多角化進むSBI証券 ネット証券は2強時代に

大手5社と呼ばれるネット証券の中で、SBI証券と楽天証券が他を引き離して2強化してきている。2021年3月期の各社の決算を見ると、SBIと楽天が預かり資産残高を大きく伸ばした一方で、マネックス、松井、auカブコムの各ネット証券の伸びは小幅だ。

SBI証券、通期利益は46%増
SBI証券の21年3月期の決算発表によると、売上高にあたる営業収益は28.8%増加して1603億円となった。5大ネット証券の中でも、SBIと楽天の伸びが大きい。また営業利益は616億円と、46.3%の伸びを見せた。

預かり資産残高でも、SBIと楽天の伸びが著しいことが分かる。SBIは前年同期から49.7%増加して19.3兆円、楽天は75.7%増加して11.6兆円に達している。

個人の株式売買高を表す委託個人売買代金シェアでも、SBIと楽天が全体の約7割を占めている。最大手のSBIが順調に各種シェアを伸ばし、楽天はグループのポイント経済圏を活用して、それを追う構図。5大ネット証券といわれてはいるが、2強の時代に入りつつある。

多角化進むSBI 手数料無料化の背景に
また、SBIは収益源の多角化を順調に進めている。コロナ禍の中の株高で売買が活発だったこの1年においても、株式売買手数料にあたる委託手数料が収益に占める比率は28.1%にとどまった。

株式現物の売買手数料は「委託手数料」という項目で、信用取引に伴う金利や貸株料などは「金融収益」という項目で表される。多くの証券会社が、収益のほとんどをこの2つに依存する一方で、SBIでは2つを合わせて52.7%にとどまる。多角化が進んでいる野村證券の33%よりは大きいが、他の証券会社よりも現物・信用の売買手数料に依存する比率は小さい。

SBIホールディングズは、傘下の証券会社において株式の売買手数料を無料にしていくことを発表している。すでにSBIにおいて、手数料無料で取引できる金額を、1日あたり、50万円から100万円に拡大し、4月20日には25歳未満に限定してだが完全に無料化した。

手数料無料化に踏み切る背景には、営業収益に占める売買手数料の比率が小さいことが挙げられる。SBIが手数料を下げることで多くのユーザーを集める一方で、売買手数料への依存度が高い他社は、なかなかSBIに追随できない。

現時点では、SBIに続いて1日あたりの手数料無料枠を100万円に拡大したのは楽天だけ。25歳以下の無料化に追随したのは5大ネット証券では松井証券だけだ。

そんな中、各社の方向性もそれぞれ異なってきている。楽天は、若年層をうまく取り込み、投信における月間の積立金額は350億円を超えている。この伸びは業界トップであり、積立額はSBIに並んできた。マネックスは、「アセマネモデル」への転換をうたうとともに、米国に持つ子会社を通じた米国株に優位を見いだす。auカブコムは、KDDIグループ入りしたことが、今後の成長戦略に大きく影響してきそうだ。

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