床占有率-の三つで、緊急事態宣言解除の目安となる「ステージ3」の数値に下がっていない。主な指標の療養者数と新規感染者数は、宣言の再延長以降、上昇に転じている。
■専門家、強い危機感 新型コロナウイルス対策を議論する20日の県専門家会議は、緊急事態宣言下でも新規感染者が急増する県内の感染状況への強い危機感を共有。那覇市松山で運転代行業者の営業自粛を求めるなど、対策強化の案が出た。ワクチン接種が進み高齢者の入院が減少傾向にあることから、40~60代の入院がメインになっているとの報告もあった。
65歳以上の感染は12日からの1週間で26人。全体の感染者が増える中、前週の44人より大幅に減った。琉球大学大学院第一内科の仲松正司委員は「70~80代の入院が多かったが、ここ数カ月は平均50~60代で年齢層が顕著に違う。非常に悪化した状態で飛び込み入院する例が目立つ」と述べた。
県立南部医療・こども医療センターの張慶哲委員も「2か月前に比べれば新型コロナが医療全体を圧迫する割合は下がったが、レジャー関連の救急の増加が気になる」と自粛要請の効果を疑問視。「宣言下で次の対策が少ない中、この勢いの感染者増加は厳しい。何か手を打たなければいけない」と述べた。
同センターの成田雅委員は「水際を押さえられていない現状が第5波の入り口をつくった」と水際対策の徹底を強調し、保健所の機能強化なども訴えた。
新委員となった県医師会の宮里善次副会長は「飲食店にこれ以上、対策を強める『北風対策』をしても効果は見込めない。客側に働き掛けるため、営業を保証した上で運転代行の営業自粛を求めるべきだ」と提案した。
店への抗原検査キットの無料配布など、飲食店従業員が匿名で検査を受けられる仕組み作りを求める意見も複数出た。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする