菅首相が日本会議系改憲集会で自らのコロナ対応失敗を「緊急事態条項」にスリカエる詐欺的メッセージ! 国民投票法も強行採決へ

盗っ人猛々しいとのはこのことだ。新型コロナの感染拡大が止まらないなか、菅義偉首相は憲法記念日である本日、日本会議が主体となった団体が開催する改憲集会「公開憲法フォーラム」にビデオメッセージを寄せ、そこで「新型コロナへの対応を受けて、緊急事態への備えに対する関心が高まっている」とコロナに言及した上で、こう語ったのだ。
「緊急時において国民の命と安全を守るため国家や国民がどのような役割を果たし国難を乗り越えていくべきか、そのことを憲法にどのように位置づけるかは極めて重く大切な課題だ」
これはあきらかに自民党の改憲案にある「緊急事態条項」を念頭に置いた発言だ。実際、本日放送されたNHKの憲法記念日特別番組では、自民党憲法改正推進本部の衛藤征士郎本部長が「新型コロナウイルスに迅速に対応する緊急事態条項がない」と発言していた。
まったくふざけるのもいい加減にしろ、という話だろう。当然ながら、緊急事態条項がなくても医療や検査の強化・拡充はできるし、人流を抑えたいのならば十分な補償や給付金の支給によって国民の生活を支えればいい。だが、それらを完全におろそかにして、挙げ句、やってきたことといえば「GoToキャンペーン」のゴリ押し。しかもこの第4波の最中にも東京五輪を強行開催しようとしている。この国がコロナ対応で失敗してきたのはすべて政治責任にほかならないというのに、それを「緊急事態条項がないからだ」などと憲法改正に話をすり替えるのは、はっきり言って犯罪的な悪質さだ。

だが、恐ろしいのは、菅政権や大阪府の吉村洋文知事らが繰り広げているこの「自分たちの政治責任を放棄して改憲につなげよう」というキャンペーンが、世論に確実に影響を与えていることだ。実際、共同通信社が1日に公表した世論調査では、感染症や大規模災害に対応するために緊急事態条項を新設する憲法改正が「必要だ」とした人が57%にものぼり、「必要ない」と答えた42%を上回ったからだ。
言っておくが、感染症はもちろんのこと、大災害時も災害対策基本法で対応は十分にできる。だが、「感染拡大は私権制限ができないからだ」という政治責任を放棄するだけのメッセージが国民にも広がり、現実に改憲の機運を高めているのである。
しかも、このまやかしでしかない改憲に向けて一気に走り出す危険が、いま目の前まで迫っている。というのも、衆院憲法審査会では、自民党をはじめとする改憲勢力が、連休明けの6日にも国民投票法改正案を強行採決しようとしているからだ。
実際、菅首相も、前述したビデオメッセージのなかで「憲法改正に関する議論を進める最初の一歩として、まずは国民投票法改正案の成立を目指していかなければならない」と明言した。
だが、この国民投票法改正案は、コロナのどさくさに紛れて強行採決されるようなことは絶対に許されない、「改憲への大きな一歩」となる危険極まりないものなのだ。
そもそも、この国民投票法改正案は、憲法改正の是非を問う国民投票で駅や商業施設に「共通投票所」を設けることなどが盛り込まれているのだが、問題なのは、この改正案にはCMなどの規制がない、という点だ。

おさらいしておくと、憲法改正が発議されれば国民投票運動が60~180日間にわたっておこなわれるが、現行の「国民投票法」では、新聞広告に規制はなく、テレビ・ラジオCMも投票日の15日前まで「憲法改正案に対し賛成又は反対の投票をし又はしないように勧誘する」CMを無制限に放送することが可能になっている。しかも、投票日前2週間のあいだも「賛否を勧誘」しないCMならば投票日まで放送できる。つまり、有名人が登場して「私は憲法改正に賛成です」などという意見広告は放送可能だ。
つまり、CM規制がないまま改正案が通れば、170億2100万円(2021年度)というダントツの政党交付金を受け取っている自民党をはじめ、国会で多数を占める改憲派が潤沢な広告資金を抱えているため、CMを使った広報戦略では圧倒的に有利となるのだ。
実際、「令和」への改元時に自民党は、人気キャラクターデザイナーの天野喜孝氏を起用して当時の安倍晋三首相を似ても似つかぬイケメン化させるなどの広告キャンペーンを展開させたが、国民投票が実施されるとなれば、自民党があのとき以上の一大キャンペーンを張るのは明らか。いや、自分たちの無為無策を棚に上げ、新型コロナなどパンデミックの恐怖を煽りに煽り、改憲の必要性を訴えるのは間違いない。
さらに、菅首相は安倍前首相以上に芸能界に人脈があるとも言われており、改憲のPRには芸能人が大量投入されることも考えられる。また、CMを出稿するのは政党にかぎったものではなく、改憲派の団体や資金力をもった企業が有名人を動員して「憲法を改正しよう」というキャンペーンを張る可能性は十分あるのだ。

しかも、この改憲キャンペーンを後押しするのが、民放テレビ局だ。
じつは、2006年に参院憲法特別調査特別委員会で国民投票法が可決された際には〈テレビ・ラジオの有料広告規制については、公平性を確保するためのメディア関係者の自主的な努力を尊重するとともに、本法施行までに必要な検討を加えること〉という附帯決議がつき、メディアには「公平性の確保」が求められていた。しかし、2019年におこなわれた意見聴取では、日本民間放送連盟の永原伸専務理事が“量的な自主規制を現時点では考えていない”と答弁し、「政党が自らの取り決めで広告出稿量を調整すれば、国民の表現の自由を脅かす心配はなくなる」と強調したのだ。
民放連がCM量の公平性を担保せず、野放図になってしまえば、憲法改正という重大事の賛否が金の力で左右されてしまうという事態に陥る。にもかかわらず、民放連は放送に求められる公平性の確保を「表現の自由」の問題にすり替え、自分たちの儲けを優先させたのだ。
民放連が公平性を確保できないというのならば、どう考えても国民投票法の議論をイチからやり直すのが道理だ。しかし、自民党や公明党、日本維新の会などは「議論は尽くされた」として、6日の衆院憲法審査会での強行採決を目論んでいる。そして、このままコロナ禍のどさくさに紛れてCM規制が盛り込まれないまま国民投票法改正案が強行採決されてしまえば、メディアでは大規模な改憲キャンペーンが展開されることになるのである。
SNS上では「#国民投票法改正案に抗議します」というハッシュタグによる抗議が起こっているが、いまからでも遅くはない。約1年前、緊急事態宣言下のなかで起こった「#検察庁法改正案に抗議します」というTwitterデモによって成立断念にまで追い込んだように、再び菅政権による火事場泥棒に抗議の声をあげなければならない。

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