電子レンジで温めても”冷たく”仕上がる「冷やし中華」が誕生 ニチレイフーズに”開発秘話”を聞いた

ニチレイフーズは3月1日から、電子レンジで温めても冷たく仕上がる「冷やし中華」を発売する。調理の手間がかかる「冷やし中華」を簡単に短時間で作れると訴求する。

本商品の袋を開けると、別トレーに分けられた冷凍麺と具材と醤油だれが入っている。麺の上には小さな氷がいくつか置かれていた。半解凍された醤油だれを取り外し、600ワットの電子レンジで2分50秒温めれば完成だ。

電子レンジでチンしたら温かくなってしまいそうだが、メディア向け試食会で提供された冷やし中華は実際に冷たかった。どういう仕掛けなのだろうか?

ニチレイフーズの家庭用事業部 家庭用商品グループリーダー城戸俊治氏は「秘密は”氷”にある」と話す。電子レンジは、食品に含まれる水分子をマイクロ波で振動させて加熱している。しかし、氷は水分子が結合しているためマイクロ波の影響を受けにくく、溶けにくいという。一方、冷凍は氷よりも水分子が点在しているため、温まりやすい。

電子レンジに入れたときの食品ごとの「温まりやすさの差」を応用して開発したのが今回の「冷やし中華」なのだ。最後に、半冷凍の醤油だれを加え、溶けきらなかった氷と混ぜ合わせることで麺がしまり、コシが出るように工夫した。

本商品は構想から約5年、開発まで約3年かかっている。氷を使用することは決まっていたものの、理想の時間内で麺と具材の両方を最適な温度や品質に仕上げるのに時間がかかった。1人前360グラムで、価格はオープン価格。販売期間は3月1日~9月1日を予定しているが、お客の反応を見ながら調整していくとしている。

伸び続ける冷凍食品市場
城戸氏は「当社の冷凍食品として冷やし中華を販売するのは、今回が初めて」と話す。なぜ「冷やし中華」だったのだろうか。背景には、冷凍食品市場の拡大と麺類需要の高まりがある。

インテージの調査を踏まえて、ニチレイフーズは2021年度の家庭用冷凍食品市場を過去最高の6800億円と見込んでいた。また、21年4~9月の冷凍調理品、特に「ラーメン・その他麺類」の市場規模は19年同期比で137%となっている。「うどん・そば類」(同116%)、「パスタ類」(同114%)と比較して伸長していることが分かる。

また、ニチレイフーズは社会構造の変化にも注目している。城戸氏は「女性や高齢者の就業率の高まりや、世帯人数の変化に伴い、家庭内での食事に加工食品や総菜などを活用するライフスタイルの変化が見られます。加えて、一昨年からは新型コロナウイルスの感染症対策におけるテレワークやオンライン授業などの浸透、在宅時間の増加など社会環境の変化も起こっています」と話す。

調理や食事を家庭外に依存するライフスタイルの定着に加え、単身世帯の増加による「パーソナルユース需要」(1人前規格の主食・主菜や片手で食べられる軽食メニューの需要)が増加していることから、単身世帯を狙った新商品の開発に至った。販売個数目標については「現時点でお話しするのは難しい」(城戸氏)という回答だった。

自宅で冷やし中華をつくるには、麺を茹でてから冷水でしめるという工程に加え、具となる材料を他の麺メニューより多く用意しなければいけないなど”手間”が発生する。いつでも食べたいときに火を使わず、短い時間で食べられるという同社の自信作は消費者の心を掴めるか。

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