40%暴落のビットコイン ユーザーの反応は? GMOコイン石村社長に聞く

2017年5月31日に、当時は「Z.comコイン byGMO」として事業をスタートしたGMOコイン。社名変更、17年9月の金融庁の仮想通貨交換業者登録、そして20年5月の第一種金融商品取引業者登録などを経て、この5月31日に4周年を迎えた。

その間、17年から18年初頭に起きた仮想通貨バブル、さらに21年の価格急騰と5月に入っての急落と、市場の大きな変化を経験してきている。この4年間で、仮想通貨(暗号資産)を取り巻く状況はどう変わったのか。GMOコインの石村富隆社長に聞いた。

ビットコインでは700万円を超える高値から40%近い下落と、仮想通貨(暗号資産。以下同)の暴落があった。ユーザーの反応はどうだったのか。

石村氏 そんなに影響はない。預かり資産評価額は減ったが、取引を止めたという話は聞かない。ビットコイン以外のアルトコインでは逆に買いが入ったものもある。

また回復するんじゃないかという雰囲気もある。(前回のバブルである)2018年の時は「もう終わったな、怪しくて終わったな」という雰囲気が世の中にあったが、今年はそうではない。ビットコインとアルトコインで相関のない動きも増えてきて、「こっちは下がったけど、上がったコインにいこう」という動きだ。

今から仮想通貨の取引に入ってくる人は、3年前の暴落を知らない人もいるかもしれない。仮想通貨の値動きには、下もあれば上もあるということへの、慣れ、耐性ができてきた。

ユーザーの仮想通貨との向き合い方は変わったのか?
仮想通貨の長期保有を想定しているユーザーが増加傾向にある。しかし実態はどうなのか。

石村氏 いわゆる「ガチホ」、保有し続ける人がけっこういる。XRP、ネムなどには一定のファンがいて、いつまでも持ち続けるという声も聞く。

一方、マーケットの盛り上がりもあり、ほかのアセットには見られないような10倍、100倍という値動きが、一般の人にも耳に入るようになった。こうした盛り上がりの中で、新しく入ってくる人は、値段をあまり気にせず現物を持つようになっている。そういう層に長期保有がウケている。新たなアセットクラスという位置づけだ。

ビギナーの人の中には、ほかの投資をしてない人もけっこういるが、株や為替取引をやっている人でも無視できない存在になってきている。値上がり、値動きが大きいので、ちょっとくらいは乗っておこうかなと、資産の数%でもちょっと足を入れておこうという感じだ。投資に関して感度の高い人が来ている。

以前は、別世界の一部の人とか、よく分からないけどお遊びだとか、マニアの人が触っている雰囲気があったが、だいぶ仮想通貨が一般に浸透してきている。

FXユーザーと仮想通貨ユーザーの重なり具合は小さいようだ。中期で見た場合、FXから仮想通貨にユーザーが移動しているのか、それとも異なる目的で使っているのか。

石村氏 FXから移ってくるのではなく暗号資産ユーザーは単純に増えている。新規で始める人にとって株やFXはハードルが高いが、暗号資産はもう少し裾野が広く、マスに増加している感触だ。数百円からできるので入りやすいという部分があって、初めて投資をする人が入ってきている。金融、金融していないところがある。

株式取引やFXは、真面目でリテラシーを要求されそうだが、暗号資産は広く訴求するような広告などがあって、入りやすい。雰囲気はお手軽感も出てきている。10万円、100万円ではなく、1万円くらいでやってみようという感じ。

投資先も、以前はビットコインが8割以上だったが、割合も変わってきた。

取引所ビジネスの資金需要
取引所の米コインベースが上場した。取引の半分は企業や機関投資家向けホールセールだという。

石村氏 取引所のIPOはありだ。できるものならしたいと思っている。仮想通貨取引所運営には、運転資金もかなりかかるからだ。FXや株式では仕組みが作られていて、資金繰りをクリアできるソリューションがある。仮想通貨は始まったばかりで、オペレーション側のソリューションはあまりない。

IPOできれば、資金を調達してよりよいサービスを提供できる。

ホールセールについては、法人やファンドが仮想通貨を買うというのは自然な流れだ。買う側からすると管理がたいへんだが、海外だとカストディ(資産の保管業務)がしっかりしている。個人の投資家の場合、われわれがカストディの代わりに管理をしているが、法人が投資するとなると、どこで保管するのかが問題になる。日本でカストディ業務だけ始めても、誰も買う人がいなければ広がらない。

価格の下落で大きく取引高が減少するリスクもある。取引所ビジネスの安定的な事業運営のために、市場変動によらない収益源については、どう考えているのか。

石村氏 積み立て系など、一定の取引が継続する仕組みを作っていく。また、「貸暗号資産」も賃借料を払うことでユーザーを集めることにつながる。「貸暗号資産」では無限に借り続けてもいいが、借りすぎると返せなくなるリスクもあるので、自己資本に対して一定の比率までというルールでやっている。事業の大きくなり具合と連動している。

プロダクトの幅、銘柄を広げるというのも一つの方策だ。増やせば、ビットコインが悪くても、こちらのコインは上がっているということも起きてくる。

いずれユーザーも手数料に敏感になってくる
直近の業績は市場の過熱もあり、GMOフィナンシャルHDの利益の半分を稼ぎ出す好調ぶりだった。これをどう捉えているのか。

石村氏 こういうマーケットなので、業績の善し悪しは気にしていない。今はいいといわれているが、悪いときもある。安定的に収益を出せるとか、よくないときでも利益を確保できる体制づくりを目指している。

仮想通貨がいいとFXがよくなかったり、悪いとFXがよかったりと、肌感的にはそういうところがある。ボリュームに対しての収益率を一定にすることを目指している。3年前は、取引量はあるのに収益が低いということもあったが、そこを是正していて、一定の収益率を確保するようにしている。

手数料にはおそかれ早かれ、ユーザーは敏感になってくるだろう。資産価格自体が「100倍になった、10倍になった」ということで、スプレッド(手数料)を見るとすごいコストがかかっているが、それに気づかない。気にしても取引する人がいるのが現状だ。

特に手数料を気にしないのは、販売所のユーザーだ。仮想通貨FXは、為替FXをやっていたユーザーも多いので、そこではスプレッドがすごく注目されている。

リーズナブルなコストにすることを大事にしていて、業界内で一番低いコストでやろうとしている。リソースも投入して研究している。

17年の価格上昇では、取引参加者の多くが国内の個人投資家だったということもあり、また大規模な流出事件と重なったこともあって、市場は総悲観状態だった。しかし、21年は、5月にビットコインが月間で史上最大の下げを演じたものの、反応は穏やかだ。

上昇の要因が米国の企業や機関投資家によるものだという理由もあるだろう。しかし、それにも増して、新たなアセットクラスとして長期投資の対象になってきた感もある。

GMOコインでは、6月2日に「つみたて暗号資産」の毎日積み立てプランを用意し、最低1000円から積み立てが行えるなど、裾野を拡大している。また、新規の仮想通貨として、国内で初めてポルカドット(DOT)の取り扱いを開始するなど、戦略の実行を進めている。

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