都知事候補討論会で問われた小池百合子の差別肯定政策、小野泰輔のヘイト発言! 津田大介の切り込みに二人の答えは……

7月5日に投開票がおこなわれる東京都知事選だが、候補者によるテレビ討論がおこなわれていない。候補者同士による討論は、都政を検証して課題や争点を明確にし、有権者にとって重要な判断材料を提供する場だ。実際、前回2016年の都知事選で小池百合子氏、鳥越俊太郎氏、増田寛也氏の主要3候補が『バイキング』(フジテレビ)に生出演し討論するなど、過去の都知事選ではテレビ討論が頻繁に行われてきた。
しかも今回はコロナ感染が収束しないなかでの選挙戦で、街頭での活動に限界があるなか、テレビ討論の重要性は普段以上に高いだろう。コロナ対策をめぐって喫緊の課題も山積している。有権者に判断材料を提供する重要な場のひとつであるテレビ討論がなされないことは大きな問題だ。
テレビ各局にはいまからでも討論の場を検討してもらいたいが、そんななか、6月27日に告示後はじめてインターネット上で、現職である小池百合子氏、宇都宮健児氏、山本太郎氏、小野泰輔氏の4名の主要候補による討論がおこなわれた。「6月27日 わたしの一票、誰に入れる?都知事選候補に聞く10の質問 #都知事選候補討論会」と題されたネット討論番組で、「Choose Life Project」のYouTubeチャンネルでライブ配信され現在も視聴できる。

番組は、ジャーナリストの津田大介氏の司会で、「東京都の新型コロナ・感染者の押さえ込みはうまくいっている?」「東京オリパラの開催に賛成・反対?」「同性パートナーシップ制度の導入に賛成?反対?」「東京にカジノを誘致する?」「都立病院の地方独立行政法人化の方針に賛成?反対?」「原発は、重要なベースロード電源?」など10の質問に4候補が○×で回答。候補者同士による質疑応答、視聴者から寄せられた質問をもとに津田氏が各候補に質問、といった構成でおこなわれたのだが、そのなかで差別性が改めて露わになった候補者がいた。
現職の小池百合子氏と、元熊本県副知事で「日本維新の会」が推薦する小野泰輔氏だ。上述した4名に対する10の質問のなかで、「罰則付きの『ヘイトスピーチ禁止条例』の制定を目指す?」という質問に対し、小池都知事と小野氏はそろって「×」を挙げたのだが、それだけではない。
小池氏は津田氏から差別思想とヘイト肯定政策を、そして小野氏は過去の差別ツイートについて質問をされ、あらためてその差別に対する姿勢があらわになったのだ。
そもそも小池都知事の極右ヘイト思想や差別団体との関係については、本サイトでも以前から警鐘を鳴らし続けてきた。
たとえば、2010年に在日コリアンの虐殺まで扇動するヘイト市民団体「在特会」(在日特権を許さない市民の会)の関連団体である「日本女性の会 そよ風」主催、在特会女性部協賛の集会で講演をおこなっている。この「そよ風」という団体は、慰安婦問題や関東大震災朝鮮人虐殺の否定などを主張しており、2013年には大阪・鶴橋で「いつまでも調子にのっとったら、南京大虐殺ではなく『鶴橋大虐殺』を実行しますよ!」などとジェノサイドを扇動したヘイトデモに協力している。小池氏は国会議員という立場にありながらそんな団体の講演会に出かけていたのだ。

また、都立高校の歴史教科書から南京虐殺を削除するよう圧力をかけたり、国民主権を否定する大日本帝国の復活を主張するような極右思想の持ち主である人物を自らの側近として要職に据えてきたという問題もある。
そしてこの4年の小池都政下で、小池都知事の差別思想がもっとも露わになったのが、関東大震災時の朝鮮人虐殺をめぐる問題だ。
小池氏は都知事に就任するや、その差別性を露わにする行動に出た。大震災が発生した9月1日に毎年、墨田区の都立横網町公園でおこなわれている「関東大震災朝鮮人犠牲者追悼式典」では、1974年以降、歴代の都知事たちが追悼文を寄せてきたのだが、周知のように、小池都知事はこの朝鮮人犠牲者に対する追悼文を2017年、突如として取り止めてしまったのだ。
この小池都知事の動きと軌を一にするように、同年、同じ時刻に横網町公園内で、小池氏がかつて講演をおこなった排外主義団体「そよ風」が集会を開始。「朝鮮人犠牲者追悼式典」にぶつけるかたちで、「そよ風」関係者らが「朝鮮人が暴動を起こし、日本人を虐殺した」「日本人が朝鮮人を殺したのは正当防衛だった」などと典型的なヘイトデマをがなり立てるようになった。念のため強調しておくが、関東大震災直後に流布された「朝鮮人が井戸に毒をいれている」「暴動や放火をしている」なる噂は完全なデマであったことが確定しており、逆に、そうしたデマに踊らされた人々が徒党を組んで朝鮮人らを襲撃・殺害して回ったことは膨大な証言が残されている事実だ。明らかに、小池都知事の「追悼文拒否」は歴史修正主義の虐殺否定論とヘイトに勢いを与えたのである。

