【森永卓郎の本音】コロナ無策の背景は何か

新型コロナの感染が急拡大している。21日の新規陽性者数は2592人と、過去最多を更新した。本来なら緊急事態宣言の発動や外出自粛の要請を出してよいレベルの数字なのに、政府の動きは鈍かった。それどころか、「GoToキャンペーン」を継続して、感染拡大をむしろ煽(あお)ってきた。
感染抑制に消極的なのは東京都も同じだ。かつて、「ステイホーム、ステイ・イン・トウキョウ」を打ち出して、国に先駆けて感染抑制策を打ち出した小池都知事も、東京の警戒レベルが「最高」になったにもかかわらず、飲食店等への営業時間短縮要請さえしなかった。なぜ、第3波に関しては、政府が強い感染抑制策を取らないのだろうか。
合理的な科学的な根拠は、たった一つしか見つからない。新型コロナの「弱毒化」だ。
厚生労働省の発表によると、11月18日時点の新型コロナの死亡率は1・5%と、7月15日時点の4・4%と比べて3分の1に下がっている。しかも、30代までの死亡率は0・0%で、40代が0・1%、50代が0・4%と、いまや現役世代は新型コロナに感染しても、ほとんど死ななくなっているのだ。
しかし、問題は高齢者だ。現時点の死亡率は、60代で1・9%、70代で6・2%、80代以上は14・8%と、かなり死亡のリスクが高いのだ。感染が拡大すれば、多くの高齢者が死ぬのは、確実なのだ。
経済学者には、「清算主義」あるいは「創造的破壊」という思想を持つ人がたくさんいる。経済成長をするには、生産性の低い企業を潰して、生産性の高い企業に資源を集約しなければならないとする思想だ。もしかすると、政府が「生産性の低い」と考える高齢者を清算しようとしているのではないかと思ってしまうほどの動きの鈍さだ。
(経済アナリスト)

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