成果を上げながら定時で帰る仕事術 第99回 「教わってないからできません」と言うのはやめた方がよい理由

本連載の第98回)では「会社に入ったら、まずは1つ得意技を設定しよう」と題し、些末なことでもよいので得意技を作ることで自信を獲得することが大事、とお伝えしました。今回も引き続き新社会人の方に向けて、やったことがない仕事、やり方を教わっていない仕事を指示された時に取るべき対応についてお話をします。

もうすぐ5月、仕事を始めてそろそろ1カ月という新社会人の方も大勢いらっしゃるでしょう。徐々に仕事に慣れてきたというタイミングかもしれませんが、自分が任された仕事の中には不慣れなものが残っていて不安に感じているという場合もあるでしょう。

不安に感じている方の中には、まだやったことがない、教わってもいない、さらにはマニュアルもない仕事を上司や先輩から振られたときに、即座に「教わってからできません」と突っぱねてしまう人がいます。

しかし、これはやらないほうがよいでしょう。その理由は2つあります。

1つ目の理由は「仕事を振った人をがっかりさせる」ということです。学校の試験であれば習っていない問題が出ることはありませんが、社会に出たら問題の「正解」がないケースがむしろ普通です。そのため、自分の力で答えを導く力が重視されます。仕事の指示を受けてすぐに「教わってないからできません」と答えてしまうと、自分にはそういう意図がなかったとしても相手からは「自分の頭で考える気が全くないのだな」と受け取られてしまう恐れがあります。

さらに、全てのことに対して一から十まで全て教えなければならないというのは教える側にとっては非常に億劫なので、仕事を振るより自分でやった方が楽だと思われることもあるでしょう。そうすると次第に、新しい仕事を任せてもらえなくなっていってしまいます。

そして2つ目の理由は自分自身の成長の機会を奪ってしまうということです。たとえ教わったことがなかったとしても、その仕事をどう進めるべきかを「自分の頭で考える」ことはできるはずです。それを怠ってしまうというのは、考えることを放棄してしまうのに等しい行為です。

また、先ほども述べたように、この回答を続けることによって相手からは次第に新しい仕事やチャレンジングな仕事を任されにくくなっていきます。人は自分の経験したことがないことや、それまでできなかったことにチャレンジすることで成長するものです。相手からそうした仕事を任されなくなることは、長い目で見たときに自分が成長する機会を失ってしまうことにも繋がります。

では、やったことも教わったこともない仕事を指示されたときに、よくわからないのに「分かりました!」と二つ返事で引き受ければよいかというと、それはそれで心配です。指示した側からすると「教わってないからできません」と言われるよりは遥かにマシですが、本当に指示の内容を分かっているのか、求めていることをできるのかという不安を抱えたままになってしまうかもしれません。

そこで、やったことも教わったこともない仕事を指示されたときには次のように対応して相手を安心させてあげるとよいでしょう。

1. 目的と目標の確認
仕事を指示されたときに一番重要なのがこれです。その仕事は何のために行うのか、何を達成したいのかという目的と目標を確認することが、その仕事を成功させる上で不可欠です。

というのも、目的が分からないまま仕事を始めるというのはどこの山に登るべきか分からないままにとりあえずその辺の山に登るようなもので、全く見当違いの結果を生んでしまう恐れがあります。また、目標を認識できていないというのは、いつまでにどの地点まで登るのかが分からないまま山に登るのと等しく、仕事のペース配分を誤って納期に間に合わなくなってしまうかもしれません。

そのため、最低限その仕事の目的と目標については最初に確認しておくとよいでしょう。
2. 押さえておくべきポイントの確認
こちらは、その仕事の目的・目標を達成する上で最低限押さえておくべきこと、満たすべきことは何か、ということです。先ほどの山登りの例でいえば、山に登るにしても標高の高いところであれば寒さ対策はマストでしょうし、足場の悪い登山道であればそれに対応した靴やトレッキングポールなどの装備が必須かもしれません。

こうしたポイントを押さえているかどうかは仕事の成否と質に直結します。確認した目的・目標を満たす上で確実に押さえておくべきことや、気を付けるべきことがないかをしっかり確認しておきましょう。
3. アウトプットイメージのすり合わせ
こちらは資料作成や分析業務などの作業の話ですが、求められているアウトプットの大まかなイメージを早めにすり合わせておくと、後々の大幅な手戻りが防げるのでお勧めです。なお、こちらは入念に作りこむのではなく、できれば仕事を指示されたその場で、手書きでよいので図や絵で大まかなイメージを描き、それを共有するとよいでしょう。アウトプットイメージの認識を共有できれば、自分にとってはもちろん、相手にとっても安心して仕事を任せることができます。

4. 進め方の確認
そして最後に進め方です。これは仕事を完遂するまでに、いつまでに何をやるのか、そしていつのタイミングで進捗を報告するのか、途中で分からないことがあったらどうやって相談するのかといったことを確認し、決めておくことです。先ほど述べた1~3の項目に加えて、仕事を指示されたタイミングでここまでしっかりできれば完璧です。

たとえ難易度が高かったりイレギュラーが多い仕事であっても、ここで決めた計画と報告・連絡・相談の仕組みに沿うことによって途中で誤りを修正したり、遅れを取り戻したりすることができるので、最終的に無理なく仕事を成功させる確率が飛躍的に上がります。

そして、最後になりますがこれらの対応について、ただ相手に質問するだけではなくて、できるだけ自分で仮説を立てて、相手にそれをぶつけてみるのがよいでしょう。それが合っていれば問題ありませんし、たとえ誤っていたとしても自分の頭で考える訓練になります。ぜひ、自分の頭をフル回転しつつ、ここで挙げた1~4を実践して周りから一目置かれる存在になりましょう。

相原秀哉 あいはらひでや 株式会社ビジネスウォリアーズ代表取締役 慶應義塾大学大学院修了後、IBMビジネスコンサルティングサービス(現日本IBM)入社。グローバルスタンダードの業務改革手法、Lean Six Sigmaを活用したコンサルティングを得意とし、2012年に日本IBMで初めて同手法の伝道師 “Lean Master”に 認定される。その後、幅広い組織や個人の生産性向上に寄与するべく独立。生産性向上による働き方改革コンサルティングや、コンサルティングスキルを実践形式で学べるビジネスブートキャンプを手掛ける。著書に『リモートワーク段取り仕事術』(明日香出版社)がある。 この著者の記事一覧はこちら

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