「ガンダムコラボ」に「サウナ専用」 なぜOWNDAYSはニッチな商品を展開するのか

那覇市に本社を構えるアイウェアの製造販売OWNDAYSがコロナ禍でも好調だ。1989年に設立した同社は現在、国内外合わせて約400店舗を展開。この4年間で店舗数を約2倍に伸ばすなど積極的に規模を広げ、今後2年間でさらに200店舗の追加出店を目指す考えを示す。

また、2020年11月には、全体的な給与体系の大幅アップを実施すると発表。店長職の年収水準を全国一律で平均100万円引き上げるという。

コロナ禍だからこそ積極的に投資を続ける“逆張り戦略”は、個性的で挑戦的な商品展開にも表れている。人気アニメ「機動戦士ガンダム」などとのコラボメガネや、耐熱性のある「サウナ専用メガネ」など、ニッチな層を鋭く突いた商品ラインアップを発表し続けている。

20年12月には「ガンダムコラボ」の第3弾として、同社初のオーディオグラス(スピーカーを内蔵したアイウェア)を発表した。

一見すると普通のメガネだが、同社で広報を担当する重村真実さんは「ガンダム好きが見ると、お互いに『あっ』と分かるようなデザインとなっています。ファン同士の“密かなコミュニケーション”ができるメガネです」と、こだわりを話す。主なファン層である男性会社員が日ごろからかけても違和感がないように意識し、ニーズに応えた。

同作品に出てくる「地球連邦軍」と、それに対峙する「ジオン公国軍」をテーマとした2種類のカラーリングを用意。サイドにはそれぞれのエンブレムをあしらった。スマートフォンやPCにワイヤレス接続することで、通話や音声再生ができるため、その“メカっぽさ”もガンダムファンにはうれしいアイテムだといえそうだ。

懐かしいCMとのコラボで機能性を訴求
同年7月に発売した形状記憶フレーム「Memory Metal(メモリーメタル)」のプロモーションでは、昔懐かしいテレビCMとタイアップした。それが「象が踏んでも壊れない」というキャッチフレーズで1967年に放映を開始したサンスター文具(東京都台東区)の「アーム筆入」だ。

アーム筆入のCM同様、象がメガネを踏む演出で、メモリーメタルの超弾性と型くずれしにくいフレームの特徴を表現した。また「形状記憶」を指す「Memory」に「思い出」という意味合いが含まれることも、懐かしいCMを起用したきっかけだという。

今年3月には、サウナ専用メガネを発売。高温多湿なサウナでも着用できるよう耐熱素材を使い、曇り止めコーティングを施した。錆を防止するため、パーツにネジを使わないといった同社初めての試みが生かされた形だ。オンラインショップでの取り扱いとなっており、他のアイテムと比べても売れ行きは好調だという。

20年前後は「空前のサウナブーム」と表現されるほど、サウナの人気が高まっている。サウナ好きの人は「サウナー」とも呼ばれ、サウナの暑さと水風呂の冷たさを繰り返して味わえる快感を表現する「ととのう」という用語も生まれている。19年にはサウナをテーマにしたマンガもドラマ化された。

同社の田中修治社長が自宅にサウナを作るほどのサウナ好きであることが発売のきっかけとなった。サウナ専門誌「サウナランド」が立ち上げ時にクラウドファンディングで資金を募った際、その返礼品としてOWNDAYSが作ったのが、このサウナ専用メガネだ。

積極的に展開するアニメやサウナとのコラボ。その背景には「絶対的な固定ファンがいる」という共通点がある。海外でも人気がある日本のアニメとコラボしたメガネは、シンガポールや台湾など、11の国と地域にも展開するOWNDAYSの客層にもマッチした。ガンダムモデルは台湾とシンガポールで特に人気があるという。

コラボモデルをシリーズで発表することで、メガネを1本だけではなく、コレクション的に複数本購入するファンもいる。重村さんは「海外の某航空会社のパイロットさんがガンダム好きで、コラボメガネを集めている様子をSNSにアップしてくれていました。日本のアニメ文化を通して海外の方とつながれるのは面白いです」と喜ぶ。

コロナ禍だからこそ店舗数・人員を拡大
このように、ニッチな層を確実に射貫いた商品を展開するような挑戦的な経営は、従業員の待遇の充実や店舗数の急増にも表れている。コロナ禍で社会全体が不利になる中で、同社は今がチャンスとばかりに逆張り戦略を進め、着実に売り上げを拡大してきた。

その結果、店長職の年収水準を全国一律で平均100万円引き上げ、アパレルや飲食業界などから優秀な人材を積極的に集めている。関連して、今後2年で国内に100店舗、東アジア市場でも100店舗の追加出店をすることを表明した。ショッピングモールの空き店舗を中心に入居を進めることで、1週間当たり3~4店舗を定期的にオープンさせている。

田中社長は「コロナの今だからこそ、良い人材を採用できるチャンスです。このタイミングで給与を上げると、目立つことができます」と、積極的に人を呼び込むとともに「裏を返せば、今いる店長に対するプレッシャーにもなります。外から優秀な人たちが入ってくるわけですから、求められる仕事に追い付かなければならないという意味では、100万円上げたからといって社員としては素直に喜べる話でもないのかなと思います」と社員の意識強化も同時に狙う。

また、現在は新型コロナウイルスの影響で規模を縮小しているものの、社内のメガネ製作技術を競う世界大会を例年開催しており、優勝者には賞金100万円が贈られる。この額は全世界一律で、国によってはその人の年収以上に相当することから、技術力の底上げや向上の動機付けにも一役買っている。

このような取り組みの他にも、感染症リスクを伴わない形で、視力測定機横の画面上に映る東京のスタッフが遠隔で客と会話しながら行う「リモート視力測定」や、DXによる生産性向上を進めた結果、売り上げは約210億円(21年2月期)と、堅調に勢いを伸ばしている。

同社が大切にしているものの一つに「ファン作り」がある。それは顧客だけではなく、社員にも向けられている。重村さんは「従業員がOWNDAYS自体の社風のファンになれるような取り組みをたくさんしています」と話す。

OWNDAYSにはユニークな社内制度がある。管理職を立候補制にして投票で決める「社内立候補制度」や、社員が異動を希望する部署を直談判し、部署が人材を選抜できる「社内FA制度」などだ。

ファンを大切にしているからこそ、ガンダムファンやサウナファンの気持ちにも寄り添った商品展開につなげることができたのかもしれない。OWNDAYSの未来は視界良好なのか、要注目だ。

長濱良起(ながはま よしき)

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