「支払い調書」で税逃れ困難に=借名口座使用も摘発―FX脱税

国税当局がFXの取引状況を把握する手段の一つに、取引業者に提出を義務付けている「支払い調書」がある。顧客の個人情報や損益などが記載されており、国税当局は集まった情報をデータ化し、税逃れや申告ミスの発見に活用している。支払い調書では把握できない借名口座を使った税逃れについても、行為者の特定や摘発に至っている。
FXをめぐってはかつて、投資家が利益を正しく申告せずに納税を免れる事案が多発。2007年度に全国の国税局が強制調査(査察)で摘発したのは19件に上った。
当時、支払い調書の提出義務が課されていたのは公設市場を介した取引のみ。投資家と業者が直接売買する店頭取引は対象外で、取引の実態を当局が把握しにくい状況だった。
このため08年度の税制改正で店頭取引業者にも提出義務が課され、全ての投資家の情報が当局に集まるようになった。国税庁によると、告発の公表を始めた17年4月以降の4年間で摘発したFX関連事案は数件にとどまる。
ただ、今回告発されたケースのように取引に借名口座が使われると、支払い調書の情報と実際の行為者は容易には結び付かない。それでも地道な調査を重ねて脱税の容疑者を割り出した。元国税調査官の佐川洋一税理士は「FX口座の入出金の流れを追えば、原資がどこから来ているのか、利益が誰に帰属しているのか、ある程度裏付けが取れる」と説明。「借名口座を使っても、調査で行為者にたどり着くことができる」と指摘した。

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