オンライン副業で月30万円を稼ぐ30代男性 どんな仕事? 1週間の過ごし方は?

「娘にいい教育環境を与えたいし、家の購入も考えている。大好きな車も欲しい。今後のことを考えたら年収を200万~300万円ほどアップしたい」──東京都内在住の田端拓也さん(仮名、30代)はそう思い、2年ほど前に副業を始めた。新型コロナウイルスの感染が拡大し、世界中が今のような状況になるなど、考えつきもしなかった頃の話だ。

本業は、都内の小売企業でデジタルマーケティング業務を行っている。本業とのバランスを考えながらリモートでできる副業先の企業を1つずつ増やし、現在は本業以外に3社の仕事を掛け持ちし、毎月30万円超を副業で稼ぐまでになった。当初の目標を優に超える金額を達成したことになる。

本業を続けながら、これほど早く達成できたのは、コロナの影響も大きい。在宅勤務が増え、通勤時間や会食機会などが減り、以前と比べると月に30~40時間以上の時間が生まれたからだ。

オンライン副業の内容は? 田端さんの1週間
田端さんの“オンライン副業先”の1つ、長野県にある社員20人ほどの生薬製剤メーカーでの1週間の「EC(ネット通販)の改善」業務を見てみよう。

木曜日の夜か金曜日の朝(1時間程度)、ネット通販のリピート購入率やターゲットとしているキーワードでの検索順位などのデータ(KPI)を収集し、スプレッドシートに入力。チャットツールを使って、定例Web会議の参加メンバーとスプレッドシートを事前に共有しておく。

金曜日(1~2時間程度)午後3時から、生薬製剤メーカーの社長、EC担当者、外部Web制作会社の担当者が参加する定例Web会議に出席。数値目標として立てた予算と実績を比較し、達成状況を分析。今後1週間で実行する施策を話し合う。

参加メンバーからいくつかの案が出た場合は、デジタルマーケティング業務を専門に行ってきた過去の経験を生かし、積極的に会議をリードし「まず今週はこちらからやる必要がある」と発言することもあるという。田端さんの発言を受け、社長がその場でやることを決める。

土曜日~水曜日(4~6時間)には、会議で決まった今後1週間の施策(例えば「ランディングページの改善」)で、肝となる文字要素の作成を行う。社内確認や最終チェックは社員担当者にチャットで依頼。社内確認と最終チェック終了後、外部のWeb制作会社へ該当のWebページのデザインや制作を依頼、詳細を指示する。こちらもチャットと電話で実施。「木曜日の夜か金曜日の朝」の業務に戻る。

この生薬製剤メーカーによると、こうした作業を繰り返した結果、4週間を過ぎたあたりからリピート購入率などの数値が向上。売り上げも前年比130%と成果が出始めたという。

田端さんの1週間を見ても分かるようにオンライン副業の中身は地味な作業が中心だ。特に地方の中小企業がオンライン副業人材を活用して成果を出すための1つのポイントはここにある。必要なのは「MBAを持っているグローバルエリート」や「派手なスーパーカリスマ経営者」などではなく、検証、施策検討、決定、実行という「地道なPDCA改善」を行える副業人材だということだ。

地方の中小企業には、顕在化した労働人口不足の減少により慢性的に人手不足な企業が多く、社員のほとんどは日々の現業を回すことで精いっぱいだ。地道なPDCA業務に取り組みたくても、時間を割ける人材がいない。専門の人材を正社員として採用しようにも、社員として働いてもらうほどの業務量がなかったり、年収や居住地の面で人材側と企業側の条件が合わなかったり難しい状況にある。

そうした課題に対し、都市部在住のオンライン副業人材がうまくはまり、成果が出始めている。

商社や大手広告代理店への転職も考えたが……
田端さんは、コロナ禍でリモートワークが当たり前となった昨今、背中を押されるようにしてオンライン副業の仕事を拡大させた。だが「今後を考えて年収をアップしたい」と考えた時点では副業ではなく、「今以上に稼げる商社など業界を変えて働くか、現在の業務を生かせる大手広告代理店への転職も考えた」(田端さん)。

転職ではなく、今働いている会社で働き続けながら副業で稼ぐことを選んだのは、「今は給料がいい大企業も10年後どうなっているかは分からない。デジタルマーケティング業務も好きだから続けたい」と思ったからだという。コロナ禍の今、10年後どころか来年、再来年すら、大企業だから安心とは感じられなくなった。

筆者が代表を務めている、都市部と地方をつなぐ副業人材サービス「JOINS」では、人材登録者数が昨年の約3.5倍に急伸した。そういった都市部で働く人々の意識の変化を実感している。

JOINSに登録しているオンライン副業人材の多くは、毎週平日に定例Web会議を1.5~2時間程度行い、平日毎日1時間程度、週末に2時間程度作業、合計で週8時間程度を副業の業務時間としている。現地への訪問は、業務始めや工場や商品の確認、社内スタッフとの交流などのために1~2カ月に1回程度で、それ以外は全てリモートワークということになる。時間給の平均は約3500円のため、副業による月の稼ぎは、平均約10万円だ。

ネット通販の改善、製造業のデジタル化や人事、首都圏・海外営業などの業務は今、オンライン副業のニーズが高まっている。「地道なPDCA」が得意分野だという人には、絶好のチャンスが訪れている。

本記事について
新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、リモートワークが普及する中で、通勤時間などが減り“スキマ時間”が増えたことを受け、リモートで副業を行う“オンライン副業人材”が増えている。彼らはどんな副業をしているのか、企業はどのように副業人材を活用しているのかを解説する。著者は、人材シェアリングサービスの“中の人”であるJOINSの猪尾愛隆代表取締役。

著者紹介:猪尾愛隆
JOINS株式会社 代表取締役。1977年、東京都生まれ。2002年慶應義塾大学大学院修士課程修了。博報堂に入社し、法人営業を3年間経験。2005年、ミュージックセキュリティーズ入社。投資型クラウドファンディングのプラットフォーム事業を立ち上げた。2017年6月に退職し、大都市の副業人材と地域中小企業をつなぐ人材シェアリングサービスを提供する「JOINS」を創業。

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