大幅値下げで何が変わった? テスラ「モデル3」に試乗

CEOのイーロン・マスクが自らに「テクノキング」、CFOに「マスターオブコイン」の肩書きを正式に加えたり、仮想通貨のビットコインで購入可能としたりと、相変わらず話題に事欠かないテスラ。日本でも先日、「モデル3」の車両価格を一気に156万円も下げて注目を集めた。また、それとほぼ同じタイミングで、これまでアメリカ・カリフォルニア州で作っていた日本仕様が、中国・上海工場製に切り替わった。値下げと生産工場の変更で、モデル3はどう変わったのか。試乗して確かめてきた。

これが上海工場の実力? 完成度が上がった「モデル3」
テスラのプロダクトは、従来のクルマと同じように数年に一度のモデルチェンジを繰り返すわけでも、毎年だいたい決まった時期に仕様変更をするわけでもない。仕様は不定期に変わり、変更の規模もまちまちだ。「モデル3」は2020年末に値下げとなっていたが、年始には上海製に切り替わり、ほぼ同じタイミングで仕様も少し変わった。

具体的には、これまでクロームだったサイドウインドウモールやドアノブなどのパーツがサテンブラックとなったほか、ホイールに新意匠を取り入れた。ヘッドライトはLEDからプロジェクション式に変更。インテリアではセンターコンソールやドアパネル(内側)のデザインを変えた。フロントウインドウとフロントサイドウインドウは樹脂のシートを挟んだWガラスとして静粛性向上を図っている。機能面ではエアコンとバッテリー管理にヒートポンプ式を採用した。

正確には、値下げと生産地変更と仕様変更はそれぞれ若干タイミングがずれていて、例えば前述の仕様となったアメリカ製も若干存在するという。値下げの理由は生産地変更に伴う生産および輸送コスト減とされるが、それにしては値下げ幅が大きい。多分に戦略的な理由が込められているはずだが、それについてはあらためて考察するとして、なにはともあれ、最新のモデル3を走らせてみた。

カードキー(スマホをキー代わりにすることも可能)を持っていれば車両に近づくだけで自動的に解錠されるのはこれまで通り。当然、車両から離れると施錠される。シートに腰掛け、カードキーをセンターコンソールの所定の位置にかざし、シフトレバーをDレンジに入れてアクセルを踏めばモデル3は静々と動きだす。差し込んでひねるキーはないし、スタートボタンもない。

動きだしてからは従来のクルマ同様、ステアリング、アクセル、ブレーキペダルで車両をコントロールする。従来はアクセルオフによる回生ブレーキの強さを2段階から選ぶことができたが、仕様変更により強いほうに固定となった。せっかくアクセルオフで強い減速が得られる電動車において、回生が弱いモード(アクセルオフで空走に近い状態となる)を設定する必要性を感じないので、この変更には賛成だ。

Dレンジで走行中、シフトレバーをもう一度押し下げると、その時の速度でACC(アダプティブクルーズコントロール)および車線中央維持機能が作動する。先行車がいれば追従し、車線の中央を維持すべくステアリング操作をアシストしてくれる。ハンズオフ機能は備わっていない。ACCのできの良し悪しは先行車の停車に伴いスムーズに完全停止できるかどうかに表れるが、早い時期からACCをはじめとするADAS(先進運転支援システム)を積極採用してきた同社だけあって、挙動はいたってスムーズで、安心感も高かった。

乗り心地も向上していた。年々向上していく印象だ。首都高の目地段差を通過する際の衝撃もうまく吸収するようになっていた。先進性はすばらしいものの、乗り心地や作り込みの精度(ボディパネル同士の隙間が一定でないなど)、それにサービス体制の面では既存のメーカーに劣るというのが、従来のテスラに対する市場の評価だったが、乗り心地と作り込みに関しては、ここ数年で一気に向上した感がある。ただし、拠点数の少なさからか、サービス体制については依然として、SNS上などでユーザーが不満を表明しているのをちらほら見かける。

V3に到着し、充電ノズルを車両に差し込む。これだけで充電がスタートする。車両側でもスーパーチャージャー側でもスイッチ操作などは一切なし。終わったら抜くだけだ。一度これを経験すると、CHAdeMO充電器の面倒な操作が本当に不快な体験に思えてくる。今回は車両の電力が6割以上残っていたため、充電速度は50kW程度だった。V3がCHAdeMOの5倍に相当する250kWで充電するのは、車両の電力が半分以下の場合に限られる。

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