「ロンドン・ナショナル・ギャラリー展」の意外と小さい名画

ヨーロッパの名画を網羅する「ロンドン・ナショナル・ギャラリー」の大規模所蔵作品展が、3カ月の延期を経て開催中! 絵画の“大きさ”に注目すると、また違った見え方が。同展の監修者・川瀬佑介さん(国立西洋美術館主任研究員)に、お話を伺いました。
■大きさが求められた教会の宗教画
「古い時代、絵画の注文主は特権階級の人たちでした。特に教会が依頼した宗教画は、大きなサイズのものが多い。広い公共のスペースに展示され、遠くからも見えないといけなかったからです」(川瀬さん・以下同)
女子修道院のために描かれた、カルロ・クリヴェッリ『聖エミディウスを伴う受胎告知』(1486年)は207×146.7cm。建物の装飾や宝石の光沢にも注目だ。
■巨大肖像画は王族・大貴族のもの
「同じく大きな絵を依頼していたのが、王族やそれに次ぐ有力貴族。18世紀まで、肖像画といえば彼らを権威づける、等身大の全身像が多かったのです」
本展最大の、ルカ・ジョルダーノ『ベラスケス礼賛』(1692-1700年ごろ)は205.2×182.2cm! 王を務めたスペイン人大貴族のファミリーポートレートだ。
■個人宅にも入る小さなオランダ絵画
「17世紀のオランダでは、受注生産ではなく、画家が描いた絵画を顧客が買う市場が確立されました。顧客は主に市民階級で、彼らのさほど大きくもない家にも入るようにサイズも小さめ。肖像画も、バストアップが主流です」
小さな絵で知られる、ヨハネス・フェルメール晩年の名作『ヴァージナルの前に座る若い女性』(1670-72年ごろ)は51.5×45.5cm。市民にとって身近な主観や風俗画が好まれたのもこのころの特徴。

■革新的な印象派絵画、サイズは無難!?
「19世紀半ば以降、絵画とは画家の思想を表現するものと捉えられ、サイズも画家の意図に基づいて決められるように。ただ、当時社会からあまり理解されなかった印象派は市民の邸宅に入る無難なサイズにせざるをえなかったようです」
フィンセント・ファン・ゴッホ『ひまわり』(1888年)はゴーガンと住む家の寝室に飾ることを想定した92.1×73cm。部屋に複数飾ることを考えて何枚も描いた。
「ロンドン・ナショナル・ギャラリー展」国立西洋美術館にて10月18日まで開催中(日時指定制)。
※開館時間/9時30分~17時30分(金・土は~21時)、休館日/月曜日(7月13日、27日、8月10日、9月21日は開館)、9月23日。料金/一般1,700円ほか。国立西洋美術館では本展のチケット販売は行いません。事前に入場券をご購入ください。詳細は展覧会公式サイトにて。11月3日より大阪でも開催。
「女性自身」2020年7月7日号 掲載

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