「西成暴動」ビールが人気=就労支援きっかけで誕生―春には新工場も・大阪

大阪市西成区で障害者らが造るクラフトビールが人気を集めている。かつて日雇い労働者らによる投石騒ぎなどで荒れた「あいりん地区」で誕生したビールの名は「西成ライオット(暴動)エール」。月約2000リットル、小瓶約6000本分が出荷されるが、インターネット販売ではあっという間に売り切れ、手に入りにくい状況が続いている。
製造しているのは、介護や障害者福祉を中心に事業展開する「シクロ」(西成区)。2018年4月、就労支援の一環としてビール醸造事業を始めた。「俺たちに酒を造らせたらええんや。わしらがお酒を一番よう知ってる」。きっかけは同社で作業に従事していた障害者の一言だった。
同社は15年、障害者の就労を支援する目的でカフェをオープンしたものの、1年程度で閉店。障害者には代わりに内職などの仕事をしてもらったが、単純作業に不満を募らせていた。「酒造り」発言は、そんな時期の社内の飲み会で飛び出し、醸造事業が動きだすと、障害者らは「西成暴動」のころを思い出すように「アメリカから来た女の子と酒を造った」「公園で振る舞った」など、真偽不明の話で盛り上がった。
山崎昌宣社長(44)はうそか本当かも分からない話を基に、架空のストーリーやイラストを作成することにした。独自の世界観で、外国から来た女子高校生と青年の触れ合いから誕生したビールで、街から暴動が消えたなどとする物語を作り出した。「西成のネガティブなイメージを塗り替えるのではなく、イメージに幅を持たせたかった」という。

ビール造りに従事し、自らをアルコール依存症と話す馬上悟さん(51)は「遅刻しないよう晩酌の最後の一杯を我慢するようになった」。同社のヘルパーに誘われて仲間入りしたといい、「売れるのがうれしくてやりがいがある」と誇らしげに話す。ビール好きで約2年前に志願して働き始めたという上園広海さん(66)は「ライオットエールはお薦め。とにかくおいしい」と胸を張った。
山崎社長によると、年内に東京都や福岡県にも直営店をオープンさせる計画で、4月末に新工場を稼働させるという。「商品を見掛けたときに選んでもらえるようになれば、(従事する)おっちゃんらも喜ぶと思う」と期待を込めた。

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