コロナ禍でPR業界に起きた変化とは? 最新の注目事例を解説

本連載は、国内外のPR事例メディア「PR EDGE」(運営:株式会社PR TIMES)より、注目を集めた事例をランキング形式(※PR EDGE上のPV準拠)で紹介していくものです。

1月8日に発出された緊急事態宣言が3月21日に解除されました。少しづつ日常に戻りつつあるとはいえ、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は世の中を大きく変えました。PR業界もその例外ではありません。ここ1年、コロナ禍ならではのクリエイティブが多数生み出されました。2021年2月の事例にも複数ランクインしています。以下、1位~5位をワンポイント解説付きでお届けします。

著者プロフィール
大原絵理香

PR/広報。CHOCOLATE Inc.所属。米NJの大学でPRを学んだのち、外資系ゲーム会社に勤務。その後、ホールディングスカンパニー、一部上場企業、ベンチャー企業、代理店など様々なレイヤーでPR/広報に従事。2020年11月よりPR EDGE編集長。

5位:美味しそうな食品にモザイク
【クライアント:Peach 企画:10 Days 公開日:1月】

日本語では飯テロの意味である「フードポルノ」を、その言葉のまま本当に食品をポルノのように扱い、美味しそうな食品全てにモザイクをかけている動画広告。あえて情報を規制することで、逆に気になってしまう人間の心理をうまく活用しています。

4位:人気商品をブーメラン化し、返品・交換の簡単さを訴求

【クライアント:Mercado Libre 企画:BBDO 公開日:1月】

新型コロナの影響で、オンラインショッピングの機会が増え、ECサイトのシェアが世界的に拡大しています。選択肢が増えるにつれ、スピード感と手軽さがより重要視されるように。

そのなかで、アルゼンチンの大手ECサイトの会社が、購入した商品をブーメランのように素早く届け、さらにもしイメージと違った場合は返品・交換も素早く行えることを訴求した広告です。

3位:マスクを着けていない人の顔に“アレ”が現れるインスタレーション
【クライアント:PONY 企画:Lg2 公開日:12月】

長引く自粛や、息苦しいなかでのマスクの着用など、暗い気持ちになってしまいがちな昨今ですが、気持ちが明るくなったり、楽しくなったり、また、「ソーシャルグッド」と呼ばれる、ニューノーマル時代の社会に対して良い影響を与えるPR施策も生まれています。

カナダのファストファッションブランドが店頭に設置したのが、正しくマスクを着用しておらず、鼻が出てしまっている人たちにだけ黄色い物体が表示されるデジタルサイネージ。店舗に訪れるお客さんの衛生意識向上にユーモアあふれるかたちで貢献しています

2位:卒業旅行に行けない学生に贈る「未来で行く卒業旅行券」
【クライアント:Duolingo Inc. 企画:電通、kakeru、ノースショア 公開日:2月】

コロナ禍で、海外への渡航が制限され、卒業旅行へ行けなくなってしまった学生たちに、外国語の学習アプリ・Duolingoが実施した、「コロナを倒した未来」で使える旅行券のプレゼント企画。

3位に続き、こちらも今だからこそ生まれた施策です。「コロナを倒した未来」がいつ来るか分からないため、有効期限を設けない旅行券は、学生たちのいまと未来をしっかりと考えた企業姿勢が表れていると思います。

1位:「ブラックサンダー」が脱義理チョコ
【クライアント:有楽製菓 企画:イニシャル 公開日:1月】

ゴディバジャパンが2018年に「日本は、義理チョコをやめよう」という広告を掲出し、賛否両論がSNSなどで見られましたが、他方で2013年より「一目で義理とわかるチョコ」とPRを行ってきた有楽製菓の「ブラックサンダー」。

「チョコレートを渡すだけではなくもっと楽しく自由に過ごしてほしい」という思いから、21年ついに「脱義理チョコ」として舵切りしPRを実施。社会において多様性が求められる時代は、バレンタインにも見られるようになったと言えるでしょう。

ランキングでもすこし触れましたが、新型コロナウイルス感染症は世界中に大きな影響を与え、それはPR業界も当然含まれます。今、現場ではいわゆるニューノーマル時代のクリエイティブが次々と生まれています。

例えば、フィンランドの生活協同組合・HOK-Elantoと、同国のバス運行会社・Savonlinjaが実施したキャンペーン。これは、バスの車内にクマのぬいぐるみを乗客として乗せることでソーシャルディスタンスをかわいく、温かみのあるかたちで伝えるというもの。なお、このぬいぐるみは、キャンペーン終了後には消毒後にヘルシンキの小児病院の子どもたちへとプレゼントされます。

また、ユニリーバが手洗いの習慣がないインドで展開したのが、石けんでしっかり洗わないと落ちない特殊なインクを手に押し、その手をスタンプが消えるまで洗うことで直感的に習慣づけられるようにしたキャンペーン。

いずれも、ニューノーマル時代に沿ったものでありながら、世界が目指すサスティナビリティも意識されています。20年はコロナへの対抗や、医療従事者に向けた感謝など、メッセージ性の強いPRが目立ちましたが、21年は温かみやユーモアさが増えてきたように感じます。

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