【プチ鹿島の本音】とにかく生き抜くこと―「逃げ恥」のメッセージ

「逃げるは恥だが役に立つ」新春スペシャル(TBS系)を見た。2016年に放送された際のキーワードを自分なりに挙げると「合理と不合理」。
森山みくり(新垣結衣)は派遣切りに遭い求職中。津崎平匡(星野源)は「プロの独身」。2人は契約結婚をする。家事代行を「雇用主=夫」「従業員=妻」。とても合理的だ。しかし厄介なことに結婚には不合理もたくさんある。それに対し人類は古代から「愛し合っているから大丈夫」という思い込みを利用してきた。考えてみれば大雑把で危なっかしい対処だ。契約書がない結婚生活なんてよく成り立っていたものだとこのドラマを見て逆に思ったのである。
タイトルの「逃げ恥」はハンガリーのことわざから。普通の結婚のふりをすることに対してみくりが疑問を投げかけると、「後ろ向きな選択だっていいじゃないか。恥ずかしい逃げ方だったとしても、生き抜くことが大事」と平匡は語った(第2話)。
つまり、不合理を合理的に考えたのである。
これを頭に入れると今回のスペシャル版に「夫婦別姓」「育児休暇」「コロナ」など、今の不合理がたくさん入っていたのは当然だったと思う。
日々まっとうに生きていても、どうしても解決できないことがある。センスの問題ならやり方を考えるべきだが、努力しても就職できないとか、会社に恵まれないとか、ジェンダーが壁になっているとか、そういう理不尽のせいなら話は別だ。
それは本人の責任じゃない。社会や政治が取り除くべきなのである。「わがまま」を言ってもいいのだ。それは決してわがままではないのだから。自助だけじゃできないこともある。
とにかく生き抜くこと。「逃げ恥」のメッセージは徹底して変わっていない。もはや逃げてもいないと思ったけど。(時事芸人)

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