柔道三段の数学教師による生徒傷害事件の波紋 教師と被害生徒側の主張にズレも

(photographer/iStock/Getty Images Plus/写真はイメージです)9月25日に宝塚市の市立長尾中学校で起きた、教師による生徒への傷害事件の波紋が広がっている。しらべぇ取材班は、この事件の真相を追った。
■全治3ヶ月の怪我9月25日(金)午後4時15分頃、市立長尾中学校での柔道部の活動中に上野宝博教諭(50)が、2人の1年生部員に対して道場内で執拗に柔道技をかけるなどして、傷害を追わせ逮捕された事件。被害生徒Aは、第7胸椎圧迫骨折(全治3ヶ月)、多発性挫傷(全治5日間)、被害生徒Bは頸部筋挫傷、腰部挫傷、右肩挫傷などの全治7日間の怪我を負った。
関連記事:100回スクワットジャンプの体罰受けた女子生徒 歩行不可能で転校も視野に■被害生徒は逃げ出し帰宅前日に同部OBからの差し入れのアイスキャンディを無断で食べたことに腹を立てた上野教諭は、生徒が謝罪したのにも関わらず、2人の生徒に柔道の練習と称して、投げ技と寝技を繰り返した。入部間もない被害生徒Aは、寝技で失神するも、目を覚ました後に、再び投げ技を繰り返された。この生徒は道場から逃げ出し、帰宅。仮入部の被害生徒Bは「しんどい」という言葉を残し、家に帰った。この現場の様子は40代教諭の副顧問(柔道経験なし)が見ていたが、教委の聴取に対して「恐怖を感じ、何もできなかった」などと話したという。また、ほかの柔道部員もこの場にいた。

■上司に詳細な報告ぜず上野教諭は、被害生徒Aが居なくなったため、副顧問に探すように指示。見つからないため、教職員総出で捜索したとのこと。それでも見つからないため、上野教諭が、被害生徒Aの担任に「行き過ぎた指導があった」と報告。担任が、保護者に同じ報告を行った。この時点では、上野教諭も副顧問も教頭や担任へ起きたことの詳細を伝えていなかった。そのため、教頭は教委に「行き過ぎた指導があったことのみ」を連絡。
■保護者からの指摘で体罰を認めるその後、上野教諭と教頭は被害生徒宅を訪問。保護者から「怪我をしているのだから、行き過ぎた指導ではなく体罰だ」と指摘があったため、このときに体罰であると認めた。学校に戻った後、この日出張から帰った校長に報告。夜遅かったこともあり、週明け28日に教委に「体罰があった」旨を連絡した。10月2日には市教委の担当者が被害生徒宅を訪れて、謝罪と報告を実施。■お互いの主張にズレが教委の聴取に対して上野教諭も副担任も、柔道技をかけていた時間を約5分程度と主張。それに対して、被害生徒側は「30分程度続いた」と主張し、この点にズレがある。これについて、宝塚市教委の職員課は「生徒がつらい思いをし、怪我をしている状況なので、一定の時間があったと認識している」と語る。
■副担任が止めるべきまた現場で何もしなかった副顧問に対して、職員課課長は「一人の大人として、また教師として、なんとしても止めるべきだった。それができないのなら、ほかの教師を呼びに行くなどの方法があったはずだ」と話す。さらに、詳細な報告を怠ったことも問題視。職員課は、顧問と副顧問また教師歴での先輩・後輩の関係が影響したと見ている。そのため、処分権限を持つ

兵庫県に対して、副顧問への処分も行うように求めている。さらに、上野教諭が過去に3度体罰で処分されていたことも判明。■過去の処分に疑問も別の中学にいた2011年~2012年の間に(1)生徒のほおをたたく(2)生徒を押し倒して、13年2月に訓告処分。同年6月には頭突きで生徒の鼻を折り、同年10月に減給の懲戒処分を受けた。この処分に対して「軽すぎたのではないか」といった声もあがっている。この点を兵庫県教育委員会に取材しようとしたところ「今回の取材対応はすべて宝塚市教委が行う」との回答。別の県の人事担当者は、「公務員の処分は前例主義で行われる。過去の処分例、全国の処分例を参考に処分を下す。訴えられるリスクもあるため、一人だけ特別な処分は下せない」と語った。
■不祥事が続く宝塚市宝塚市では、10月2日に市立逆瀬(さかせ)台小学校の主幹教諭が住居侵入で逮捕された。また、2016年12月には市内の中学2年の女子生徒が自殺し、今年6月の再調査委員会で複数の生徒による計25件のいじめがあったと認定されている。今回事件が起きた長尾中には、生徒の心のケアのために、臨床心理士をすでに数回派遣。また、市教委からも職員を派遣し、学校の安心・安全に取り組んでいくという。 (取材・文/しらべぇ編集部・おのっち)

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