やれるか、日産! 新型「ノート」大研究 第3回 日産車の新たな基準に? 新型ノートの「高品質感」とは

日産自動車が新型「ノート」でこだわったのが「高品質感」だ。電子音の音色やドアの閉まり音、スイッチの操作感などのさまざまな部分で、ユーザーに上質さや高級感を味わってもらおうと工夫を施したという。その意図や手法について事前取材会で担当者に話を聞いてきた。

ドアの音でも感じる品質の差
新型ノートの事前取材では、チーフエンジニアやデザイナーがクルマへのこだわりを説明していったのだが、その中の1つのパートが「高品質感活動概要」というものだった。

この領域を担当した第二製品開発部 主担の角田浩康さんによると、日産では「造り込まれた高品質感」を、ユーザーがクルマに近づいて乗りこみ、運転し、クルマを降りるまでの中で体感する“上質・高級感を感じる造りの良さ”および“お客様の期待を超える考えられた演出”と定義し、設計基準と技術ソリューションを構築したとのこと。「上質・高級感を感じる造りの良さ」では「一体感がある形状で、すっきりとした見栄え」や「触感の良さ、統一感のある操作部・操作音」など、「お客様の期待を超える考えられた演出」では「シーンに応じた演出(照明・音)」や「動きに変化を持たせた演出(開閉部)」にこだわったそうだ。

高品質感活動のアプローチは4段階に分かれる。まずはテーマを選定し、価値を具体化・定義した後、具体的な目標値を定量的に設定し、設計の要素や部品の構造に落とし込むというプロセスだ。新型ノートで同活動の対象となった部分は「ドア閉じ音」「グローブボックス閉じ感」「スイッチ操作感」など多岐にわたる。

輸入車に乗ると感じるのは、ドアの閉じ音が重いということ。「バスン!」といった感じのずっしりとした音が包まれ感や安心感などにもつながる。新型ノートでも、この音にはこだわったそうだ。

角田さんは「ドアはお客さまがクルマにコンタクトする最初の部分。重厚で納まりがよく、ガチャつかず、適度な大きさであることが上質さにつながります。ドアの音をよくするには剛性を上げ、板厚を厚くするのが簡単ですが、これにはコストがかかります」とする。そこで、日産ではドア閉じ音を解析し、高周波の音を発生させる原因を特定。その部分(ラッチかみ合い部)に工夫を施し、高周波音の発生を抑制した。

高品質活動に携わった日産の社員によれば、同社では「新たな指標として、さまざまなところで高品質感をクリアしないとクルマとして発売しない、ということにしてきています」とのこと。「高品質感」を感じる部分は人によって違うと思うので定義は難しそうだが、そのあたりは「いろいろな国のパネラーでも試して、ある程度『こうであろう』という仮説を」最初に設定し、それぞれのクルマに横展開で落とし込んでいくそうだ。つまり、ノートにもフェアレディZにも、ある程度は共通する日産の「高品質感」が盛り込まれるということだろう。そういう意味で、新型ノートは今後の日産車を見るうえでひとつの基準となりそうだ。

ちょっとひっかかったのは、高品質「感」と高品質は違うということだ。いい素材をたっぷりと使ってクルマを作れば、それは高品質なクルマになるはずだし、乗れば高品質だと感じられるはず。お金をかけてクルマを作れば、高品質はある程度、担保されるのだろうと思う。ただ、ノートは量販を狙うコンパクトカーである以上、予算にもきつめの制約があるに違いない。そこで、高品質「感」が大事になってくるのではないだろうか。そのあたりについて、前出の日産社員に聞いてみた。

「そうです。例えば前のノートでは、『見ても、触っても、やっぱり安い感じがする』といったようなお声を頂戴していました。材質として、あまり高いものは使えないんですが、新型ノートでは、例えばシボの打ち方を人の指紋の感覚に合わせてやってみるだとか、どこかを操作した時に硬いとか、カチャカチャするとか、壊れやすそうだとかといった感じがしないようにするだとか、そのあたりを追求しました」

お金ではなく、知恵で造り込んだ新型ノートの高品質感。実車に触れる機会があれば、各所を実際にチェックしてみてほしい。日産が考える「高品質なクルマ」とは何かが伝わってくるかもしれないし、今後の日産車がどうなっていくのかを考えるうえでのヒントが得られるかもしれない。

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