有事想定で日米一体化 あすから共同統合演習 沖縄県

10日から始まる日米共同の統合演習「キーン・ソード23」は、沖縄県内で初めて民間空港を使用した陸上自衛隊の16式機動戦闘車(MCV)空輸や、自衛隊と米軍の連絡調整所の設置が予定されるなど、日米の運用一体化が色濃い。有事への発展を想定した主な訓練をまとめた。
■民間空港使い初訓練 与那国
与那国空港では、16式機動戦闘車(MCV)を航空自衛隊のC2輸送機で九州から同空港に運ぶ輸送・展開訓練を実施する。
105ミリ砲を搭載するMCVは、タイヤで走行する機動性に優れた戦闘車。空港から駐屯地まで公道を走って移動する予定で、県内の公道使用は初めて。県は防衛省に、住民への影響が最小限になるよう配慮と十分な説明を求めている。
駐屯地では、日米部隊間の連絡調整所を設置する訓練を実施。有事における国民保護などを念頭に「円滑な業務遂行の観点」で、連携を深める狙いがある。
■地対艦ミサイルを展開 八重瀬
陸上自衛隊八重瀬分屯地や南与座分屯地では、地対艦ミサイルの展開訓練が予定されている。
宮古島駐屯地には既に地対艦ミサイル部隊が配備されているが、防衛省によると、有事を想定した本格的な地対艦ミサイル部隊の展開訓練は県内で初めてとなる。陸自東北方面隊も参加する予定。
有事の際、海上での優位性を確保するため、対艦攻撃を想定した訓練に位置付けられる。
地対艦ミサイル部隊は2022年度末に開設予定の石垣駐屯地(仮称)、勝連分屯地にも23年度をめどに配備予定だ。

■日米で補給拠点開設 那覇軍港・牧港補給地区
日米が共同で後方補給の拠点を開設し、装備や物資などの補給品を輸送・集積する訓練も、統合演習としては初めて県内で実施される。
米軍那覇港湾施設(那覇軍港)や、牧港補給地区(キャンプ・キンザー)を使用。陸上自衛隊や米陸軍の補給部隊・車両が訓練に加わる。
米軍の揚陸艦が、物資などが入ったコンテナを県外から那覇軍港に輸送。軍港内で米軍がコンテナを陸揚げした上で、日米共同でキンザーまで運搬し、補給品を基地内で保管する拠点を設ける想定だ。
■負傷者発生想定 前線の患者輸送 沖縄本島から本土へ 嘉手納など
有事の際に日米の負傷者が発生した場合を想定し、前線から後方へ負傷者を送る「患者後送訓練」を共同で実施する。
沖縄本島から本土への後送などを計画。航空自衛隊那覇基地から、C130輸送機で空自の入間基地(埼玉県)へ米軍の負傷者を搬送する訓練だ。
米軍嘉手納基地からは、米空軍のC17輸送機で米軍横田基地(東京都)へ自衛隊の負傷者を運ぶ。
キャンプ瑞慶覧内の海軍病院や自衛隊那覇病院で、負傷者を受け入れる医療拠点の開設・運営に関する訓練も予定されている。
■軍官民共生 地ならし 石原昌家氏 沖国大名誉教授
日米共同統合演習「キーン・ソード23」に向け、県は中城湾港の岸壁使用を許可した。与那国空港の使用も許可する方針だという。
沖縄戦では軍官民の「共生共死一体化」の構図がつくられ、多くの住民被害をもたらした。演習に向けた動きは、まさに軍と官の一体化が進んでいると示している。

中台の軍事衝突の危険性が報道され、日米の訓練が住民の目に触れる形で大々的に行われる。訓練は「やむを得ない」との雰囲気を醸成し、軍官民の共生の地ならしをしていると思える。非常に危険な状況だ。
与那国島で陸上自衛隊が16式機動戦闘車(MCV)を公道で走らせる計画がある。あくまで「移動」で、訓練を否定しているが、演習以外の何物でもない。
沖縄の住民は沖縄戦で戦場を逃げ回った。戦後も、朝鮮戦争、ベトナム戦争、イラク戦争とずっと戦争の存在が身近にあった。沖縄戦体験者は、演習は戦争に連動すると、恐怖心を覚えるだろう。
沖縄は中国と歴史的、文化的にも親交が深い。かつては活発な人的交流もあった。県や県民は沖縄戦を教訓に、積極的に自治体と民衆サイドの外交に力を入れるべきだ。沖縄は戦争をするつもりはみじんもないという意思表示を強く発信するべきだ。
(平和学)

市街地を走行し、那覇駐屯地に向かう自衛隊車両=8日午後1時26分、那覇市小禄(下地広也撮影)

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