優勝リングは重すぎ? 佐藤琢磨が2度目のインディ500制覇を語る

FWD富士生命保険が開催した発表会に、レーシングドライバーの佐藤琢磨さんが米国からリモート出演した。自身2度目となった「インディ500」制覇についてや、10月25日に行われる最終戦に向けた意気込みなど、同イベントで飛び出した注目発言をお伝えする。

今年2月には佐藤さんがFWD富士生命のテレビCMに出演するなど、サポート体制を構築している両者。そうした関係もあって、シーズン中であるにもかかわらず佐藤さんのトークセッション出演が実現した。
勝利を確信したのはどのタイミング?
新型コロナウイルスの流行で激動の年となった2020年。インディカーシリーズも6月のシーズンインへの変更を余儀なくされた。

「(FWD富士生命のテレビCM出演もあり)本当に幸先のいいキックオフで、今年も最高のレースをしていこうと心に決めた矢先でしたが、開幕戦が予定されていた3月から米国でロックダウンが始まり、一時はレースをしている場合ではないという状況でした。スポーツやイベントが開催できない中で、それでもモータースポーツを使ってたくさんの方にエネルギーを届けたいという思いがあって、インディカーシリーズは6月からシーズンが始まりました。8月にはインディ500で2勝目を飾ることができましたが、チームやたくさんの方のサポートがあって自分の夢である優勝を果たせたというのは本当に嬉しかったです」(以下、カッコ内は佐藤さんの発言)

「ノーアタック、ノーチャンス」をモットーに挑戦を続ける佐藤さん。レイホール・レターマン・ラニガン・レーシングの一員として、世界3大レースの1つに数えられるインディ500で優勝できたことには感慨深いものがあるという。

「2012年にもチームに所属していて、その年のインディ500では最終ラップまで2位でした。最後に優勝を狙ってチャレンジしましたが、スピンしてしまいました。結果的には失敗からたくさんのことを学んだのですが、チームオーナーや自分のクルマに携わってくれたスタッフにとっては本当に悔しい一瞬だったと思います。3年前にチームに復帰しましたが、チームオーナーはずっと待っていてくれた。だから、今回の優勝というのは実は8年越しなんです」

「僕自身にとってもインディ500で2勝目というのはすごく嬉しかったんですけど、それ以上に、8年間ずっと待っていてくれたチームにあの時できなかった優勝をプレゼントできたことが本当に嬉しかったです。コロナ禍の無観客開催で、30万人の観客の前で走るのとは現場の雰囲気が違っていて寂しいものでしたが、それでも、インディ500での優勝が特別なことであるのに変わりはありません。表彰台の上では思い切り喜ばせていただきました」

インディ500の優勝にはチームのサポートが欠かせなかったと佐藤さんは振り返る。

「レース中にはピット作業(タイヤ交換や燃料補給などを行うこと)というのがあるんですけど、素晴らしい作業で僕を送り出してくれました。実際にインディ500というのは500マイル(約800キロ)の距離を走りますから、タイヤ交換と燃料補給で今年は5回のピットストップがありました。ピットストップの際は機械が作動しなくてタイヤがうまくはまらないとか、燃料がうまく入らないといったトラブルが時には起きます。でも、今年はそうしたトラブルが一切なく、常にトップ5でレースに復帰できたので、自分が思い描いていた通りにレースが運べました。これは素晴らしいクルマを作り上げてくれたクルー達と、全てのピットストップで全くミスなく送り出してくれた全員のサポートのおかげだと思います」

そうレースを振り返る佐藤さんに、勝利を確信した瞬間について尋ねてみると、次のような答えが返ってきた。

「確信した瞬間というのは本当に、最終ラップの最終コーナーを回って、クルマにちゃんとトラクションがかかって押し出されていた時ですね。何が起きても、惰性でもチェッカーフラッグまでクルマがたどり着けると思った瞬間は、やっぱり勝利の確信になりました。それまではとにかく集中していましたので、あまり喜びすぎないように自分自身を抑えていました」

「ただ、手応えでいえば最後のスティントの前ですね。そこで僕は、トップを走っていた選手に仕掛けて、残り40周を切ったぐらいのところでトップに立ちました。そこからは彼とのバトルになるんですが、その後はピットストップを除いて1回も抜かれていないんですね。最後のスティントのところで追いつかれて抜き返されそうになるんですけど、それを防ぐことができた時点でものすごく手応えを感じました。もっといってしまうと、今シーズンは最前列からのスタートで、それだけ予選からスピードに乗せることができていたということです。非常に安定したマシンを手にしていることで、レース前からこういう風にしたいという勝利への組み立てを始めていますから、最終的には残り30ラップを切って先頭だった時点で非常に大きな手応えを感じていましたね」

最後に、佐藤さんは10月25日に行われる最終戦への意気込みをこう語った。

「インディカーシリーズもいろいろとスケジュールが変更になって、本当は開幕戦が行われる予定だったフロリダのセントピーターズバーグという市街地レースが最終戦になりました。今年はインディ500に優勝したことで本当にチームも盛り上がっていますが、インディ500以外のレースでは苦戦している部分もあります。今年初めて市街地レースを走りますが、セントピーターズバーグはいつも相性のいいコースです。当然、最終戦もトップを狙って、シーズン最後のレースも一番いい形で終われるように頑張っていきたいと思います」

トークセッションではインディ500のチャンピオンリングも公開してくれた佐藤さん。好相性のコースで行われる最終戦でも、日本代表として素晴らしい走りを見せてくれることを期待したい。

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