「次なる島忠」は? 買収劇から透けて見えた、ニトリの壮大な野望

ニトリホールディングス対DCMホールディングスによる島忠争奪戦は、大方の予想通りニトリの勝利で決着した。DCMの3割増しとなる、1株5500円のTOB価格を提示したニトリは、現経営陣による経営計画の遂行期間と、従業員の雇用維持期間も、DCMの3年を上回る5年を提示して島忠側との合意を実現した。これにより、島忠はニトリの完全子会社となる。

地方、郊外での出店余地が少なくなってきた中で、大都市進出を進めてきた勝ち組ニトリといえど、大都市でも場所の確保はなかなか進まないという様子がにじみ出ているデータであり、店舗さえ出せば売上が見込める状況にあるニトリとすれば、さぞや歯痒かったに違いない。そんな中、首都圏に2100億円分をまとめて投資できるチャンスが出たのであるから、これは黙ってはいられなかっただろう。

島忠を手中にしたことで首都圏攻略の道筋をつけたニトリであるが、インテリア、雑貨に加え、最近ではカジュアル衣料品への取り組みにも意欲を示している。「私のための大人服」を標ぼうし、婦人向けに展開するN+(エヌプラス)という業態はまだ11店舗ながら、郊外ショッピングモールを中心に着実に出店を進めている。現状ではまだ実験的な範囲を出ないかもしれないが、都市郊外部における女性客のニーズ取り込みということではニトリとしては外せないジャンルだと考えているようだ。

同グループは「ホームセンター」という業種に分類されているが、雑貨、インテリアなどを中心に多くの商品のプライベートブランド化に成功している。この会社が目指す姿もニトリと同じ製造小売業であり、今やその完成度と品ぞろえはニトリに並びつつあるといっていいだろう。

今回、島忠を傘下とすることに成功したニトリに対して「首都圏進出」で後れを取ることにはなるが、「カジュアル衣料品分野」ではベイシアグループが一歩先を行っている。着実な成長でぴったりと追随するベイシアグループとニトリは、首都圏争奪戦で相まみえることになるはずだ。既にこのジャンルで、首都圏の中心部で確固たる地歩を固めているMUJIブランドをもつ良品計画も交え、3社が競合として意識される日が来るのはそう遠くないだろう。

経済産業省の商業動態統計によれば、19年時点で首都圏における総合スーパーの非食品ジャンルの売上は、少しずつ減ってきたとはいえ、まだ1兆円程度残っている。前述のような競争環境を理由に残っているマーケットだとすれば、ニトリ、ベイシアグループのような新鋭製造小売業からみれば、フロンティアのように見えているのかもしれない。

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