2020年の飲食業倒産は過去最多の842件 緊急事態宣言の発出で更なる増加の懸念

東京商工リサーチは、2020年における飲食業の倒産を集計、分析し「飲食業の倒産動向」調査として発表した。その結果、負債1000万円以上の飲食業倒産は842件で、前年に比べ5.3%増加した。これは年間最多だった11年の800件を上回る過去最多の記録だ。

同社によると、緊急事態宣言発出中の5月は裁判所業務が一部縮小したことによって、倒産は21件にとどまった。また、国や自治体、金融機関による資金繰りの支援や、「GoToイートキャンペーン」もあり、9月以降の倒産件数は減少に転じていたという。

一方で年間を通して見ると、休業や時短営業の要請で飲食業を取り巻く環境は悪化。東京、埼玉、千葉、神奈川の1都3県では、倒産数が前年比3.9%増となる212件にのぼり、2年連続で前年を上回るなど、飲食店は大きな打撃を受けた。

業種別では、日本料理店や中華料理店、ラーメン店、焼き肉店などの「専門料理店」が201件(前年比4.6%増)と最も多かった。ついで、「食堂、レストラン」194件(同14.5%減)、「酒場、ビヤホール(居酒屋)」174件(同27.0%増)だった。特に、「酒場,ビヤホール(居酒屋)」は休業や時短営業を余儀なくされたこともあり、過去最多だった12年の141件を大きく更新する倒産件数となった。

また、「すし店」32件(同60.0%増)、「そば・うどん店」19件(同46.1%増)は、インバウンド需要の消失や在宅勤務の影響をもろに受ける形となった。

原因別で最も多かったのは、「販売不振」で717件(前年比7.4%増)。以下、「既往のシワ寄せ(赤字累積)」36件(同28.5%増)、「事業上の失敗」32件(同15.7%減)と続いた。

形態別で見ると、消滅型の「破産」が797件(同6.8%増)と最多で、全体の94.6%を占めた。再建型の「民事再生法」は29件(同14.7%減)で、そのうち小規模個人再生が27件と93.1%を占めた。

負債別でも「1億円未満」が760件と全体の9割を占めており、倒産件数は大幅に増加しているものの、負債総額は前年を下回った。また、従業員数も「10人未満」が790件と9割を超えており、そのうち「5人未満」が705件と構成比83.7%を占めている。これらのことから、 倒産した企業の多くは中小・零細企業で、大半が消滅型の破産を選択していることが分かった。

都道府県別の結果は?
都道府県別では「増加」は23都府県、「減少」が16県、「同数」が8道県だった。最も増加率が高かった地区は北陸の26.0%で、3県全てで件数が増加した。中部も16.0%の増加率となっており、愛知を除く4県で件数が増加している。一方、東北は32.0%、四国は22.2%減少したほか、北海道は同数の18件にとどまった。

コロナ禍以前から、飲食業は人手不足による人件費上昇で苦戦を強いられていた。そこに新型コロナの流行による客足の減少が加わり、飲食業を取り巻く環境は厳しいものとなっている。

さらに、忘年会や新年会の自粛によって年末年始の売上は減少。追い打ちをかけるように、1月7日からは東京、埼玉、千葉、神奈川を対象に再び緊急事態宣言が発出され、飲食店に時短営業が要請された。このままでは、春の歓送迎会シーズンの売上も落ち込むことが予想される。

政府は時短要請の協力金など支援を続けているが、このまま感染拡大が続けば、小・零細規模の飲食店は倒産や廃業が加速する可能性がある。厳しい収益環境のなか、事業者は生き残りをかけて新たな収入源の確保が必要となっている。

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