乳がんでも気軽に温泉を=入浴着啓発、動画やイベント

女性の9人に1人がかかる乳がん。乳房を摘出した患者の中には、外見の変化を気にして温泉や銭湯の利用をためらう人もいるという。そこで、患者らでつくるグループが手術の傷痕を隠す「入浴着」の知名度向上に乗り出した。乳がんについて啓発する10月のピンクリボン月間に合わせ、動画の公開やイベント開催に取り組む。
静岡市で飲食店を経営する増田郁理さん(42)は昨年、乳がんで右乳房を全摘出した。以前は温泉が好きだったが、手術後はほとんど行かなくなった。
患者同士で交流する中で、胸部を覆う入浴着の存在を知った。着用しても目立たないベージュ色が多く、水をはじく布地であれば湯船に漬けてもお湯を汚さない。厚生労働省も着用したままの入浴への理解を呼び掛けている。ただ、一般的には服やタオルを湯船の中に入れるのはマナー違反とされており、増田さんも「着ると周囲の視線を集めそう」とまだ使ったことはないという。
全国の銭湯などが加盟する温浴振興協会(横浜市)の諸星敏博代表理事は「入浴着の利用は問題ないと、全ての施設に周知徹底できていない」と打ち明ける。
そこで、増田さんは患者仲間らと「入浴着普及委員会」というグループをつくり、9月に啓発動画を動画投稿サイト「ユーチューブ」などに投稿。今月18日に静岡市内の温泉施設で、30日には兵庫県尼崎市の銭湯で、入浴着を気軽に使えるイベントを開催する。乳がん経験のない人も参加可能で、試着もできる。
患者の中には「傷痕を隠す必要はない」と考える人もいる。増田さんは「入浴着を使う、使わないは自由。使いたい人がシャワーキャップのように手軽に使えるようにしたい」と話している。

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