安東弘樹のクルマ向上委員会! 第42回 マツダらしさとは? 安東弘樹、「MX-30」に乗る!

マツダが発売したコンパクトSUV「MX-30」。電気自動車(EV)としての発売を予想していたところ、まずはマイルドハイブリッド車(MHV)から世に出てきたことで少し驚いたが、乗り心地と使い勝手は実際のところどうなのか。安東弘樹さんがユーザー目線で試乗した。

※文と写真はマイナビニュースの藤田が担当しました

まずは簡単にクルマの紹介をしておくと、MX-30はマツダが独自のマイルドハイブリッドシステム「M ハイブリッド」を搭載して発売した新型コンパクトSUVだ。特徴的なのは、観音開きの「フリースタイルドア」を採用しているところ。クルマのサイズ感は同社のコンパクトSUV「CX-30」とほぼ同等だ。マツダは今後、EVバージョンのMX-30も発売する計画としている。

MX-30のMHVには2輪駆動と4輪駆動の2種類がある。価格は前者が242万円、後者が265.65万円。ここに好みのオプションを付けていくことでクルマの価格が決まる。

安東さんは駆動方式の異なる2台のMX-30に続けて試乗した。まずは4輪駆動車だ。
これは安い!
安東弘樹さん(以下、安):マツダ車ではおなじみの横に長いナビが付いていますね。もうちょっと面積が欲しいかなといつも思うんですけど、どうですかね?

マイナビニュース編集部(以下、編):最近の新型車だと「12.3インチ」の画面がどうこう、という話もよく聞きますので、そういうのと比べれば小さいですよね。

安:ですよね。もうちょっと天地が欲しいというか、進行方向を確認するには縦に長いほうがいいような気がします。ただ、この画面がこれ以上高いところまで伸びていると、視線には干渉しますね。

編:もう少し下に持っていって縦に伸ばせばよさそうなものですけど、そうするとダッシュボードのデザイン的に統一感がなくなってしまいそうですし、難しいところですね。

安:あ、運転席側にも手すり(アシストグリップ)が付いているんだ。

編:それって、欲しい装備ですか?

安:欲しいですね。降車のときにも使えますし。

グローブボックスを開けてみてもらっていいですか? なるほど、ダンパーは付いているようですけど、中はちょっとプラスチッキーですね。あと、カップホルダーのふたなんですが、せっかくコルクの質感がおしゃれなのに、開閉感がパカパカしていて、もう少し工夫が欲しくなかったですか?

編:工夫しがいのありそうなパーツですけどね(笑)。

安:せっかくおしゃれな感じなのに、ちょっともったいないような。

安:ステアリングにパドル(指で引く操作でシフトチェンジできる装置。マニュアル車のようにギアを選んで走れる)が付いているんですね。メーターの表示はスピードがデジタルでタコがアナログ(針がエンジン回転数を指し示すタイプ。メーターの表示はいくつかの種類から選べる)。マツダさん独特の表示ですが、こうしているのは何か理由があるのかな。

シフトも面白いですね。「P」はノブを横に入れるんだ。

安:走ってみると、ちょっときつめのコーナーでもロールしないですね。これはすごい。ライド感には好感が持てます。ただ、ギアが6速までしかないのは、時代的にどうなんでしょう。時速100キロで2,700回転も回っていますし……。

あとは、実質燃費がどのくらいかですよね。瞬間燃費は13.2km/Lで、割といい数字が出ていますけど(このときは高速道路を走行中)。

編:燃費はWLTCモードで2輪駆動が15.6km/L、4輪駆動が15.1km/Lです。

安:4輪駆動モデルで価格はいくらでしたっけ?

編:車両本体価格が276万円ちょっとです。

安:それは安いなー! オプション込みだと?

編:この試乗車は332万円ですね。

安:なるほど。ということは、コミコミで350万円くらいでしょうか。

編:オプション、いろいろ付いてますよ。

安:オプションの価格がそんなに高くないのは日本メーカーの特徴ですけど、最初から付けておけばいいのにと思うような装備も、オプションに入っていることがありますね。例えば、斜め後ろのクルマを検知するブラインドスポットモニターとか。

私は学生のころから、クルマとなるとお金に糸目をつけないというところがあったので、それは年収100万円台のころからそうなんですけど、だから、オプションの何を選んで、何をあきらめるかというところの感覚が、なかなか人とは合わないんですよね。

編:何を妥協するかの基準が、安東さんと我々では違うのかもしれないですね。

安:生活費は最低限の食費以外はゼロでもいいくらいで、時計にも洋服にもこだわりがないですし、ヨーロッパブランドのスーツなんて買ったことがないですから。

編:着る人がいいから、何でも似合うんじゃないですか?

