欠陥だらけ GoToイートが飲食店よりグルメサイトを儲けさせる制度なのは、菅首相と「ぐるなび」会長の特別な関係が影響か

「トリキの錬金術」に続き「無限ループ」……今月始まった「GoToイート」事業をめぐって、さまざまな問題が起きている。
「GoToイート」キャンペーンは、主にプレミアム付き食事券の発行と消費者へのポイント付与の2種類があり、ポイント付与は「ぐるなび」「食べログ」などの13のグルメサイトを通して飲食店を利用した場合、昼食は500円分のポイント、夕食は1000円分のポイントが付与される。
「トリキの錬金術」とは、居酒屋チェーン「鳥貴族」で300円程度のメニュー1品だけを注文して1000円分のポイントを受け取るというもの。店側は予約サイトに手数料を払っているうえ、席を一定時間予約のために空けているのに300円程度の1品で帰られたら、むしろマイナスになってしまうという事態にもなる。
また、「無限ループ」とは、1回夕食をとって1000円分ポイントを貰えば、そのポイントを使って食事をしてもまた1000円分のポイントが貰えるため、最初の1000円だけで無限に食事をし続けられるというもの。
こうした手法の横行から、税金を使ったキャンペーン内容としてはたして適切なのか、疑問の声が起きている。
いずれも、制度の抜け穴を利用したものであり消費者側が違法行為をはたらいているわけではない。このような抜け穴のある杜撰なキャンペーンそのものの問題だ。
しかし、政府は消費を喚起するという目的にはかなっているとして、抜本的な改善に動く様子はなく、付与ポイント未満の利用を抑制するよう、グルメサイトを通じて飲食店の側に求めるというくらい。それどころか、「無限ループ」にいたっては、西村康稔コロナ担当相みずからが、会見で推奨していたほどだ。

消費を喚起することが目的というが、このキャンペーンの本来の目的はコロナで大きな打撃を受ける飲食店を救済することのはずだ。それが、逆に飲食店を圧迫しかねない事態を引き起こしているのだから、本末転倒だ。
「GoToイート」キャンペーンで飲食店が受けるメリットは、“客が増えるかもしれない”ということだけで、飲食店は金銭支援をもらえるわけでもポイントをもらえるわけでもない。客が増えることによって売り上げが増えることを見込んでいるわけだが、「鳥貴族」ほどではなくても予約で席を確保されて最低限の売り上げしかないと、逆に経営を圧迫する可能性すらある。
“客が増えるかもしれない”というメリットにしても、ポイント還元事業のほうは予約サイトを通じてしか得られないもので、年配の経営者などでネットに慣れておらずパソコンなども持っていないという店は参加が困難だったり、グルメサイトに予約人数ごとの予約手数料などを支払わなくてはならないため新たな負担となったり、そもそも客単価の低い飲食店では割に合わなかったり、といった理由で、キャンペーンへの参加そのものができていない飲食店も少なくない。
実際、飲食店からは「儲かるのはグルメサイトだけ」「オンライン予約よりも食事券のほうがいい」など不満の声も上がっている。
コロナの影響で飲食店が大きな打撃を受けていて支援が必要なことは、誰も異論はない。問題は、この「GoToイート」キャンペーンが飲食店に直接支援が投じられているのではなく、グルメサイトを通すという方法をとっていることだ。

飲食店を支援するための「GoToイート」でなぜ、こんなグルメサイトだけを儲けさせるような手法がとられることになったのか。
「GoTo」キャンペーンは、菅義偉首相が官房長官時代から主導して進めている政策だが、実はその菅首相には「GoToイート」事業に参加しているグルメサイト経営者との濃厚な関係が指摘されている。それは「ぐるなび」の創業者で現会長の滝久雄氏だ。
「GoToイート」事業には、事務委託費として最大469億円、オンライン部門には約61億円が投じられており、事業者の企画競争入札には18社が応募し、13社が選ばれている。「ぐるなび」はその13社のなかでも高額の委託費が配分されているとみられている。
だが、その「ぐるなび」の滝会長は古くから菅首相の有力なパトロン・後援者といわれているのだ。実際、菅氏が初当選した1996年から2012年にかけて、滝氏が会長を務める電車の中吊りなどを扱う広告代理店「NKB」や同社の子会社が、菅氏の政治団体に多額の寄付をおこなってきた。「週刊文春」(文藝春秋)9月24日号は菅首相と滝会長の関係について「菅氏が困った時に頼るのが滝氏」という証言を掲載している。
しかも、菅首相と滝会長の関係は、寄付だけにとどまらない。なんと、菅氏は滝会長に、あの政権御用ジャーナリスト・山口敬之氏への資金援助まで頼んでいたという疑惑が報じられている。
周知のように、山口氏は伊藤詩織さんへの性暴力事件で告発を受け、逮捕状が出されるも、当時の警視庁刑事部長・中村格氏(現・警察庁次長)によって直前でストップがかけられ、事件が握りつぶされてしまったことが明らかになっている。この中村氏は菅氏の秘書官も務めていた最側近の警察官僚で、逮捕状ストップも菅氏の意向があったのではないかといわれている。

ところが、その山口氏に対して、菅首相と親しい「ぐるなび」滝会長の経営する広告代理店「NKB」が「顧問料月額42万円」や「交通費その他の経費」等を支払っていたことが明らかになっているのだ。
この問題を最初に報じたのは、「週刊新潮」2019年7月18日号。同誌には、山口氏はTBSを退社したあとの2016年11月に「NKB」の子会社と顧問契約を結んでいた事実、そして広告代理店関係者のこんな証言が掲載されている。
「この滝会長と菅さんが仲良しなんです。山口がTBSを辞めた後に、菅さんが”山口にカネを払ってやってくれないか”と滝会長に依頼したそうです。具体的には月42万円で、実際に払っているのは横浜にあるNKBの子会社。本体の方が業績がよくないので、そうなったということですが、子会社の経営陣は不満を抱えていたようです。“会社と何の関係もない山口に、ちゃんとした人を一人雇える額をなんで払わなきゃいけないのか”と」
さらに、この関係者は、山口氏は滝会長の子会社に一度も出社したことがなく、「週刊新潮」が2017年5月に伊藤詩織さんへの準強姦疑惑の告発記事を出すと支払いを止めたことから、山口氏との顧問契約は「どうしても断れない特別な案件だったからと考えるのが自然」とも述べている。
一方、「週刊新潮」は滝会長への“山口氏支援の依頼”にかんして菅氏を直撃しているが、言葉少なに関与を否定するだけで、「それ以上は言えない」などと、事実上、説明を拒絶したという。

いずれにしても、菅首相とぐるなびの滝会長がかなり昵懇な関係にあり、これまで菅首相がさまざまな協力・支援を受けてきたことは疑いようがない。
だとすれば、「GoToイート」のポイント還元事業が大手グルメサイトを通さなければいけない制度になってしまったことに、こうした菅首相と「ぐるなび」の親密な関係は影響していないのか。
繰り返すが、いまの制度は飲食店の救済どころか飲食店の経営を逼迫させ、グルメサイトだけを儲けさせる結果を引き起こしているのだ。こうした事態を改善させるためにも、徹底した追及と検証が必要だろう。

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