作業服を扱わないワークマン 「#ワークマン女子」が目指すものとは

ワークマンが新たに展開する店舗、「#ワークマン女子」が開店前から注目を集めている。ワークマン初の女性をメインターゲットにした店となるが、これまでショッピングモールなどで展開してきたWORKMAN Plus(ワークマンプラス)などとはどこが違うのだろうか。開店前の店舗に行ってみた。

#ワークマン女子が入居するのは、JR桜木町駅に隣接する商業施設のコレットマーレ(横浜市)。平日は地元の人、休日には家族連れで賑わう場所だ。

同社はこれまで郊外のショッピングモールやロードサイドでの出店を進めてきたが、「駅近くのビルタイプの出店は初めて」(担当者)だという。そこで、客層に合わせた女性向けの商品を主に扱う業態を選択した。

まず店舗入口で目を引くのは、ピンク色のブランコと巨大なバラのオブジェ。一見すると女性用アパレル店かと思ってしまう程「メルヘン」な世界が広がる。同社の女性社員が考案した#ワークマン女子のゆるキャラ「わくこ!」と共に「インスタ映え」の写真や動画が撮影できるスポットだという。店内にはその他にもSNS発信を狙った仕掛けが配置されている。

例えば、入口近くの柱にはSNS投稿の際に顔を隠せるマグネットが設置されている。また、靴売り場の床には足元の写真を撮影できるように、アウトドアやキャンプをモチーフにしたイラストが描かれている。そこから続く試着室には、画像の背景として「映え」を狙ったバラ柄のロールスクリーンを配置。店舗のどこでもすぐにSNSを発信できる環境を整えた。

女性専用売場を2.5倍に拡大するも男性用商品も配置

#ワークマン女子の売場面積は、従来のショッピングモール店の1.5~2倍。路面店を含めて同社最大級の売場面積を持つという。売り場の構成は、女性専用売場40%、ユニセックス20%、男性専用40%。従来のモール店に比べ女性専用売場を2.5倍に拡大。作業着や作業服は扱わず、一般客向けの商品を扱う。

店名に「#(ハッシュタグ)」を付けたのにも意味があるという。既に記したような「インスタ映え」を狙ったディスプレイだけではなく、同社が以前から力を入れているYouTuberやブロガーなどの「アンバサダー」と共同開発した商品の展開を店の入り口近くに陳列した。

ポップやモニターにあるQRコードを読み込むと、アンバサダーがSNSに投稿した製品紹介を見ることができる。同社いわく「リアル店舗がSNSの世界とつながっている」店舗づくりを目指している。

2018年のワークマンプラス出店以降、徐々に女性の来店率が増えているがその多くが35歳以上の来店だったという。同社は、これまで来店してもらえなかった高感度なインスタ世代の女性の集客を目指す。

一方、男性用の商品は店舗奥に配置する。女性客と共に来店した男性や、ファミリー需要に応える狙いだ。

作業着で培った「機能性」にアンバサダーの意見を反映

同社の強みはこれまで作業着で培ってきた「機能性」と、手に取りやすい「価格」だ。

アンバサダーのキャンプブロガー、サリーさんと共同開発したジャケット「コットンキャンパーPlus」(税込3900円)は、たき火の火の粉によるダメージを軽減するため綿100%の生地を採用した。大型ポケットや小物を吊り下げられるループも取り入れ、機能性とファッション性の高い商品に仕上げたという。この商品は、溶接作業者向けの火の粉に強い綿100%の商品を手掛けた経験が元となった。

また、汚れが付きにくいワークマン独自の耐久撥水「SplaTECH(スプラテック)」加工を使用した「裏ボアライトスリッポン」(1900円)は、内装工事を請け負う人向けに取りそろえていた脱ぎ履きしやすいスリッポンをベースに、ソロキャンプYouTuberのねこまるさんと新色の開発を行った。

#ワークマン女子の初年度の売上目標は、女性向け55%、男性向け45%の構成で4億5000万円 。当初は同店を実験店舗として位置付け、今後の展開を検討するとしていが「前評判の良さ」から早速全国展開を決定。10年間で路面店を中心に400店舗の出店を見込んでいる。

その狙いは何なのか。担当者に聞いてみた。

一般客を#ワークマン女子へ誘導

「これまでワークマンがターゲットにしていた職人さんは、目的の商品を買いに来るため、店舗滞在時間は短く、朝と夕方に集中していました。しかし、一般客の来店も増えたことで、ありがたいことに駐車場や店内の混雑が目立ってきました。そこで、客層ごとに店舗を分けることにしました」(担当者)

従来のワークマンはよりプロ向けの専門店として強化し、一般客向けの商品のみを扱う店舗を#ワークマン女子として差別化する。将来的にはワークマンの近くに出店し、一般客を#ワークマン女子に誘導する考えだという。

同社は今後女性向け製品の拡充を進める方針で、開発人員の強化を図る。さらにワークマンの土屋哲雄専務は先日開催した発表会後の取材で、一般客向けの靴を集めた専門店を21年3~4月をめどに展開。さらに店内に雨を降らせ、実体験ができる雨具専門店の出店も検討していることを明らかにしている。ワークマンのこれからの動向が業界の新しい流れを創るかもしれない。

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