数奇な経歴をたどるJAL系国際線LCC「ZIPAIR」 念願の本始動 旅客便初便も「異例」

これまで一時的に「貨物便」として運航を続けてきたJALグループのLCC「ZIPAIR」。いよいよ旅客便が開設され、本格始動しました。数奇な経歴をたどってきたこの航空会社の「念願の日」の様子はどのようなものだったのでしょうか。
JAL(日本航空)グループが展開するLCC(格安航空会社)、「ZIPAIR(ジップエア)」が2020年10月16日(金)から、同社初の旅客便路線となる成田~ソウル(仁川)線の運航を開始。初便がついに成田空港を出発しました。
成田空港を出発するZIPAIRの旅客便初便(2020年10月16日、乗りものニュース編集部撮影)。
ZIPAIRは、2020年6月に運航が開始されましたが、新型コロナウイルスの感染拡大による需要停滞の影響を受け、デビュー路線となる成田~バンコク線、ついで開設された成田~ソウル線ともに、旅客機に乗客を乗せず、貨物スペースに航空貨物をのみを載せる異例の「貨物便」という形態で運航を続けていました。
同社にとって念願である旅客便の運航開始。これについて同社の西田真吾社長は、「設立を発表して以来、順調に準備を進めてきたものの、“第4コーナー”でこの厳しい状況となりました。しかし、社員とともに乗り越えてきました。まずは社員に感謝したいと思います。一歩一歩『太平洋を渡るLCC』に向け進んでいきたいと思います。是非お客様には、私どもの姿をご覧頂き、自分らしい旅ができそうだと思っていただければと思います」と話します。

はじめて旅客便の運航が始まるZIPAIR、機内のサービスはどのようなものなのでしょうか。
ZIPAIRの機内の特徴は、国内のLCCとしては珍しい、フルフラットシートが搭載された上位クラス「ジップ フルフラット(ZIP FULL-flat)」が搭載されている点でしょう。また、普通席「スタンダードシート(Standard)」も、JAL(日本航空)やANA(全日空)といった「フルサービスキャリア」の国内線とほぼ同等の前後間隔を持ち、国内初の「中長距離LCC」らしい機内設備を備えます。
また、シートモニターを撤廃した代わりに、スマートフォンなどデジタルデバイスとの兼ね合いを充実させたことも大きな特徴。利用者自身の端末で、映画やZIPAIRオリジナルコンテンツなど、さまざまな映像作品を見られるほか、機内のWi-Fiも無料で使用可能です。しかも食事や機内販売品の注文は、インターネット通販のように利用者の端末からオーダーする「セルフオーダーシステム」を採用しています。
なお、全席にUSBポートとコンセントが搭載されているので、ケーブルさえ忘れなければ、電池切れに気を揉むこともありません。
ZIPAIRの西田真吾社長(2020年10月16日、乗りものニュース編集部撮影)。
旅客便初便となる10月16日のZG51便の乗客は2人。コロナ禍の影響による「異例」ともいえる少ない乗客数ながらも、貨物スペースには航空貨物が積まれており、西田真吾社長によると「燃料費など、運航に必要な最低限の費用は航空貨物で賄えている」とのこと。同便は、放水アーチの見送りを受け、午前9時15分に成田空港を出発しています。
なお、ジップエアは将来的に、成田発着での北米展開を目指しています。その皮切りとして開設が発表されている成田~ホノルル線の進捗は、「手続きは順調で、11月の早い段階でいつでも就航できるレディ(準備完了)の状態にしていければ」(ZIPAIR 西田真吾社長)としています。

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