20代から高めておきたい投資・資産運用の目利き力 第27回 NFTが秘める可能性

「人生100年時代」と言われる現代。20代でも早いうちから資産形成を進めることが求められています。一方で、どのように投資・資産運用の目利き力を磨いていけばいいのか、悩んでいる方は多いのではないでしょうか。

この連載では、20代の頃から仮想通貨や海外不動産などに投資をし、現在はインドネシアのバリ島でデベロッパー事業を、日本では経営戦略・戦術に関するアドバイザーも行っている中島宏明氏が、投資・資産運用にまつわる知識や実体験、ノウハウ、業界で面白い取り組みをしている人をご紹介します。

今回のテーマは、「NFTが秘める可能性」。

NFTとは
NFTとは、「Non Fungible Token(ノン・ファンジブル・トークン)」のことです。『トークンにはどんな種類があるの?』でご紹介したように、ブロックチェーンはゲームの世界でも活用されていますが、ブロックチェーンを活用したゲームでは、アイテムやキャラクターをトークン化しています。これらのトークンは、NFTと呼ばれています。

「ノン・ファンジブル」とは、代替性がないという意味です。「ゲーム内で入手・取引できるレアなデジタルアイテム」ということが、NFTによって成り立ちます。もっとも、これはゲーム内だけの話ではなく、デジタルアンティークやデジタルアート、メディアアートなどリアルな世界でも成り立ちますから、最近はNFT市場で1つのツイートに高値が付いたり、デジタルアートが75億円で落札されたりしています。

ブロックチェーンによって、オンライン上で価値あるものの取引ができるようになりました。ブロックチェーンが持つ「トラストレス(信用保証が不要)」「改ざんが困難であること」「二重取引不可」「障害に強い分散型」などの特徴は、ビットコインなどの通貨以外にも、土地の登記、証券、個人認証(ID管理)、デジタルコンテンツ管理など、さまざまな領域で活用が進んでいます。

NFTもそのひとつで、NFTには、「数量を限定したデジタルコンテンツを流通できること」「1枚だけ発行されたトークンで唯一性があること」「トークンが発行者(アーティスト)と所有者をつなぐことができる(所有者を特定できる)」などの特徴があります。これらの特徴を活かすことで、二次流通の際にもアーティストが収入を得られる仕組みや、美術館が所蔵作品を貸し出して別の美術館等で企画展を行うように、NFTをレンタルすることでアーティストやNFT所有者が収入を得られる仕組みを実現することができるでしょう。

芸大や美大を卒業した多くのアーティストは、アルバイトをしながら創作活動をしたり、大学や専門学校等で教職に就きながら創作活動をしたりしています。NFTによって収入を得られるようになれば、アーティストが本当にやりたいことに集中することができるかもしれません。文化・芸術を守り発展させる上でも、NFTは大きな可能性を秘めています。

ただし、NFTはデジタルアンティークやデジタルアートそのものをトークン化しているわけではなく、トークンによって所有者を特定できるだけです。デジタルアンティークやデジタルアート自体をどう保管するか、所有者の権利をどう管理するかは、別のソリューションが必要です。

NFTビジネスの先駆者たち
2021年に入ってから注目が高まっているNFTですが、当然ながら先駆者たちが存在します。TOKYO創業ステーション 丸の内 Startup Hub Tokyoが主催した「新たなビジネスチャンスを見つける『起業家のためのNFT入門』」というオンラインイベントでは、3人の登壇者がNFTに関するミニレクチャーやパネルディスカッションを行いました。

登壇者は下記の通りです。

石田陽之氏(NFT ART&ASSETS株式会社)
元エイベックス・テクノロジーズ株式会社のブロックチェーン事業部を担当し、現在はブロックチェーン事業開発コンサルティングを行っている。
國光宏尚氏(株式会社gumi)
ブロックチェーンゲーム「My Crypto Heroes」を運営するdouble jump.tokyoと、ブロックチェーンSNS「FiNANCiE」を展開している。
福田淳氏(株式会社スピーディ)
アーティスト作品(デジタル・VRアーティストなど)をNFT化し、世界の主要なマーケットプレイス(OpenSea、Rarible、Nifty Gateway、Zora、 Super Rareなど)に提供していくクリプトアート(NFTアート)事業「Speedy CryptoArt」を展開している。

