「オミクロンの怖さは『数』だ」 医師が見たデルタ株との違い “災害級”と表現する現状

[新型コロナ 沖縄の今]
新型コロナウイルスの感染急拡大に伴い、感染や濃厚接触で欠勤している医療従事者は県内で千人に迫る。人手が不足するのに、コロナの入院患者は増え続ける。友愛医療センター(378床、豊見城市)は、現場の状況を「災害級」と表現する。手術の延期など一般診療への影響も出ており「医療崩壊」への懸念を強める。医療現場は今どうなっているのか。コロナ対応に当たる担当医師に聞いた。
■緊急医療チーム発足
センターでも感染や濃厚接触で、医師や看護師が多数、欠勤している。具体的な人数は公表していない。
欠勤は病院全体に及び、6日から紹介患者の診療や手術の一部を延期せざるを得なくなった。救急も軽度な患者は受け入れを一時的に止めている。
新型コロナ対策チームのリーダー・西平守邦医師(40)は現状を「災害級」と判断。病院は11日、災害派遣医療チーム(DMAT)を発足させた。限られた数の医師や看護師を効率的に配置する能力にたけた人員を集め、苦境を乗り切る態勢を敷いた。
■社会が機能不全に陥らないために
ただ、欠勤が慢性化すると対症療法にも限界が来る。西平医師は濃厚接触者の定義や、就業制限を見直すべきだと主張。14日間の行動自粛期間を短くするなどし「社会が機能不全に陥らない新たな運用が必須だ」と感じている。
国は無症状の医療従事者は、毎日の仕事の前に抗原検査などで陰性を確認できれば働けるとしている。センターでも陰性確認をした上で、行動自粛から14日以内の職員が数人、働いている。

ただ「抗原検査で陰性が出たからといって、本当に感染させないのか」と不安を感じるスタッフもいる。
「緩和だけでなく、職場で安心して働けるようサポートする仕組み作りが必要だ」と感じている。
■入院患者の年齢層広がる
「直下型の地震が起きたようだ」。新型コロナウイルスの影響で医療従事者の欠勤が相次ぐ、友愛医療センター(378床、豊見城市)。現場の医師は窮状を、こう表現する。「第6波」で主流のオミクロン株はデルタ株より症状が軽いとされるが、問題は感染力の高さ。感染者と濃厚接触者が増え続ければ欠勤が慢性化し、社会の機能をまひさせかねない。感染者の増加は、重症者が出るリスクも高める。病床不足も忍び寄ってきた。(社会部・山中由睦)
センターの受け入れは、中等症のコロナ患者が中心だ。集中治療室などを除き、16あるコロナ病床のうち13が埋まり、病床の逼迫(ひっぱく)が進みつつある。数日前まで、入院患者は20代と80代で二極化していた。
取材した12日時点では50~60代の患者も出てきており、患者の年齢層が広がっている。
新型コロナ対策チームのリーダー・西平守邦医師(40)は、患者の症状は、デルタ株が中心だった「第5波」と大きく違うと分析している。
■「油断はできない」と警戒を促す
デルタ株の患者は、発症後1週間~10日がたって肺炎になることが多かった。「今回の入院患者は、発症後3~5日ほどで熱が下がっている」。入院患者は基礎疾患など重症化リスクを持つが、酸素投与が必要な患者は1人にとどまる。
そのため、患者は10日間の入院期間を待たず、1週間ほどでホテル療養に移行している。デルタ株に比べて、入退院の回転率は上がっているという。
しかし、西平医師は「油断はできない」と警戒を促す。流行の中心と思われるオミクロン株は症状が軽いとされるが、感染の中心が若者から高齢者に移っていけば、重症者が増える可能性がある。
感染力の高さが社会機能を止めるリスクも、欠勤の続出で顕在化している。
「既に医療を含めた社会インフラが止まり始めている。オミクロン株の怖さは『数の暴力』だ」
(社会部・山中由睦)

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