トルコ家電メーカーとの合弁へ海外家電事業を移管、日立GLSは何を目指すのか

日立グローバルライフソリューションズ(以下、日立GLS)が、トルコの家電大手アルチェリクと合弁会社を設立し、自社の海外白物家電事業をこの新合弁会社に移管すると、2020年12月16日に発表した。

谷口社長は一例として「国土面積が小さく、都市化により狭い住宅が多いシンガポールの調理家電は、キッチンの流しの下に収納できることが重視される。一方タイは、シンガポールに近い国であるが、大きくてきらびやかな家電が好まれる」と解説。

アルチェリクの相互流通でLumadaはどうなるのか
ところで、今回の合弁会社設立発表において、メディアや投資家などから多くの関心を集めたのが、日立グループの「Lumada(ルマーダ)」の存在だ。Lumadaとは、日立グループの先進的なデジタル技術を活用したソリューション・サービス・テクノロジーの総称。

現在は主にBtoBの現場で機械の故障予兆診断などに活用されているが、今後は家電などの家庭用IoT機器での活躍が期待されている。現在は、日立GLSのIoT冷蔵庫と食品メーカーとの協創が進行中だという。冷蔵庫が庫内の冷凍食品の在庫を検知し、在庫が一定以下になると食材の発注を提案する仕組みだ。

今回のアルチェリクとのアライアンスによって、このようなLumadaソリューションがグローバル化する可能性はあるのだろうか?

これに対して、谷口社長は「大いにあり得る」と回答した。アルチェリクの家電はマスプロダクトをメインにしているものの、今後の白物家電はWi-Fiへのコネクト率が加速度的に上昇すると予測されており、アルチェリクの家電でもLumadaを活用することは検討しているという。

そもそも、今回のアライアンスを協議している段階から、アルチェリクに対しLumadaに関する戦略を共有してきたという。そして今後、家電に新しい価値を与えるためには、家電でユーザーの利用動向や周辺環境などのデータを収集し、解析。それを元にユーザーの課題を解決した新機能や新製品を提供することで、ユーザーの生活向上に寄与していくという未来のビジョンを、アルチェリクと合意しているという。

Lumadaを介したデータの相互流通についてもすでに話し合いを開始しており、今回のアライアンスはある意味、Lumadaへの展開を前提にしたものとまで言い切る。

また、谷口社長は「これは自分の空想ではあるのですが」と前置きしながらも、Lumadaを介することで、今後は日立GLSという枠組みを超えてさまざまな社会課題を解決できるのではないかと話した。

例えば、エネルギーの効率的な利用といったスマートホームのような世界は今後広がっていく可能性があり、これは日立GLSという枠を超え、Lumadaを介して日立グループのエネルギーやITの技術などと連携できるかもしれない。さらに、アルチェリクはトルコ最大のコングロマリッドのひとつであるコチグループ内の1社だ。このコチグループには自動車産業や金融サービスなど、さまざまな業態のサービスが混在している。コチグループが持つ多種多様な産業とLumadaをつなげることで、社会全体に効率的にエネルギーを提供する何らかの解決方法が見つかる可能性もある。

「そこまで規模を拡大できれば、今回のアライアンスは社会的に大きな意味をもつことになります」と同氏は続けた。

「日立」にこだわらずオープンな協創で世の中を変える
谷口社長は自社について「日立GLSは、日立グループのなかでも稀有な会社」だと評す。その理由は「家電などを通じて生活者との直接のインタフェースを持つ」ためだという。生活者を理解し、社会や家庭の課題をくみ取り、その課題解決に必要なサービスを提供することが、同社の役割だとした。

従来、企業は単独で問題解決に取り組むことが多かったが、社会が変化し、各企業が得意とする分野を持ち寄ってオープンに協創する流れが生まれている。日立GLSが、GROOVE Xやアルチェリクとの協業を実現したのも同様の流れによる。

谷口社長は最後に「今後もさまざまな得意分野を持つプレイヤーとコラボレーションし、ビジネスや社会の変化のスピードに追従しながら、生活者にこれまで以上の価値を提供していきたい」と、同社の未来の姿を話した。

(倉本春)

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