昭和型の大企業で勝ち抜いてきた50~60代の特徴 あえて自分を持たず「気が利く八方美人」であり続ける

前回、昭和のおじさんは電子メールというデジタルテクノロジー導入がトラウマになっていることをご紹介しました。(前回はこちらをご参照下さい)
今回は、そんな人達の中で数々の出世レースを勝ち抜いて偉くなった人はどんな人だったのか? 勝ち組に焦点を当ててみたいと思います。デジタルテクノロジーに疎いエグゼクティブは、今なお少なくありません。にも関わらず彼ら(彼女ら)はなぜ出世したのでしょうか。今日は人事のプロである筆者が昭和型大企業における「出世の条件」を明らかにします。(文:People Trees代表 東野 敦)
自分で成し遂げたいことがある人ほど他人とぶつかり敵が増える1 上司の事を常に気にかけている
1 上司の事を常に気にかけている
ここで質問です。上司が忙しく、昼食を取る時間がなさそう。さて、皆さんはどんな行動を取るべきでしょう?
(1)見て見ぬふり(2)昼食時に昼食を買ってきましょうかと聞く(3)当日のスケジュールを予想し、11時頃に上司に「もし時間なかったらこれ食べて下さい」と好物を買って渡す
(1)見て見ぬふり(2)昼食時に昼食を買ってきましょうかと聞く(3)当日のスケジュールを予想し、11時頃に上司に「もし時間なかったらこれ食べて下さい」と好物を買って渡す
正解はもちろん(3)です。上司の事を常に気にかけている気の利く部下といえるでしょう。(2)までなら誰でも出来ますが、(3)はなかなか出来ません。期待を超えた対応が重要です。
その能力は飲み会でも如何なく発揮されます。上司の好きな店、飲み物を知っているのは当たり前、事前にお気に入りの焼酎ブランドの在庫を確認、当日はお湯なのか水なのかロックなのか、お湯の量、温度……甲斐甲斐しく上司に尽くします。たかが焼酎とあなどるなかれ。

もちろん、それだけではありません、上司が二次会に行きたいか行かないか? こっそり確認も怠りません。最後に上司をタクシーに乗せるまで、一切気を抜かず尽くし続けます。「出来る人」は気が利くのです。
2 敵を作らない
2 敵を作らない
出来る人は敵を作りません。上司の為に甲斐甲斐しく気を遣いながらも同僚や周囲にも気を配ります。決していやらしく上司に媚を売るわけではなく、上手に上司に尽くすので周囲の嫉妬を買う事はありません。時には周囲に甘えたり、上司から得た情報のお裾分けをしたりしながら、いろいろな人と仲良くしています。誰に刺されるか、誰が突然偉くなるか分からない大企業では、「出来る人」は一人に尽くしても無駄であることを既に知っています。いやらしさを出さずに八方美人を貫き通します。
3 自己の軸を持たない
3 自己の軸を持たない
ここまで読んで下さった方の中には物足りなさを感じている方がいるかもしれません。そう、気の利く八方美人は大企業にはよくいるのです。そんな事はみなさんもやってきたとおっしゃるかもしれません。でも出世できなかった……。
「気が利く八方美人」を量産してきた大企業ですが、そんな人たちの中で勝敗がついた要因は何か? それは自己の軸を持っていたか持っていなかったかです。
己があった場合、まず敵が増えます。なぜならば主張があるからです。自分が成し遂げたい仕事があればあるほど他人と意見がぶつかります。時には根回しも必要でしょう。その時はいったん勝利しても相手には恨まれる、そしてその相手が、自分の上司になったりした場合、結果は火を見るよりも明らかです。出世の条件、最後は自己の軸を持たずに常に相手の言う通りにしてきた人が勝ち抜くのです。

自分の軸を持つという事の難しさ
これまで日本で「成果主義」がネガティブな言葉として扱われてきたのは、その成果が結局のところ「上司への気遣い」「誰とでも仲良くする協調性」そして「自分の意見を主張せず人のいう事を素直に聞く」の延長上にあったからです。
こうした”成果主義”を導入することによって日本企業は更に弱体化しました。優秀な社員も実は組織内の有力者の意見を注視しているに過ぎなかったのです。一方で、成果主義を謳っていなくても、自立した人材がそれぞれ判断をしながら業績を伸ばしてきた企業も数多くあります。間違った「成果」(気配り・協調性・素直)を押し付けずに、それぞれが本当の意味でやりたいことをやってきた企業の方が成長した訳です。
そういった企業で社員にインタビューをすると特徴的は発言が聞かれます。「上からは何も言われないので、自分でやるべきことを考えながらやってます」。大企業がこぞって目指してきた世界が、成果を問わない企業の中で実現出来ていることは必然かもしれません。
これからの時代の成果主義は本当の成果(企業活動を通じた理念の実現)を出した人が報われる仕組みにしたいものです。そして顧客を一番に思い、建設的な対立を恐れず、自己の軸を持った人がリーダーになる日本企業であって欲しいと思います。
【東野 敦】 SUBARU・本田技研工業・江崎グリコにおいて人事を担当。主に海外進出や現地法人・国内グループ会社の人事部門の支援を行い、担当した国は20か国以上に上る。2019年にPeople Trees合同会社を設立。大手企業の副業メンバーを束ね、企業の経営者と共に志の溢れる人・組織を作るべく奔走中。【企業サイト:https://peopletrees.co.jp/】

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする