「ドコモ除外、シャープ追加」の日経平均、指数への影響は?

日本経済新聞社は、18日に子会社化に伴う上場廃止の可能性が高まったNTTドコモを日経平均株価指数の構成銘柄から除外し、新たにシャープを組み入れることを発表した。この変更は12月2日分から適用されることとなるが、市場では日経平均株価指数に組み入れられることを期待し、先回りでシャープ株を購入する動きがみられている。同社の株価は発表時から2割弱、株価を伸ばした。

NTTドコモといえば、時価総額12兆円の超巨大企業であるが、シャープの時価総額は7500億円程度と、そのサイズは10分の1以下だ。NTTドコモを代替する銘柄として、シャープを組み込むことに悪影響はないのだろうか。

株価指数の仕組み
日経平均株価やTOPIX(東証株価指数)のような株価指数には、時価総額によって影響度が変化する「時価総額加重平均型」指数と、時価総額ではなく株価水準によって影響を受ける「株価平均型」指数の2種類がある。

近年のトレンドは、時価総額の大きさによって指数への影響を調整する時価総額加重平均型が主流となっている。株価水準のみで単純平均する株価平均型の指数は、時価総額(つまり、社会に対する影響度の高さ)にかかわらず指数へ反映されてしまう。発行株数によっていかにも操作することができる株価を基準とすることによる不都合が発生しないためにも、TOPIXやS&P500をはじめとした数多くの株価指数は「時価総額加重平均型」で運用されている。

しかし、ダウ平均株価や日経平均株価のような株価平均型の指数は、各国を代表する指数で人気が高いこともまた事実だ。これらの指数は、一般的に時価総額加重平均型指数と比較して組み入れ銘柄が少ないため運用コストが小さい。また、1つの銘柄が指数に及ぼす影響が大きいため、価格変動や指数のパフォーマンスの面で時価総額加重平均型よりも有利になりやすいという構造もある。

現に、日経平均株価は特にアベノミクス以降、TOPIXを上回るパフォーマンスを出しており、同時期の米国においてもダウ平均がS&P500のパフォーマンスを上回っている。

日経平均への影響は◯◯円?
今回、シャープを組み込んだ日経平均株価指数は「株価平均型」指数であるため、時価総額の差は重要ではなく、株価水準の差分から指数全体に対する影響を推定していくべきだろう。

今回除外されるNTTドコモとシャープの株価を比較すると、その価格差は2466円だ。日経平均株価指数の構成銘柄は225銘柄であるが、単純に銘柄数の225で割ることで影響を測ることはできない。なぜなら、日経平均株価には、株式の併合や銘柄入れ替えの影響を緩和するために、分母の数字を225から調整する「除数」が用いられているからだ。この除数は、長い歴史の中で銘柄入れ替えや株式分割、第三者割当増資といったコーポレートアクションによって度重なる調整を受け、その数字は「27.731」と、当初の「225」の約10分の1となってしまった。

また、各銘柄は「みなし額面」による調整を受けるため、価格差をそのまま除数で割ることでも正しい影響は測れない。NTTドコモのみなし額面は500円であるため、日経平均株価の採用株価は、3876円 (50 ÷ 500)= 387.6円となる。一方でシャープのみなし額面は50円だ。したがってシャープの採用株価は1410円 (50 ÷ 50)= 1410円である。

そうすると、銘柄入れ替えによる影響は1410円から387円を引いた1023円を、除数である27.731で割ることで、36.9円程度のプラス寄与となる見込みだ。その影響は軽微にとどまることが分かるだろう。

ただし、時価総額の小さいシャープの方が会社の成長に伴う株価の上昇幅が大きいため、同社が堅調に成長を続ければ、中長期的にはNTTドコモよりもある種効率的に、日経平均株価の上昇に貢献するとも考えられる。

株価指数は、昔と今で全くの別物?
株式指数の特徴である「銘柄の入れ替え」だが、日経やダウが高値を更新しやすい性質を有する大きな要因のひとつがまさにこれにある。

特に銘柄が激しく入れ替わることで有名な株価指数が、ダウ30種平均株価指数だ。

現在から約30年前、1991年におけるダウ30種平均株価の構成銘柄には、米国のたばこ企業「フィリップモリス」や自動車企業の「ゼネラル・モーターズ」、そして原発銘柄の「ウエスチングエレクトリック」といった大型銘柄が数多く採用されていた。

この30ある銘柄のうち、今日までダウ指数に残っている銘柄はたったの7銘柄である。

IT革命による情報化社会に伴う産業構造の変遷によって、かつては米国を代表する30の銘柄に組み入れられていた製鉄や自動車業界は、IT業界にとって代わられることとなった。そして、ダウ平均と同様に日経平均株価の構成銘柄も、継続的に入れ替えが発生している。2000年4月には、225銘柄のうち、1割を超える30銘柄が一度に入れ替えられるなどして、当初採用された銘柄のうち、およそ7割程度が既に除外されているといわれている。

ここからいえることは、昔の株価指数と今の株価指数を比較することはできないということだ。バブル時のピークである3万8915円という株価水準は、構成銘柄の多くが入れ替わった今の日経平均では、全く意味を持たない数字であるといっても過言ではない。

足元ではバブル崩壊後の最高値を更新していると連日報道がなされているが、株価水準をバブル崩壊時から上回ったことから、直ちに足元の景気がバブル景気並みであるということはできない。中長期で景気のバロメーターを測るためには、株価指数よりもむしろ経済統計といった基礎的なファンダメンタルズ面を確認していくことが重要である。

(古田拓也 オコスモ代表/1級FP技能士)

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