このご当地カレーがすごい! 第3回 ご当地食材をアピールしたカレー[その1]

「その土地の食材を使用」しているか、「その土地の郷土料理をアレンジ」しているレトルトカレーを「ご当地カレー」と呼んでいる。前回の記事では「郷土料理アレンジ」のご当地カレーを紹介しました。今回からは「ご当地食材」にスポットを当てているご当地カレーを取り上げてみたいと思います。

ご当地食材を使ったご当地カレー

「ご当地食材」といっても、ご当地カレーになっているものは、さらに細かく分類できます。

名産・名物食材を使用するパターン
他にはない珍しい食材を使用するパターン
ブランドをアピールするパターン
自社の食材をアピールするパターン

名産・名物食材を使用するパターンは、「広島の牡蠣」や「淡路島の玉ねぎ」など、全国各地で生産されているが、特に有名な産地であるケースです。長野県の鹿肉などもこのパターンに入る食材といえます。

他にはない珍しい食材を使用するパターンは、ご当地カレーの中でも魅力的な商品。「ご当地カレーは社会科だ!」と主張している理由のひとつともいえます。

例えば、スイートコーン「きみひめ」を使った山梨・甲府のご当地カレー「黄金 三日月カレー」。きみひめは、2004年から栽培されている比較的新しい品種のとうもろこしで、山梨県甲府市中道地区でのみ栽培されています。強い甘さが特徴で、一般的なもろこしの糖度が16度程なのに対し、きみひめは糖度19度もあるのだとか。

そのほかにも「ぶしゅかん」や「ねぎにら」といった変わった食材を使ったご当地カレーもあります。こちらは、この後、じっくりとご紹介します。

ほたてカレー(猿払・北海道)

「ブランドをアピールするパターン」と「自社の食材をアピールするパターン」の説明は次回以降にゆずり、ここからは「名産・名物食材を使用するパターン」と「他にはない珍しい食材を使用するパターン」のご当地カレーを紹介していきます。

猿払村は北海道北部にある日本最北の村。日本国内の最北端、稚内市に隣接する猿払村の天然ホタテ貝は、水揚量日本一を誇り、ホタテの産地として全国的に知られています。道内でも特に水温の低い場所で育ったホタテ貝は、大ぶりで肉厚。そんな猿払村の5年物のほたての貝柱と国産野菜を、直火焼きルウでスパイシーに味付けしたご当地カレーが「ほたてカレー」です。

レトルトの中身を皿にあけてみると、見た目にホタテは少ないと感じるかもしれません。大振りのホタテがドンと入っているわけではありません。ただ、一口食べるとビックリ! ルウ全体に広がったホタテの旨味が瞬時に立ち上り、ホタテの風味に包まれます。

本当に驚くほどホタテの味がします。ホタテペーストではないかと疑うくらい、ホタテの味がします。ホタテ感が強すぎて苦手だという人もいるぐらい強烈なレベルでホタテの味がします!

天然ホタテ貝の水揚量日本一だけあって、猿払村にはここで紹介した「ほたてカレー」以外にも、3種類のホタテカレーがあります。
広島県産 牡蠣カレー(広島)

日本全国で生産されている人気の食材「牡蠣」。日本各地で養殖・収穫されていますが、特に有名な産地は広島と三陸(

岩手県~宮城県)ではないでしょうか。日本各地で獲れる食材だけに、「牡蠣カレー」はそれだけでひとつのジャンルになるぐらい多くのご当地カレーが発売されています。

広島の牡蠣は、400年以上も前から養殖が始まった歴史を持ち、全国の生産量の半数以上を占める日本最大の牡蠣の産地。広島県の牡蠣カレーだけでも、5・6種類あるといわれている中、ここで紹介する「広島県産 牡蠣カレー」は、発売元が「広島県漁業協同組合連合会」というご当地カレー。数ある牡蠣カレーの中でも、具材の牡蠣の処理がピカ一です!

