米3月雇用統計レビュー – 失業率は改善、経済活動は正常化へ向かうか

米労働省が2021年4月2日に発表した3月雇用統計の主な結果は、(1)非農業部門雇用者数91.6万人増、(2)失業率6.0%、(3)平均時給29.96ドル(前月比-0.1%、前年比+4.2%)という内容であった。

(1)3月の米非農業部門雇用者数は前月比91.6万人増と、前月の46.8万人増(37.9万人増から上方修正)から増加幅が拡大。市場予想(66.0万人増)も上回った。幅広い業種で雇用が増加したが、中でも「レジャー・接客」が28.0万人増と顕著に伸びた。1月分と2月分の上方修正(合計15.6万人)もあって、非農業部門雇用者数の3カ月平均増加幅は53.9万人へと急回復した。

(2)3月の米失業率は6.0%と市場予想通りに前月から0.2ポイント改善。フルタイムの就職を希望しながらパート就業しかできない人なども含めた広義の失業率である不完全雇用率(U-6失業率)も10.7%と、前月から0.4ポイント改善した。労働力人口に占める働く意欲を持つ人の割合である労働参加率は61.5%と前月から0.1ポイント上昇した。

(3)3月の米平均時給は29.96ドルとなり、前月から0.04ドル減少。減少は2020年6月以来9カ月ぶり。平均時給の伸び率は前月比-0.1%、前年比+4.2%と、予想(+0.1%、+4.5%)を下回った。「レジャー・接客業」など比較的低賃金の業種で雇用が増加したことから平均値が押し下げられた模様。

米3月雇用統計は、新型コロナウイルスワクチンの接種が進む中、米国の経済活動が正常化に向かっていることが改めて示された。バイデン米大統領は米3月雇用統計の発表後に、就業者数が大幅に増加したことを歓迎した上で「まだ長い道のりを歩んでいかなければならない」と述べた。非農業部門雇用者数はコロナ禍で失われた約2,200万人のうち、依然として約840万人を回復できていない。失業率もコロナ禍以前の2020年2月より2.5%高い水準にある。

とはいえ、市場は米連邦準備制度理事会(FRB)が比較的早い時期に利上げを行うとの見方を織り込み始めたようだ。米債市場では雇用統計の発表後に長期金利が上昇しており、中でも金融政策に敏感な2-5年債の中期ゾーンで利回り上昇が目立っている。なお、この日はイースター・グッドフライデーのため米国株式市場は休場。為替市場では、ドルの反応も比較的小さかった。

神田卓也 株式会社外為どっとコム総合研究所 取締役調査部長。1991年9月、4年半の証券会社勤務を経て株式会社メイタン・トラディションに入社。為替(ドル/円スポットデスク)を皮切りに、資金(デポジット)、金利デリバティブ等、各種金融商品の国際取引仲介業務を担当。その後、2009年7月に外為どっとコム総合研究所の創業に参画し、為替相場・市場の調査に携わる。2011年12月より現職。現在、個人FX投資家に向けた為替情報の配信(デイリーレポート『外為トゥデイ』など)を主業務とする傍ら、相場動向などについて、WEB・新聞・雑誌・テレビ等にコメントを発信。Twitterアカウント:@kandaTakuya この著者の記事一覧はこちら

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