リモートワークで「顔が見えづらい」中で、人事評価はどうすべきか

昨今、新型コロナウイルスの感染拡大の影響でリモートワークが急激に普及しました。そんな中、問題になっているのが「人事評価が難しい」ということです。

顔が見えづらいリモートワークの人事評価、何を見て評価する?
タイトルの揚げ足を取るような言い方ですが、そもそも人事評価で顔を見る必要はありません。評価で大事なことは「結果」で評価すること。これはリモートワークであっても、対面で仕事をしていても変わりません。直接顔が見えなくなったから評価が変わるなどということがあれば、そもそもの仕組みに問題があるでしょう。

日本企業は昔からプロセスを評価しがちですが、結果だけを見て評価できる仕組みを整える必要があります。

例えば、営業で新しいお客さんを3人獲得するという目標があるとします。そのために、アポイントを取る“電話掛け”を1000件することは手段であり、決して目標ではありません。電話掛けではなく、メールマーケティングになるかもしれないですし、はたまた全く別のやり方があるかもしれません。もしも目標を達成していないのにプロセスを評価していては、会社は潰れてしまいます。

目標達成のためにどのような行動を取るべきかという手段は、現場から生まれなければなりません。そのためには上司の適切なマネジメントが必要なのです。それでは、結果を出すためには、どのようなことが必要なのでしょうか。

部下のマネジメントのために上司に求められること

まず、非常に重要なのは曖昧な目標にしないことです。目標が達成されない最も大きな原因として、スタートの時点で目標が曖昧になっているという場合があります。

例えば、「新しいサービスを生み出す」や「勉強会を開催する」などでは、内容が何でも良くなってしまいます。また「部下の日報にコメントをする」などは業績につながらないため、業績評価として評価するべきではありません。

具体的にいうと「業績目標」と「成長目標」の2つに分けて目標を設定することをおすすめします。会社の業績につながる「業績目標」は昇給昇格に連動させ、先述した「部下の日報にコメントする」など、社員のキャリア形成につながる「成長目標」は昇給昇格には連動せず設定するものです。

また、上司から押し付けるような目標の設定では、部下は納得感を得られません。部下の目標を、それぞれの描くキャリアや持っているスキルに合わせて、上司と部下の面談で決めていきます。「ここまで達成したら30点、ここまでなら70点」という指標を、上司と部下の間で合意を取ってから定めることで、目標設定および、業績評価への納得感を作ります。こうして立てられた目標の進捗(しんちょく)を月に一回を確認して、達成のためのPDCAを回すサポートを上司は行います。

日報にも1%単位で進捗を記入させることで、常に目標を意識させることも重要です。なぜなら、評価が行われる半年後、立てた目標を忘れているのが一番無意味だからです。

経営者は「社員の目標が全て達成されたら会社の目標が達成されるか」という観点で社員の目標をチェックする必要があります。こういった目標を作成させるために必要なのは、会社の長期の事業構想やマーケティングプランなどを現場レベルまで理解させることです。会社が目指す方向を現場が理解していれば、現場が好きなように目標を設定してしまうことを予防することができるだけでなく、社員それぞれも会社の方向性を考えて日々の仕事に向うことができます。こういった会社の長期目標と連動性のある目標が現場から生まれる仕組みづくりが必要なのです。

リモートワーク下での社員の評価
リモートワークになったことで人事評価が難しいといわれるのは、手を止めてしまっていないかなどの視覚に頼った姿勢の評価が難しいからです。これを予防するオンラインならではの施策は簡単です。一言で言うならば「リモートワークでもチームで動く感覚を作る」ことです。

そのための1つ目の施策は、朝昼晩のショートインターバルで、部下の進捗確認を行うことです。朝一番にその日のタスクを確認して、お昼には午前の進捗を確認し、進捗状況によっては優先順位を伝えてタスクの管理を行います。退勤時には振り返りのミーティングを行い、一日の進捗を確認します。こうすることで、日々の進捗が大きく遅れることを防止できます。これは本来、リモートワークであるかどうかに関わらず実施して、部下のマネジメントとして行うべきことです。

ビデオ会議をチームでつなぎっぱなしにしておく、という施策もあります。基本は画面オフでも構いません。これをすることでリモートワークの欠点である相手の状況や事情が分からない点が解決され、部下の進捗への心配や、リモートワークで起こる「とっさの確認ができない」というデメリットを解決できます。

最後の施策は、日報の質を高めるというものです。これだけの手を尽くしても、リモートワークではどうしてもコミュニケーション量が減ってしまいます。そこで、これだけは把握しておかなければならないという情報を、日報のフォーマットにすることで報連相の抜け漏れを防止しています。

おすすめするフォーマットには8つの情報があります。(1)数字実績の報告、(2)お客さまの声(褒められたこと・指摘・クレーム)(3)ライバル(競合)の情報、(4)市場やビジネスパートナーの情報、(5)スタッフや部下の情報、(6)自分の考え(所感)(7)提案、(8)周囲への感謝・称賛です。

きちんとしたフォーマットを定めておかなければ、(6)の所感ばかりを書いてしまい、(1)の業績に関わる部分が抜け落ちてしまうため、日報を日記にさせない仕組みを整える必要があります。(7)の提案は、会社が打ち出すべき新しい施策やサービスの提案を社員がいつでも行えるというものです。

経営者はこれら全てに目を通し、良い提案はすぐに導入します。また、リモートワークにおいては(8)の感謝・称賛が重要になります。仲間への感謝や、仕事への姿勢や気遣いを称賛することで、社員の中に理想の姿が具体的に描かれ、組織を一枚岩にする機能もあるのです。

こういった施策を進める中で重要な上司のスタンスは、部下に評価者として接するのではなく、目的達成の最大のフォロワーであることが重要です。上司の業績目標を、部下の業績目標の達成にすることも、上司のモチベーションを高める良い方法です。リモート下でも部下のモチベーションを高め、部下を心から高く評価できる状況を作っていきましょう。

筆者:近藤悦康(株式会社Legaseed代表)
“日本一学生を集める”新卒採用のプロ。大学院に進学と同時に、人材教育会社に入社。営業部に配属される中、新しい新卒採用人事の仕組みを作り出し、1年間で2万人以上が応募する企業に発展させた。その後独立し、人材採用と人材育成のコンサルタントを経て、2013年11月、株式会社Legaseedを設立。人材採用コンサルティング、 社員教育・組織活性コンサルティング、学生向けキャリア教育事業などを手掛ける。創業6年で応募者1万7000人企業に成長した。

同社のユニークな人材採用コンサルティングの手法と採用活動が話題となり、テレビや雑誌をはじめ多数のメディアに採用の様子が取り上げられ、注目の経営者となる。昨年の「楽天みん就」による、2021年卒学生のインターンシップ人気企業ランキングにて、大手企業を抑え10位にランクイン。

主な著書に「はたらくを、しあわせに」「伸びてる会社がやっている「新卒」を「即戦力化」する方法」(共に、クロスメディア・パブリッシング)、「内定辞退ゼロ」(実業之日本社)などがある。

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