それだけではない。こうした小池都知事の「追悼文拒否」や「そよ風」のヘイト集会に対する都の認可に抗議の声があがると、2019年12月、東京都は逆に「朝鮮人犠牲者追悼式典」実行委員会の許可申請に対し「公園管理上支障となる行為は行わない」「拡声器は集会参加者に聞こえるための必要最小限の音量とする」などと様々な条件をつけ、これに従わなければ中止や不許可にされても「異存ありません」とする内容の「誓約書」を交わすよう要請してきたのだ。
詳しくは既報(https://lite-ra.com/2020/06/post-5472.html)を読んでいただきたいが、ヘイト団体はこの「誓約書」を悪用して、「朝鮮人犠牲者追悼式典」自体を中止に追い込もうしているとしか思えない動きをとっている。小池都知事は、実質的に朝鮮人虐殺をなかったことにしようとするヘイト団体をアシストしているのだ。
今年5月、「朝鮮人犠牲者追悼式典」実行委員会は〈こうした内容の誓約を求めることは、本来自由・自主である集会運営を萎縮させる恐れがある〉などとして、誓約書要請の撤回と従来通りの申請受理を求める声明文を発表。また6月11日には、都に朝鮮人犠牲者追悼式典への条件を撤回し、速やかな横網町公園の占有許可を求めるオンライン署名が提出された。届けられた署名数は3万筆を超えている。
この問題について、なぜ2017年から追悼文をやめたのか、どのような歴史認識なのか、司会の津田大介氏が小池都知事に切り込んだのだが、小池都知事は平然とこう答えた。

「毎年、9月、3月、横網町の公園内の慰霊堂で開かれております大法要で、関東大震災、そしてまた、その先の大戦の犠牲となられた方々への哀悼の意を表しているところであります。大きな災害で犠牲になられた方々、それに続いて、さまざまな事情で犠牲になられた方。これらのすべての方々へ対しての慰霊の気持ちに変わりはございません」「さまざまな事情で犠牲になられた方。大きな災害で犠牲になられた方。その方々の、お気持ち、お心、ということで、哀悼の意を表させていただくのが、毎年9月、3月の慰霊堂での式であるということであります」
なぜ追悼文をわざわざ取りやめたのかと津田氏は2度問うたのだが、小池都知事ははぐらかし答えず、これまで同様「災害に続いて、さまざまな事情で犠牲になられた方」などとあからさまに朝鮮人虐殺という言葉を避け、災害と虐殺の犠牲者をひとまとめにし、虐殺の史実を矮小化したのである。また「3月の大法要」「3月の慰霊堂での式」と繰り返したのは、毎年3月におこなわれる東京大空襲の追悼式典のこと。ようするに、東京大空襲までも一緒くたにしてみせたのだ。
これには津田氏が「虐殺と自然災害のものを、一緒くたにして問題ないという認識ということでよろしいでしょうか」と突っ込むと、小池氏はなおも「慰霊をするという点で、この大法要での慰霊に合わせていただいております」と繰り返し、上述した朝鮮人犠牲者追悼式典に関する署名についても「受け止めさせていただきます」と応じただけで、一貫して朝鮮人虐殺という史実に明確に言及することをしなかった。だいたい、虐殺を「さまざまな事情」などと言い募るというのは、虐殺の史実を暗に否認しているのと変わらないだろう。

朝鮮人虐殺における犠牲者数については諸説あるが、デマや流言によって多数の朝鮮人や中国人が、日本の警察や軍、自警団に虐殺されたのは歴然たる事実である。それは、当時、治安出動を指揮した警視庁官房主事の正力松太郎自身も証言していることだ。
これは現在のヘイトスピーチ、ヘイトクライムにもつながる、人類が記憶すべき重大な史実である。ましてや、加害当事者である日本がその記憶と反省を忘れずつないでいくことは当然の責務だ。数々の差別発言で知られるあの石原慎太郎・元都知事ですら、在職中は毎年「関東大震災朝鮮人犠牲者追悼式典」に追悼文を寄せてきた。
しかし近年、ネトウヨの間では朝鮮人虐殺はなかったなどとするヘイトデマが盛り上がっている。ネトウヨや差別団体に呼応するように、小池都知事は、朝鮮人虐殺追悼式典への追悼文を取りやめ、さらに今年は追悼式典にもさまざまな条件をつけ妨害している。朝鮮人虐殺の史実をなかったことにするその極右ヘイト思想を、小池都知事はあらためて示したというわけだ。
津田氏は、小池都知事に続いて、小野氏の差別思想についても切り込んだ。
小野氏を推薦する日本維新の会の松井一郎・大阪市長や吉村洋文・大阪府知事らのネトウヨ思想は周知のとおりだが、実は今回、都知事選への出馬表明以降、ネット上では小野氏の過去のツイートからネトウヨとの親和性を指摘する声が上がっていた。
百田尚樹氏、高須克弥氏、野口健氏、竹田恒泰氏といったネトウヨ論客のツイートを繰り返しリツイートしているのはもちろん、なかにはヘイトスピーチに該当すると思われるツイートもある。

