“出前館詐欺”蔓延か?「山田太郎」名義でクーポン初回割引悪用の手口と抜け道

「他の人もやっているから大丈夫だろうと安易な考えでクーポンコードを何度も利用した」

逮捕された料理人の男がこう供述しているように、すでに蔓延しているのか。

確かに携帯電話の番号さえ手に入れば、誰でも簡単に不正ができる。男は「山田太郎」という別人になりすまし、「初めての方限定クーポン」を繰り返し入手していた。

宅配注文サイト「出前館」の初回利用時に使える値引きクーポンをダマし取ったとして埼玉県所沢市の団体職員、沢涼太容疑者(28)が12日までに電子計算機使用詐欺の疑いで警視庁サイバー犯罪対策課に再逮捕された。

■SIMカードで大量の携帯電話番号を入手

沢容疑者はコロナ禍の2020年12月~21年7月、1枚300円のSIMカードを約90枚、ネットで購入。それぞれ違う電話番号を手に入れ、「山田太郎」の名前で偽の新規アカウントを約90個作成した。初回注文時に使える300~2000円引きの割引クーポンを繰り返し不正に入手し、ラーメン、カレー、ハンバーガー、牛丼を45店舗に90回注文し、約13万円分を詐取していた。

「アカウントを作成するにあたり、本人確認のため携帯電話の番号を入力する必要があります。沢容疑者は1つの携帯電話でSIMカードを何度も差し替え、せっせと新規アカウントを作成していた。90件のうち80件が山田太郎名義でしたが、それぞれ電話番号が別の山田太郎だった。1人1つのアカウントしか作れず、偽名の使用は不可という出前館の利用規約に抵触するため、会社から割引クーポンをダマし取ったということで、取り締まりの対象となった」(捜査事情通)

調べに対し、「新型コロナウイルスの自粛もあり、幼い子どももいるので家で落ち着いて食べたかった」と供述している。

「沢容疑者は子ども2人の4人家族です。店舗ではなく、施設の食堂で調理の仕事をしていました。新型コロナの感染拡大で外出自粛となり、子どもたちがまだ小さかったため、出前館を利用するようになった。注文した料理は家族みんなで食べていた。そのうち使い回しができるのではと思い付き、不正に手を染めた」(前出の捜査事情通)

沢容疑者は昨年11月、アプリ登録時などの他人のなりすましを防ぐセキュリティー対策の本人確認「SMS認証」を不正代行したとして私電磁的記録不正作出・同供用の疑いで同課に逮捕され、今回の事件発覚につながった。

SMS認証は利用者が事業者から携帯電話のショートメッセージで受け取った認証コードを入力し、本人確認を行う。沢容疑者は昨年2~7月、携帯電話の番号と本人に代わって事業者から届いた認証コードを依頼者に提供し、1回につき2000円で代行を請け負い、約60万円稼いでいた。認証代行は依頼者が匿名でアプリなどを利用できることから、ネットオークションの不正出品やアカウントを停止された「転売ヤー」などに悪用されている。

出前館で不正使用したSIMカードを、不正代行でも悪用したのだろう。「犯罪になると思わなかった」と話しているというから、食費節約のつもりだったのかもしれないが、家族と離れ離れになり、メディアで名前と顔をさらされ、後悔先に立たず。詐欺をやっている「他の人」も今すぐやめるべきだ。

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