藤井聡太七段「短めの袖」の和服は大山康晴十五世名人の哲学継承

将棋の藤井聡太七段(17)が28日の第91期棋聖戦5番勝負第2局で披露した和服は、昭和の大名人である故・大山康晴十五世名人(1992年死去)の「短めの袖」哲学を継承した着物だったことが29日、分かった。師匠の杉本昌隆八段(51)が明らかにした。
渡辺明棋聖(36)に連勝し史上最年少タイトルに王手をかけた対局から一夜。杉本八段は大舞台で初めて和服を着た弟子の姿を「慣れないと着心地は良くないものなので『午後からスーツに着替えてもいいんだよ』と伝えていましたけど…堂々として、なじんでいるなと感じました」と驚きつつ「袖を大山先生をお手本に心持ち短めにしたのがよかったのかも」と振り返った。
昨年5月、京都の呉服店で藤井七段に和服を贈る際、大山十五世名人が好んだ「短めの袖」で仕立てた。和装での対局では着手の際にどうしても袖口が手元の駒に触れてしまうため、袖をたくし上げる所作を要する。着慣れた渡辺棋聖や羽生善治九段(49)らは流れるように袖に触れるが、初心者には不慣れな動作になる。ところが、第2局の藤井七段はスーツ着用時と変わらず、右手を自然と盤上に伸ばしていた。高い集中力を維持できた背景には師匠の配慮もあったようだ。
色味については、明るいものを薦めた師匠に対し、母・裕子さんの勧めでダークトーンの黒・濃紺に決定。本人は「好みとかないみたいです」(杉本八段)。なお、着用したのは春夏用で、秋冬用も贈っている。
将棋の強さまで在りし日の大山十五世名人を思わせた弟子の連勝劇に、師匠は「成長した力を見せた一局。タイトルに近づいているのかな、と思います」とたたえた。(北野 新太)

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