[社説]止まらぬ物価上昇 賃上げと支援が必要だ

物価上昇が止まらない。
8月の消費者物価指数は前年同月比2・8%上昇の102・5だった。消費税が増税された期間を除けば、バブル景気直後の1991年9月以来、30年11カ月ぶりの水準だ。
項目別では、電気代が21・5%、都市ガス代は26・4%上がった。エネルギー関連の上昇率はピークだった3月以降、政府の燃油補助金によりいったん鈍化したが、再び拡大に転じた。
食用油が39・3%、食パンが15・0%など生鮮食品を除き食料は4・1%上昇した。エネルギー関連から始まった値上げが、食品や日用品などへ広がっている。
ロシアのウクライナ侵攻による資源価格高騰や、円安進行が響いた。物価上昇は12カ月連続で、政府と日銀が掲げる2%の物価上昇目標は5カ月連続で超えた。
一方、7月の1人当たりの実質賃金は前年同月比1・3%減少し、物価上昇に賃上げが追い付いていない。所得が上がらない中での値上げは、家計を直撃している。
政府は、物価高騰などへの対応として2022年度予算の予備費から総額3兆4847億円の支出を決めた。ガソリンなど燃油補助金を年末まで続けるほか、住民税の非課税世帯1世帯当たり5万円の支給を年内に始める。
ただし、10月にはさらに食料品の値上げが集中する見込みで、一時的な給付金などの効果は見通せない。政府と経済界が協調し、賃上げなど経済の好循環を促す根本的な対策も急ぐべきだ。
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物価指数を押し上げた要因の一つが、輸入品価格の高騰だ。円相場は9月に入って一時1ドル=145円に迫り、円安が収まる気配はない。

一方の原油価格はピーク時の水準から下落基調にあり、物価上昇の主因は資源高から円安に移りつつある。日銀は円安による景気対策を優先して現状を維持する公算だが、値上げラッシュに家計は耐えられるのだろうか。
負担増による影響はあらゆる場面に及んでいる。
県内で取引される子牛の平均単価は4カ月連続で前月を下回った。穀物価格の高騰による生産コスト上昇で、買い取り手の肥育農家が低い価格で競り落とすためだ。
一方、子牛に与える飼料価格も昨年に比べ約7割上がっており、子牛価格の下落は売り手の繁殖農家にとって死活問題となっている。
飼料価格の急激な上昇は、一農家がのみ込めるレベルではない。地域の産業を守るため行政の支援が必要だ。
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日常生活の必需品を中心にした物価上昇は、年金世帯や、ひとり親世帯など経済的に困窮する層への影響が大きい。
10月からは一定以上の収入がある75歳以上の医療費の窓口負担が2割に引き上げられる。
社会保障制度の維持を目的とした施策だが、物価高と重なり健康や暮らしが脅かされるようでは本末転倒だ。
円安や資源高騰は長期化が予想される。これから冬場を迎えることを考えれば、県や市町村による暮らしへの支援も欠かせない。

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