牡蠣の処理は抜群なのですが、ちょっと残念なのはルウに牡蠣の旨味を抽出できていない点です。広島のほかのご当地牡蠣カレーの中には、前述の「ほたてカレー」みたいにルウに牡蠣の風味を利かせているカレーも多いのですが、この商品に関していえばカレールウ自体はありふれた味です。

牡蠣カレーは、広島のほかにも北海道や三陸のご当地カレーに多く、少し検索しただけで10種類以上の商品を見つけることができます。牡蠣カレーの食べ比べをしてみると楽しいかもしれませんね。

四万十ぶしゅかんグリーンカレー(高知)

猿払のホタテや広島の牡蠣は、名産地として全国的に有名で、ポピュラーで人気の高い食材ですが、ご当地カレーの中には「何それ?」と驚くような食材を使ったものもあります。あまり知られていない食材をアピールしたご当地カレーをご紹介します。

「ぶしゅかん」は、酢みかん王国と言われる

高知県でも特にファンが多い「酢みかんの王様」と呼ばれている柑橘類。酢みかんとは、そのまま食べる甘い柑橘類ではなくて、調味料として使う柑橘類の総称。高知県の四万十地域では、民家の庭に必ずといってよい程、ぶしゅかんの木が植えられており、何百年も地域の酢みかんとして愛され続けているそうです。

そんなぶしゅかんを使ったグリーンカレーは、酸味と甘味、辛味のバランスがとても良い、今までにない新感覚グリーンカレー。高知県の特産品である生姜と、歯ごたえの良い「土佐はちきん地鶏」がアクセントになっています。

ただ、この商品、とても辛いです。グリーンカレーらしい辛さで、ぶしゅかんの爽やかな酸味を感じて食べやすく考えられていますが、かなり辛いです。辛い物が苦手な人は注意が必要ですね。

ちなみにこのぶしゅかん、形状が合掌する”仏の手”に似ている「仏手柑(ぶっしゅかん)」と呼ばれる果物とは違います。ご当地カレーを食べて、それについてあれこれ調べていると、こんなことも知ることができます。「ご当地カレーは社会科だ!」という主張するゆえんですね。
ねぎにらグリーンカレー(栃木)

ぶしゅかんは、メジャーな食材ではないものの地元では昔から愛されてきた食べ物でした。次に紹介する「ねぎにら」は、正真正銘の新野菜。新しく生まれた野菜を広めるために開発されたご当地カレーのお話です。

ねぎにらは、1990年に栃木県農業試験場で開発された、ネギとニラの交配種。宇都宮の「新里ねぎ」を母、ニラの「きぬみどり」を父とします。不思議なことにニンニク風の香りがする野菜で、ギョウザの具にぴったりなのだとか。餃子の町、宇都宮を意識した新野菜ということなのでしょうかね。

実際に食べた感想も「餃子を入れたグリーンカレー」。予想以上に辛いですが、ココナッツミルクが入っているから食べやすくなっています。ちゃんとタケノコが入っている点も、グリーンカレーとして好ポイント。好き嫌いがはっきり分かれると思いますが、よく考えられている秀逸な商品ですから、好きな人はリピーターになると思われます。

ご当地カレーの紹介、次回は「ご当地食材」のアピールのために作られるご当地カレーの続きで、「ブランドをアピールするパターン」「自社の食材をアピールするパターン」のご当地カレーを取り上げます。

「ブランドをアピールするパターン」のご当地カレーは、美味しいカレーのオンパレード。次回もよろしくお願いします!

竹田あきら たけだあきら 歴史・哲学・文学から食べ物まで、人文系一般が大好物な野良ライター。130種類以上の”麻婆豆腐の素”を試食した「この麻婆豆腐がすごい!」、53種類のマーガリンを舐め比べた「このマーガリンがすごい!」など、食品をテーマにした情報系同人誌を、版元ひとり名義で多数制作。情報系同人誌イベント「おもしろ同人誌バザール」の”作者”でもある。 Twitter:https://twitter.com/JJFLOVER 版元ひとりECショップ:https://hanmoto1.base.shop/ おもしろ同人誌バザール公式HP:http://omobaza.com/ この著者の記事一覧はこちら

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