たとえば、「フィフィ、韓国で顔の整形勧められ「乏しい社会だ」」というフィフィのツイートを紹介する記事をリツイートして、〈そうやってかの国の芸能人は皆同じ顔に…〉とツイートした(2019年1月2日)。
あるいは、「「またお前らか……」硬貨600万個を溶かして約2,000万円GET! 韓国10ウォン硬貨をめぐるカラクリ」という嫌韓記事をリツイートし、〈Today’s alchemy…〉(=現代の錬金術)とツイート(2015年11月9日)。さらに、「やっぱりスゴイ!韓国の整形技術/別人級の手術を受けて「当日退院」可能」というニュースをリツイートして、〈もうこうなると誰がオリジナルなんだかわからなくなる… そのうち遺伝子を整形しちゃったほうがいいんじゃないの、なんて議論も出てくるかも。〉とツイート(2012年1月30日)。こうした韓国をあげつらうようなツイートに批判が集まっているのだ。
言っておくが、小野氏は2012年6月から今年6月まで熊本県副知事という公職にあった。小野氏のツイッターアカウントは、あのくまモンにもフォローされているような公的なものだ。そんなところで、他国を揶揄するようなツイートなど、都知事候補という以前に、副知事としても問題あるだろう。
こうした差別ツイート問題について、津田氏が「過去の小野さんが書かれたツイッターのなかで、小野さんがレイシストじゃないかと見なされるようなツイートをされているんじゃないかというような指摘があってネットでも拡散されていた。これについて、事実かどうか。事実であるなら、批判についてどのように受け止めるのか」と小野氏に問いただした。

すると小野氏は、「都知事選挙に出る前のツイートをだいぶ調べられた方もいらっしゃると思うんですけど、どの事実を指摘されて、そういうふうにおっしゃったのかわからないんですが」と何が差別ツイートとされているかわからないととぼけた上で、こう釈明したのだ。
「ただ私、本当に、在日のですね、韓国の友だちもたくさんいますし。自分自身はどんな人間であっても、公平に、しっかりと友情関係をつくることができましたので。まあ、いろいろツイートの内容が不用意だったこともあるのかもしれませんけれども、実際に私に会っていただいてですね、全然そんな人間じゃないというふうに、ご理解はいただけるんじゃないかというふうに思います」
「私には在日の友だちがいる」「私には韓国の友だちがいる」って、これ「I have black friends」と呼ばれる差別主義者が自分を正当化するためによく持ち出す典型的な論法ではないか。たしかに小野氏のツイートを見ると、韓国との交流に関する記述もある。しかし、差別対象の属性の友人がいるからといって、その人が差別主義者でないことにはならない。ましてや、会っていい人かどうかなどは、その人の差別思想を否定することにはまったくならない。家庭や友人には良き親だったり良き友人である差別主義者など歴史上枚挙にいとまがない。
小野氏は最初「どの事実を指摘されてレイシストとみなされているかわからない」としていたが、「在日や韓国の友だち」を持ち出したところを見ると、何を問題視されているかある程度認識しているのだろう。その上で、差別そのものを否定するのでなく、こうした論点ずらしで応じたことは、過去のツイートそのもの以上に、現在の小野氏の差別に対する認識が甘いことを露呈させたと言っていいだろう。

小池都知事にしても小野氏にしても、一国の首都の首長候補が、公開の場で、差別に対して厳しく批判せず親和性すら垂れ流してしまうというのは、頭がクラクラしてくる。しかし今さら言うまでもなく、日本では小池氏や石原慎太郎氏がすでに何年も都知事を務めており、安倍首相や麻生太郎財務相を筆頭に小池氏がもといた自民党や、小野氏を推薦する維新の会の国会議員にも同様の、差別思想の持ち主がゴロゴロいる。
差別主義の為政者たちをのさばらせてきたのは、差別問題に対するメディアの追及の甘さもあるだろう。その意味で、今回ネット番組ではあるが、津田氏が小池・小野両氏に差別問題について切り込み、その差別性を明らかにしたことには非常に大きな意義があった。
アメリカでのBLMをきっかけに世界中で反差別の動きが高まるなか、東京都知事を差別主義者に任せていいのか。都民はよくよく考えるべきだろう。

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