「本当のうまさ」とは?キリンとバーミキュラを代表する二人が対談!

コロナ禍のなかでも、キリンビールが新ジャンル商品として発売した「本麒麟」は絶好調だ。本麒麟がこれほどまでにヒットした理由はなんなのか? 同じく「バーミキュラ」をヒットさせている愛知ドビーの副社長、土方智晴氏とキリンビールのマスターブリュワー、田山智広氏が対談した。

コロナ禍でも売れた製品とは?
新型コロナウイルス感染拡大の影響により、人々の生活様式は大きく変わった。その影響は消費トレンドにも及んでおり、2020年にはこれまでとは異なる新たな商品が人気を博している。

キリンビールの新ジャンル商品「本麒麟」もそんな商品のひとつだ。発売から3年を迎えた本麒麟は、14億本を超える販売数を達成しており、さらに2020年1~10月は前年比約140%と記録的な成長を続けている。

一方、調理器具という分野でヒットを飛ばしているのが愛知ドビーの「バーミキュラ フライパン」だ。1万5000円を超える価格ながらも注文が殺到し、現在は約4か月待ちの状態。上半期ヒット商品番付にも入った。

コロナ禍でヒットしたこの2つの製品に共通していることとはなんだろうか? キリンビールのマスターブリュワー 田山智広氏と愛知ドビーの代表取締役副社長 土方智晴氏の二人による、11月13日に行われた「本麒麟×バーミキュラ スペシャル対談会」の様子を見てみよう。
「本当のうまさ」を追求した本麒麟とバーミキュラ
本麒麟とバーミキュラ フライパンは、お酒とお鍋というまったく異なるジャンルの製品だ。しかし両者にはある共通点がある。それは「本当のうまさを追求していること」だ。

バーミキュラ フライパンを実際に使用したという田山氏は、「正直驚きました。シンプルな目玉焼きから作ってみたのですが、いままで作ったなかで最高においしい。お肉を焼くときも、『シンプルなステーキでいいじゃん』という考えに変わりました」と高く評価する。

一方で土方氏は「最近はクラフトビール以外飲んでいなかったのですが、本麒麟を飲んで『こんなおいしいビールがあるんだ』とびっくりしました」と話す。

「私はビールとか新ジャンルに限らず、バーミキュラに合うお酒しか飲みません。最初のコクのある苦み、口からなくなった後も続くような心地よい甘みと余韻、たとえるなら上品な水出しの昆布だしのような雑味のなさを感じました」(土方氏)。

バーミキュラと本麒麟が支持されている理由
土方氏が、代表取締役である兄とともに最初の製品である鋳物ホーロー鍋「バーミキュラ」を作った理由は「世界一おいしい料理が作れる鍋を作りたい」という思いにあったという。

「”おいしい”ってすごく曖昧で難しい。言葉にすればするほど伝わらない。そんななかでバーミキュラがおいしいといったものは想像を超えるおいしさなんだということを伝えたかった。いま支持されているのは、『バーミキュラがおいしいといったのだからおいしいのだろう』と信頼してもらえているからなんだと思います」(土方氏)。

一方、田山氏は本麒麟が支持されている理由を「本当においしい、うまいというところに尽きると思う」と話す。

「気取ったおいしさではなく、日常の大切な時間に信頼できるおいしさが支持をいただいていると思います。我々もこだわって中身を作っており、その結果、本麒麟が勢いのあるブランドに成長したのではないでしょうか」(田山氏)。

田山氏は、本麒麟の支持層を「日常のなかでビールが欠かせないものになっているお客様」と分析。「時にクラフトビールを飲むことがあったとしても、普段から安心して飲めるというのが本麒麟が選ばれている理由」だと話す。実際、本麒麟はリピート率が高く、本麒麟を飲んでいる人を通じて新規顧客も増えるという好循環を生んでいるそうだ。

土方氏も、「本麒麟があると料理がおいしく感じると思うんですよ。幅広い料理に合うと思うので、新しいお客様もリピートする方も増えているのかもしれませんね」とこの分析に賛同する。

「我々バーミキュラの製品は高額ではありますが、日々を上質に生きたい方、丁寧な暮らしをされたい方に支持されていると考えています。普通に作ってもおいしくなるというのが重要で、それが感動体験に繋がります。そうすると人を家に呼びたくなるでしょう。そんなコミュニケーションツールになってほしいですね」(土方氏)。

コロナ禍で購買のトレンドはどう変わった?
近年、購買のトレンドとして「身近で最高のもの」を選ぶ風潮が生まれてきている。田山氏はこれに対し「情報だけでなくいろいろな経験が積まれていると思います。例えばアメリカはクラフトビールの市場が非常に大きいのですが、2~3年前からピルスナーを作り始めているんですね。やはりいろいろなものを経験して一巡するというか、ここに帰ってくる」と話す。

