そうだったのか! FX大相場の真実 第86回 ITバブル崩壊局面でも機能した「米大統領選挙年アノマリー」

FXの大相場の数々を目撃してきたマネックス証券、マネックス・ユニバーシティ FX学長の吉田恒氏がお届けする「そうだったのか! FX大相場の真実」。今回は「米大統領選挙年アノマリー」を解説します。

さて、前回までに書いたように、2000年後半に入ると、さすがに一般的にもITバブルが破裂した結果、株暴落が起こっているといった認識が広がっていきました。ではその中で、為替相場はどのような動きとなったのか?
暴落する株を尻目に米ドル/円は一段高へ
2000年の米ドル/円は、長い間1米ドル=101~110円中心で方向感のない小動きが続きました。この年は、4年に一度の米大統領選挙が行われる年でした。その大統領選挙まで米ドル/円は小動きが続きましたが、選挙が終わると一転して米ドル高・円安方向に大きく動き始めたのです。

このような米大統領選挙前後のプライス・パターン、この連載でこれまで何度も見てきましたよね。あの2016年11月の「トランプ・ラリー」、そして2012年11月からの「アベノミクス相場」、さらに2008年の「リーマン・ショック」。この3つに共通したのは、米大統領選挙まで米ドル/円は方向感の乏しい小動きが続いたものの、選挙前後から一方向への大相場へ豹変したということでした(「リーマン・ショック」は、選挙前からかなり動いてはいましたが)。

こういった論理的に説明できないものの、繰り返されるパターンを「アノマリー」と呼び、米大統領選挙年のアノマリーは、その代表例の一つです。そして、2000年11月の米大統領選挙前後の米ドル/円の値動きも、見事なまでに「アノマリー」通りの展開となったのでした。

民主党・クリントン政権の2期8年の任期満了を受けて、米大統領選挙は共和党・ブッシュvs民主党・ゴアの対決となりました。この時の選挙は、一部で投票やり直しという前代未聞のゴタゴタが起こる事態となったのですが、為替相場、米ドル/円は、新統領の正式決定など待てない、というようにジワリと米ドル高・円安方向に動き出したのです。

そして2001年に入り、ブッシュ新政権のスタートとなりました。この頃、株価は誰の目から見ても、ITバブル崩壊の株暴落が起こっていることが明らかな状況となっていました。ところが、暴落が広がる株価を尻目に、米ドル/円は一段高へ向かい、何と4月には1米ドル=125円すら上回るところとなったのです。

以前、2000年3月頃に行ったFX投資家向けのセミナーの冒頭で、私は次のように述べたことを紹介しました。

「米国株のバブル崩壊が始まった可能性があると思っています。過去の似たケースでは、株暴落の震源地の通貨は上がることが多かったので、為替は米ドル高・円安に向かうと思います」。

これは、まさに私がFX投資家向けの情報発信を本格的に始めた頃のことでした。今から振り返ってもとても「当たった感」の強い情報発信ができたと思います(まぐれです)。

暴落が広がる株価、それを尻目に上昇傾向が続く米ドル/円。しかし、そんな流れが変調する場面がありました。きっかけは、2001年9月11日、米同時多発テロ事件でした。NY、マンハッタンを象徴するビルの一つ、通称ツインタワー・ビルに航空機が突っ込むといった衝撃的な映像を見ながら、あまりのことに、しばらく動けなかった米ドル/円でしたが、状況が把握できるようになると、急落に向かいました。

1米ドル=120円程度で推移していた米ドル/円は急落に向かい、それに対して米国政府が米ドルを防衛するべく、米ドル買い介入に出動。それに日本政府なども協力し、協調的な米ドル買い介入が実現しました。

衝撃的な事件を受けた、為替市場での米ドル売り殺到vs米ドル買い協調介入。売買の攻防劇が続く中で、米ドル/円は115円まで続落しました。そこで私は、ある印象的な経験をすることとなったのです。

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