アーリーリタイアとは? 実行するならいくら必要?

コロナ禍で、早期退職を募る企業が目立ってきています。早期退職=アーリーリタイアをするにはいくら貯蓄があれば可能なのか、30代、40代、50代でアーリーリタイアした場合に必要な金額を算出してみました。また、アーリーリタイアを実現するための方法やアーリーリタイアに潜む問題点なども合わせてご紹介します。

アーリーリタイアとは
アーリーリタイアとは、早くに仕事を辞めて、残りの時間を貯蓄や不労所得などで生活をすることです。仕事から解放されて、のんびり余生を送る……。本来の意味を考えればアーリーリタイアは憧れの言葉です。

しかし、現実問題として起こっている、企業による早期退職の勧奨は、消極的アーリーリタイアといえるかもしれません。アーリーリタイア後は、今までの仕事による収入がなくなるため、その後の生活費×年数分の貯蓄がないと実現できません。つまり、仕事以外の経済的な自立を手に入れている人でないと成し遂げられないのです。中には「アーリーリタイア(完全リタイア)」は無理でも「セミリタイア」ならできるという人もいるでしょう。セミリタイアは、完全に仕事を辞めずに、別に仕事を持つなど、収入を得られる状況を持ち続けていることです。こちらの方が現実的といえます。早期退職の勧奨を受けて退職した場合でも、副業収入があれば安心できます。
年代別アーリーリタイアに必要な資金は?
アーリーリタイアをするには、どのくらいの資金が必要でしょうか。30代、40代、50代のそれぞれでアーリーリタイアをした場合に必要な金額を計算してみました。

計算の方法は、1年間の生活費×退職後の年数とし、65歳以降は年金収入を含めて90歳まで計算します。計算の前提として、1年間の生活費は家計調査(二人以上の世帯)※を参考に、65歳までは年間360万円、65歳以降は年間300万円として計算しています。年代ごとに詳しく見てみましょう。

※家計調査報告(家計収支編)2019年(二人以上の世帯)|総務省
<30代でアーリーリタイアをする場合>

30代でリタイアをすると定年の65歳まで26年~35年あります。ここでは間をとって、35歳でリタイアしたとして計算してみましょう。

(1)360万円×30年=1億800万円

65歳以降の年金収入を180万円(※)とします。
※高齢無職夫婦を想定し、基礎年金80万円×2、厚生年金20万円(平均標準報酬額30万円10年間勤務)として計算

(2)(300万円-180万円)×25年=3,000万円

(1)+(2)=1億3,800万円

35歳でアーリーリタイアする場合、約1億3,800万円の資金が必要ということが分かりました。
30代でどうやったら実現できる?

35歳でそれだけの貯蓄があるというのは稀なケースだと思います。株式投資や不動産投資などで大きく財を成した人が、その後もそれらによって不労所得を得られれば可能です。しかし限られたケースであるため、30代でのアーリーリタイアは現実的とはいえないでしょう。
<40代でアーリーリタイアをする場合>

40代でリタイアをすると定年の65歳まで16年~25年あります。ここでは間をとって、45歳でリタイアしたとして計算してみましょう。

(1)360万円×20年=7,200万円

65歳以降の年金収入を200万円(※)とします。
※高齢無職夫婦を想定し、基礎年金80万円×2、厚生年金40万円(平均標準報酬額30万円20年間勤務)として計算

(2)(300万円-200万円)×25年=2,500万円

(1)+(2)=9,700万円

45歳でアーリーリタイアする場合、約9,700万円の資金が必要ということが分かりました。
40代でどうやったら実現できる?

30代でリタイアするよりは、現実的になってきました。しかし1億円弱の貯蓄ができる人はごく一部でしょう。23歳から働き始めて、45歳までの22年間で年間441万円、毎月37万円ほど貯金ができれば可能ですが、厳しい金額といわざるを得ません。完全リタイアではなく、副業収入が見込めるセミリタイアであれば実現の可能性は高くなります。
<50代でアーリーリタイアをする場合>

50代でリタイアをすると定年の65歳まで6年~15年あります。ここでは間をとって、55歳でリタイアしたとして計算してみましょう。

(1)360万円×10年=3,600万円

65歳以降の年金収入を220万円(※)とします。
※高齢無職夫婦を想定し、基礎年金80万円×2、厚生年金60万円(平均標準報酬額30万円30年間勤務)として計算

(2)(300万円-220万円)×25年=2,000万円

(1)+(2)=5,600万円

55歳でアーリーリタイアする場合、約5,600万円の資金が必要ということが分かりました。
50代でどうやったら実現できる?

55歳までに5,600万円貯蓄することは、不可能ではない数字になってきました。23歳から働き始めて、55歳までの32年間で年間175万円、毎月14.6万円ほど貯金ができれば可能です。早いうちから積立投資を行ったり、不動産所得を得る道筋をつけたりすれば、貯めることができる金額ではないでしょうか。
アーリーリタイアの注意点
最後に、アーリーリタイアをした場合の注意点をお伝えしたいと思います。

1.資金が不足する場合がある

アーリーリタイアに必要な貯蓄額はあくまでも目安であるため、生活レベルによっては、足りなくなる場合があります。そのような時に、生活を見直し、収入源を確保する柔軟さがあれば乗り切ることができるでしょう。

2.再就職が難しい

資金不足から再び働くことになった場合、ブランクがあること、年齢が高くなっていることから、再就職は厳しい状況となります。そのため、完全にリタイアではなく、セミリタイアにして、スキルを陳腐化させないでおくといざという時に役に立つかもしれません。

3.社会的信用が得られない

アーリーリタイアをすると、その後は無職となります。今まで持っていた仕事での肩書がなくなることで、社会的な信用を得られなくなる場合があります。クレジットカードを作れない、ローンを組むことができない、賃貸物件に入居できないなどのデメリットが生ずる場合があります。

4.社会とのつながりが乏しくなる

アーリーリタイアで自由を手に入れることと引き換えに、今まで所属していたコミュニティから離れることで、社会とのつながりをなくす人もいます。アーリーリタイア後も趣味などを通して、新しいコミュニティに積極的に加わるようにするとよいでしょう。
現実的なアーリーリタイアは?
アーリーリタイアには大きな資金が必要です。そのため自分には関係ないと思っている人もいるでしょう。また、これからの時代は、いかに長く働くかに主眼が置かれているので、アーリーリタイアという選択に後ろめたさを感じている人もいるかもしれません。

しかし、本来の退職よりも1、2年早く退職することもアーリーリタイアです。その場合はそれほど非現実的な話ではありません。アーリーリタイアによって、人生の選択が広がる場合もあります。50代に入ったら、今後の人生を考える上で、一度検討してみてもいいかもしれませんね。

石倉博子 いしくらひろこ 女性のためのお金の総合クリニック!「エフピーウーマン」認定ライター。/ファイナンシャルプランナー(1級ファイナンシャルプランニング技能士、CFP認定者)。“お金について無知であることはリスクとなる”という私自身の経験と信念から、子育て期間中にFP資格を取得。実生活における“お金の教養”の重要性を感じ、生活者目線で、分かりやすく伝えることを目的として記事を執筆中。 この著者の記事一覧はこちら

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