「普段飲むときには毎日飲みたいものに帰ってくる。毎日が晴れの瞬間ではないので、日々の日常を大切にしたいという思いが高まっているのでしょう。ちょっとした上質感をチョイスするのがポイントになっているのかなと思います」(田山氏)。

そういった近年のニーズにハマったのが、「また飲みたいなと思わせるおいしさ」を目指して作っているという本麒麟なのだろう。
ぜひわかってほしい「こだわり」
話題は本麒麟とバーミキュラ フライパンのこだわりへと移る。田山氏は本麒麟のこだわりについて「長期熟成や原材料など、すでに語りつくしている」と言いつつも、これまで話してこなかったこだわりについて語った。

「ホップは複数使っています。キリンビールではチェコ・ザーツ産ホップを最高級として扱っていて、ふんだんに使います。本麒麟でも使っていますが、我々にとっては当たり前のことなのでこれまであまりしゃべっていませんでした。ですがこのホップが本麒麟のおいしさを下支えしています」(田山氏)

土方氏はバーミキュラ フライパンのこだわりとして、食材から出る水分を一瞬で蒸発させ旨味を凝縮させる瞬間蒸発性能を挙げる。これを実現するためには通常3mmほどの厚さが必要だが、重量が4~5kgになり日常で使うのは難しくなる。しかしバーミキュラ フライパンは、半分の厚さの1.5mmで鋳物を作ったそうだ。

だが、これに800度でホーローの焼き付けを行うと、鋳物の温度を大きく超えてしまい、炉の中でぐにゃぐにゃになってしまう。バーミキュラは、ホーロー加工を可能にしながら歪まないようにするため、建築の構造設計のように20パーツに分けて、そのパーツを0.1mm単位で管理・加工しているという。

この話を聞いて「そういうこだわりって、語りたくなりませんか?」と問いかける田山氏に対し、土方氏は「今回一番我慢したのはそこで、一番重要なのはお客様に感動していただけるかどうかです。伝えなければいけないのは技術ではなくて、いかに感動できるかという点だと思うんです。なので炭火焼のように焼けるとかそういうことばかり言ってます」と返した。

「おいしいは生きる力」
話は2021年のトレンドに移る。田山氏は「コロナ禍がどうなるかわからない状況ですが、確実に元には戻らないですよね。今まで当たり前だったことが今年で全部覆りました」と話し始める。

「当たり前が当たり前でないということを痛感し、見直すきっかけになったのではないでしょうか。お酒の業界では宅飲みが増えました。命に対する危機感、不安感があるなかで、楽しい時間の過ごし方が意識されるようになっていると思います。そんななかでは、普段の生活を彩れる商品が支持されるでしょう。私は『おいしいという感情は、生きる力を引き出す』と考えています。おいしさはたくましく生きていくための能力。生きる力を引き出す力を、おいしいという気持ちは持っています」(田山氏)。

「おいしいは生きる力」…… 土方氏はこの意見に賛同しつつ、「試作を重ねて完成したバーミキュラ製品で作った料理は本当においしかった」と開発時のエピソードを披露した。
本当の”うまさ”とは?
最後に結論として、両者は「本当の”うまさ”」について互いの意見を述べた。土方氏は「いろんな段階があると思っていて、最終的には”人間関係が変わるおいしさ”。『人を呼びたい』『ホームパーティを開きたい』と人に伝えたいと思うこと」と語る。

一方、田山氏は「本当においしいっていうのは『毎日おいしい』ということなのではないか」と話す。

「ゴージャスな料理もいいが、三食毎日はきつい。また食べたくなる、また飲みたくなる、そこがすごく大事だと思います。ためいきをつきながら『おいしい』というシーンはまずないじゃないですか。『おいしい』と思うと気持ちも上向きになるし、時間をポジティブに変えてくれる。勇気を与えてくれる、鼓舞させてくれる、そんな前向きになるおいしさを作っていきたいと思います」(田山氏)。

モノづくりへの強いこだわりを持った2人の対談は、こうして幕を閉じた。対談後、年末にふさわしい本麒麟のおいしい飲み方を和気あいあいと話す二人。土方氏は、本麒麟の苦味に会う料理として、バーミキュラ フライパンでラムチョップのソテーを作ったという。

田山氏は、グラスにこだわることを提案。単純に飲むというだけでなく、お気に入りのグラスに注ぐなど、ちょっとしたこだわりをはさむとおいしさがアップするという。なお、土方氏は温度をぬるめの12度くらいにしているそう。田山氏はこれに対し「通ですね。冬はちょっと高めがいいよね。温めて上げると香りが立ちまろやかになる」と満足げに話した。

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