安:いやいや(笑)。ただ単に、クルマ以外にお金をかけたくないというのが本音なんです。

安:トルクが、ちょっと少ない気がします。

編:2.0Lのガソリンエンジン(SKYACTIV-G 2.0)と同じですから、199Nmですね。それに、モーターが49Nm。

安:そうすると、250Nm弱か。うーん。加速しようと思ったときに……。まあ、でも、自分のクルマ(メルセデス・ベンツの「E220d 4MATIC オールテレイン」)が400Nmで、昨日試乗したBMW「M235i xDrive グラン クーペ」が450Nmだったので、こういう感じ方になるのは仕方ないのかな。

編:MHVのモーターに押されているような感覚って、運転していて感じますか?

安:強めにアクセルを踏んでみましたけど、モーターの加速感といったようなものはあまり感じませんでした。少なくとも、EVみたいな感じではありませんね。

安:テールゲートはやっぱり、電動にして欲しいかな。意外に使うんですよ。私の妻は本当に非力なので、電動じゃないとリアルに閉められないことがあります。

編:手動のテールゲートは意外に重いですし、閉めようと思っても高くて手が届かないということもありそうです。

安:ましてや片手に子供を抱いているときなんかは、本当に無理なんです。男性でも、片手だと「よっこらせ」という感じになりますよね。このくらい高さのあるクルマだと、電動にした方がいいと思うんですけど、コストの問題ですかね。

編:Dピラー(後部座席の窓の後ろにある柱)を意図的に寝かせてあるらしいので、何か技術的な問題があるのかもしれませんね。

安:なるほど。ただ、Dピラーが寝ているという意味では、あそこを走っているポルシェの「パナメーラ」も同じですけど(たまたま近くにパナメーラがいた)、向こうには電動テールゲートが付いているんですよね。だから、付けられないということはないと思うんですよ。

ただ、向こうは下のほうのグレードでもオプションを付けていけば1,500万円を超えるクルマで、こちらは200万円台からですから、なんともいえません。逆にいえば、かけられるコストがこれだけ違うのに、よく同じ「自動車」を作っているなと感心させられます。

編:同じクルマなわけですもんね。

確か「アテンザ」(現在はマツダ6)の取材のときだったと思いますが、マツダの方も、コストをもっとかけられるなら、あれもしたいしこれもしたいっておっしゃってましたよね。

安:あー、確かにそうでしたね。高価でも買いたいと思わせるメーカーに、なれればいいんでしょうけど。

編:同じような販売台数の規模感でも、ボルボあたりとは使える金額が違うんですかね。最近のボルボ車は、ラグジュアリーなクルマというイメージがありますけど。

安:お金、かけてますもんね。「ボルボなんか、欧州では大衆車メーカーだ」などという人もいるみたいですけど、それは違うと思います。確かに、30年前くらいまでは「頑丈なだけのクルマ」というイメージだったのかもしれませんけど。
EV専用ではなかったこと、どう思った?
編:MX-30は当初、EVのみで発売になると思っていたんですが、MHVから世に出てきました。このあたり、どんな印象ですか?

安:2019年の東京モーターショーでMX-30を初公開したとき、マツダさんは「EVで発売する」「新しい価値を創造する」といっていたと思うのですが、最初にMHVが出てきました。ただ、MHVって、燃費の面でも加速感も、ほとんど普通のガソリンエンジン車みたいなものじゃないですか。そこが、ちょっとマツダらしくないというか……。やっぱり、ほかのメーカーとは違うことをやるのがマツダだと思うんです。MX-30では、思いっきり「とがって」くるのかなと思っていました。だから、「マツダらしくない」と自然に、本能的に感じてしまいました。

編:EVだけでは販売台数がそれほど見込めないと思うので、MHVはビジネス面も考慮したうえで投入したのかもしれませんね。

安:そうかもしれません。ただ、200万円台のガソリン車を主に売っていくんだとしたら、このクルマの存在意義といいますか、「CX-30と何が違うの?」という話にもなりかねないという心配はあります。

「試乗は高速道路が中心でしたけど、平均燃費は悪くない数字ですね。このクルマ、ディーゼルエンジンを積むとか、ディーゼルMHVで発売するという手はなかったのかな。そのあたりも聞いてみたいです。クルマの素性としては、非常に好きな感じではありました」。MX-30(1台目)の試乗をこう振り返った安東さん。次回は2輪駆動(FF)モデルの試乗の模様をお伝えしたい。途中で後部座席にも乗ってもらったが、はたしてその感想は?

安東弘樹 あんどうひろき 1967年10月8日生まれ。神奈川県出身。2018年3月末にTBSを退社し、フリーアナウンサーとして活躍。これまでに40台以上を乗り継いだ“クルママニア”で、アナウンサーとして初めて日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員を務める。 この著者の記事一覧はこちら

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