楽天・三木谷浩史会長「この厳しい環境の中で必要なことは…」年始メッセージ 全文

一般社団法人 新経済連盟(新経連)の三木谷浩史代表理事(楽天グループ代表取締役会長兼社長)は1日、2023年の年頭あいさつを行った。
以下全文
新経済連盟は昨年、活動開始から10年を迎えることができました。この10年間、お力添えくださった会員企業各位、多大なご支援をちょうだいした各界の関係者の皆様には改めて御礼を申し上げます。
新経済連盟は10年の時を経て、より一層活発に活動しています。取り扱う政策テーマは、デジタル政策を軸としつつ、カーボンニュートラルや経済安全保障など多岐にわたります。日本の将来を見据えてあるべき政策が取られているかという観点から、積極的に政府に対して意見を提出しています。会員活動においては、経営者向けの必修講義といったセミナーのほか、経営者同士のネットワークづくりや情報交換に向けた会員交流イベント等も実施しています。新型コロナウイルスの制約は依然としてゼロではないものの、アートイベントへの参加などのオフラインイベントも実施できるようになりました。
さて、日本経済に目を転じると、経済全体としては残念ながら依然として停滞した状況が続いています。コロナ禍の前後を問わず低成長・マイナス成長が続いており、特に足元は設備投資の回復の遅れなど、内需の弱さが際立ちます。国際商品価格の上昇や円安から輸入物価が上昇しており、コストプッシュ型のインフレが経済回復の足かせとなっています。団塊世代が75歳以上となる2025年があと2年に迫っており、少子高齢化が今後さらに深刻化し、働き手が減ることは明白です。

この厳しい環境の中で日本に必要なことは、「官頼みの経済から民主導の経済へ」経済構造を抜本的に変えることである、と私たちは考えています。その経済構造の変革、さらには社会構造も含めて「日本を根本的に変えていく」ことを、私たちは「JX」(ジャパン・トランスフォーメーション)と呼んでいます。JXを実現するためには、デジタルとグリーンを軸に新産業を育成しつつ、「民でできることは民に」の原則の下、税金の引き下げを通じ、民が経済成長・社会課題解決に向けた投資を積極的に行えるよう、環境を整備することが必要と考えています。
バラマキ、すなわち非効率な公的支出の拡大は、一時的な需要を拡大できても持続的な成長に結びつかないのは、バブル崩壊後の日本経済が証明しています。このバラマキによって多額の国債残高が積みあがったために金利は人為的に低いものとせざるを得ず、行き過ぎた円安を含め、経済の隅々までひずみをもたらしています。経済に様々な悪影響を及ぼすバラマキを廃し、民主導の経済構造にするためにも、短期的には「税率引き下げ」「コロナからの正常化」、そして中長期的に日本経済の「生産性を抜本的に高めること」が急がれます。
税率の引き下げは経済成長要因、すなわち国内投資の拡大や経済の活性化に向けた取り組みの基盤となるものです。逆に言えば、税率の引き下げがなければ、国内投資が拡大することはなく、高い経済成長を成し遂げることは困難と考えます。法人税率の引き下げは投資・消費増のほか、海外からの対内投資の促進にも寄与します。実際、アメリカでも税金の高いカリフォルニアから税金の低いテキサスに企業や人口が移動する動きがあり、テキサスの人口増加率は全米一となっています。

厳しい環境の中で日本に必要なことは新型コロナへの対応については、感染症法上の位置づけを早期に2類相当から5類相当に引き下げるべきです。5類相当に位置づけられると、基本的に、国や自治体による入院の勧告、就業制限、外出自粛の要請がなくなり、検査や治療の費用は公費負担の対象外となります。感染による就業制限がなくなったり、公費負担が減ったりする効果はもちろんですが、一番経済的に大きいのは、新型コロナウイルスがようやく季節性インフルエンザ並みの「普通の病気」になるというアナウンスメント効果です。
日本では依然として屋内でマスク着用が推奨されており、国民の消費心理に暗い影を落としていると考えられます。一方、米国では昨年3月に全州でマスク着用義務が撤廃され、英国でも昨年1月に屋内の公共施設などで撤廃されています。コロナとの闘いが4年目に突入する状況では、世界に比して日本が経済的に劣後していくことが目に見えており、このような事態を避けなければなりません。
中長期的に民主導の経済構造に変革していくためには、新経済連盟が活動開始以来掲げてきた「イノベーション」「アントレプレナーシップ」「グローバリゼーション」の原点に立ち返り、「生産性を抜本的に高めること」が求められます。具体的には、あらゆる産業や官公庁においてDX(デジタル・トランスフォーメーション)を推し進めること。起業家教育を抜本的に強化するとともに、スタートアップの成長に対する阻害要因を一つひとつ取り除き、次のユニコーンを育てること。そして移民を積極的に受け入れることは、外国人がもたらす多様性がイノベーションの源泉(新結合の促進)となるほか、人口減少への対応という面からも極めて合理的です。

新経済連盟は昨年、次のイノベーションの芽をつぶさないよう、暗号資産税制に関する政策提言を行ったほか、一人でも多くのアントレプレナーを増やすべく、「スタートアップ政策の要望」を訴えました。さらに、政府会議の場で「外国人材の受入れ・活躍推進に向けた要望」について説明し、イノベーションの推進や人口減少への対応という側面から外国人材の受け入れを強化することの重要性を訴えました。
日本経済が世界と伍していくために、「経済団体のスタートアップ」である新経済連盟に求められる役割は日々拡大していると感じています。日本経済が成長する支障となっている旧弊を打ち破り、さらに飛躍できるよう精一杯努めてまいりますので、本年も皆様の変わらぬご支援・ご鞭撻をよろしくお願い申し上げます。(新経連代表理事・三木谷浩史)

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