福田氏は、近著に『スイスイ生きるコロナ時代(高陵社書店)』があります。

オンラインイベントでは、石田氏がNFTと出会い、事業に発展した経緯や、仮想猫を購入、販売、収集、繁殖できるオンラインゲーム「CryptoKitties」、戦った履歴をブロックチェーンに記録し、キャラクターの個性になるオンラインゲーム「Crypto Ninja」などの具体例も紹介されました。

パネルディスカッションでは、デジタルアンティークやデジタルプレミアム、デジタル空間(デジタル不動産)などNFTが持つ可能性や、ブロックチェーンユーザーしかNFT市場にアクセスできないこと、NFTを取引する際のガス代の高さといった課題についても語られ、NFTを軸に起業を考えている人にとって有意義な機会になったのではないでしょうか。

すでに多くのNFTが売買されていますから、サザビーズやクリスティーズのようなオークションハウスで、絵画や骨とう品と同じようにNFTが取引される未来も、そう遠くありません。

また、パネルディスカッションでは、先駆者ならではの、下記のような見解も示されました。

「2009年のビットコイン誕生は、リーマンショック後だった。金融緩和の影響で、新しいものが生まれた。今のコロナも同様で、実体経済はボロボロだが株価やビットコインは上昇している。“通貨のための通貨”だったビットコインが、実体経済とリンクし始めた。これは大きい」「アーティストとNFTは親和性が高い。数量を限定してトークン保有者(例えば、ファンクラブ会員)だけにコンテンツを配信することもできる。また、二次流通利用以外では、トークンを長期保有するとインセンティブがある仕組みや、期間限定でトークンが消滅する仕組みなども活用できる」「すべてが自己責任では普及しない。セキュリティ管理は中央集権で行い、分散型と中央集権型の良いところを組み合わせていくのが良い」

ブロックチェーンユーザー(仮想通貨ユーザー)はまだまだ少ないですから、法定通貨や仮想通貨(暗号資産)、株、REIT、トークンなどがシームレスに取引・運用できるようになると、より面白い世界ができそうです。
未来を創るのは自分たち
イベントにも登壇していた國光氏は、ご自身のnoteのなかで下記のように記されています。

何かを成し遂げるために大事なことは、「誰よりも早く挑戦して、誰よりも早く失敗し、誰よりも早く復活する」こと。そして、「他人の失敗も尊重できること」に尽きます。これだけが、正解にたどり着く方法。私はそう信じているので、挑戦や失敗を恐れない人と、これから一緒にThirdverseを創っていきたいと考えています。
夢を語っているだけでは、何も起こりません。未来は予想するものではなく、自分たちで創りだすものです。

昨年から、コロナ時代における未来予測が流行っていますが、未来は予測するものではなく、共に創るもの。未来を創るのは、常にその時代を生きている人々ですからね。

未来を切り拓くとされるブロックチェーン・スマートコントラクトは、前述のとおり通貨以外にもさまざまなシーンで活用が進んでいます。

不動産取引では、REXやGA technologies。現物資産であるゴールドとの交換では、Digix DAO。保険プラットフォームでは、Etherisc。分散型取引所では、Uniswap。DeFi保険では、Opyn。将来予想では、AugurやGnosis。真贋証明では、AURA。貿易金融(オープンアカウント取引)では、Marco Polo。レンディングサービスでは、Compoundなど、領域も実に幅広い。

これまで「ブロックチェーンは、ビットコインや金融の世界の話」と思って自分事になっていなかった人も、段々と見方が変わってくるのではないでしょうか。当事者意識を持つことが、自ら未来を切り拓くことにつながっていきますね。

中島宏明 なかじまひろあき 1986年、埼玉県生まれ。2012年より、大手人材会社のアウトソーシングプロジェクトに参加。プロジェクトが軌道に乗ったことから2014年に独立し、その後は主にフリーランスとして活動中。2014年、一時インドネシア・バリ島へ移住し、その前後から仮想通貨投資、不動産投資、事業投資を始める。現在は、複数の企業で経営戦略チームの一員を務めるほか、バリ島ではアパート開発と運営を行っている。監修を担当した書籍『THE NEW MONEY 暗号通貨が世界を変える』が発売中。 この著者の記事一覧はこちら

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