親が元気なうちにやっておきたい「実家をたたむ準備」

子どもとしては実家が無くなることは寂しいものです。しかしながら、子どもたちのいずれも将来実家に住むことがない場合は、いずれは実家を処分しなければならなくなります。

親が最期まで自宅で過ごしたいのであれば、処分は親が亡くなってからということにはなりますが、勝手が分からず、かなり大変な作業になるはずです。大切なもの知らずにうっかり処分してしまうこともありそうです。親が元気なうちに、できれば状況だけでも把握しておきたいものです。
最初に実家にある自分たちの私物を整理しよう
親が元気なうちに準備するのがベストであっても、親が亡くなった後を想定した話は、なかなか切り出しにくいものです。そこでそのきっかけを作るために、最初に実家に残してきた自分たちの私物の整理を行ってみましょう。

結婚して親元から独立して別々に住んでいたとしても、実家には何かしら自分たちのものが残っているのではないでしょうか。本や趣味のもの、おもちゃ、古い衣類やアルバムや思い出のものなどは、この際不要なものは処分し、必要なものは実家から引き揚げてきましょう。

できればこの作業は、他の兄弟姉妹と示し合わせて一緒に行います。不用品が処分されれば、その分実家がすっきりとするばかりでなく、ついでに親の私物の不用品も断捨離しやすくなります。その作業の過程で、大切なモノを聞き取ることも可能ですし、親が今後どうしたいかなどの話題も自然と出しやすくなります。

コロナ禍の今でもできること
今はなかなか帰省もままならないかもしれません。親がまだまだ元気であるなら、上記の自分たちのものを処分するように依頼してみましょう。

ただし親に依頼する前に自分たちの住まいについても、見直してみましょう。今後も使わないと思われる子どもの乳幼児時期の衣類やおもちゃの類が残っていませんか? 親がまだ元気であれば、「不要となった子どものものを処分したので、実家にあるものも気になった。帰省できないので、できれば処分してほしい」と頼んでみても良いでしょう。

子どもの成長や独立、60歳の定年などの節目に、不用品を定期的に整理する習慣は今後の生活を快適にするためにも、子どもたちに実家整理の負担をかけないためにも大切なことです。オンライン通話などでやりとりして、自分たちの取り組みを親と共有し、実家の整理を促してみましょう。
親が亡くなったときに苦労するもの
実家を整理する際に苦労するものを、いくつか考えてみました。自分たちはノータッチで業者に一括依頼する考え方もあるかもしれませんが、なかなかそう割り切れるものではありません。

下記の事項は親が健全な間に把握しておきましょう。自分たちも折々に財産目録やエンディングノートのような形態で、覚書をまとめておくと子どもたちが苦労しないはずです。
戸籍の追跡
現在はさほど戸籍の移動は多くないかもしれませんが、昔は戦争などで戸籍が頻繁に変更されたケースもあると思います。少なくとも結婚すれば戸籍は新しくなります。

相続するためには、最新の戸籍は被相続人が死亡したことが掲載されている必要がありますが、それ以前のものは古くても大丈夫なのです。親に移動内容等を確認して、あらかじめ戸籍謄本を誕生まで遡ってあらかじめ取得しておきましょう。

相続時に税務署で証明書を作成してもらうか、持ち回りで金融機関等を回って相続手続きをすれば、その場でコピーして返却されますので、取得するのは税務署提出用の1通で大丈夫です。ただし自分たち次の世代も記載されている戸籍謄本は、自分用にもう1通取得しておきましょう。

保険・年金の把握
実家があれば、少なくとも火災保険には加入しているはずです。生命保険、傷害保険、医療保険、個人賠償保険など、解約の手続きが必要となります。

どのような保険や年金に加入しているかのリストを作成してもらっておくと大いに助かります。老齢基礎年金や厚生年金は把握しやすいですが、個人年金や企業年金等の有無を確認しておきます。
財産の把握
額は必要ではありません。銀行口座、証券会社の口座などの一覧があれば便利です。特に株については、死亡後に配当される未払い配当も相続財産となります。また証券会社預かりでない端株があるケースもあります。
趣味のもの、親の作品、収集品の扱い
親が趣味で制作した作品や、趣味のコレクションや旅先で集めたりした収集品は、特別に愛着のあるもの以外は親にあらかじめ処分してもらうのが理想です。

私自身の住まいには自分で購入した絵などはあります。売って換金できるほどのものではありませんが、リストを作成しています。自分の作品は断捨離のたびに順次処分しています。実家の整理の前に、自分たちの住まいを見直すのが筋というものです。

骨董類
こればかりは詳細に聞いておくしかありません。できれば親の代で手放してもらいたいところです。自分たちの私物の断捨離の際に、親と話しあってみましょう。骨董でなくても、自分たちのために親が買った雛飾りや五月人形、使ったことのない食器や引き出物の類もあるかもしれません。
着物
私の年齢でも着物は全く着ないので、その価値はあまりわかりません。若い世代はなおさらでしょう。親も着物を着る習慣がなくても、訪問着や留袖、喪服等は持っているかもしれません。自分たちの成人式の着物やお宮参りの着物、七五三の着物なども残っているかもしれません。

着物の種類と価値を教えてもらっておくとよいでしょう。虫干しなどの際に、主な帯や着物の写真を撮ってリスト化しておくとよいでしょう。
アルバム類
昔のアナログ写真のアルバムは思い切ってデジタル化するか、親の代から引き継ぐ1冊のアルバムとして、選りすぐりの写真を選定するとよいと思っています。親や祖父母の結婚式の写真、誕生、成人式など、家族の歴史がわかる写真を中心に1冊にまとめます。我が家も数十冊あるアルバムを1冊にまとめている最中です。
孫の力は絶大
年を取れば掃除も行き届きません。モノがあふれていればなおさら掃除が行き届かないでしょう。健康面にも良いわけがありません。モノを処分するということはエネルギーが必要で、年を取るとそのエネルギーが減少し億劫になり、モノの処分には消極的になります。しかし、今現在の年齢が最も若いのであり、先送りするとますます整理できなくなります。

そこで活力となるのが孫の存在です。子どもたちの言うことは聞かなくても、孫に言われると弱いものです。実家の整理には、是非子どもたちを参加させてください。

佐藤章子 さとうあきこ 一級建築士・ファイナンシャルプランナー(CFP(R)・一級FP技能士)。建設会社や住宅メーカーで設計・商品開発・不動産活用などに従事。2001年に住まいと暮らしのコンサルタント事務所を開業。技術面・経済面双方から住まいづくりをアドバイス。 この著者の記事一覧はこちら

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