“暗号資産”詐欺「女性」装う巧妙手口【調査報道23時】

被害総額20億円以上、暗号資産をめぐる巧妙な詐欺事件です。多額の被害に遭った男性が、その手口の一部始終を語りました。マッチングアプリでの出会いから始まり、犯行グループは、いくつもの巧妙な罠を仕掛けていました。
被害額は300万円。始まりは、どこにでもある出会いだった。
「暗号資産」投資詐欺の被害者 Aさん
「最初はマッチングアプリで普通に出会いを求めてたんですけど、それプラス投資に興味があったので、自分から声をかけにいったような感じ」
マッチングアプリで交際相手を探していたAさんの目にとまったのは、「ちか」という女性。容姿端麗で、手作りだろうか、クッキーを顔に近づけ微笑んでいた。「ちか」の年収は1500万円以上で、投資で利益を得ていたという。やりとりはすぐに始まった。
被害者Aさんと「ちか」のLINE
「ちかだよー!改めてよろしくお願いします」
「最初は私と同じ通貨から初めてみたらー?」
「その方が利益に繋がりやすいと思うし」
「ちか」が持ちかけてきたのは「暗号資産」。すぐに投資話を持ちかけてきた。暗号資産とはネット上で取り引きされ、財産的な価値を持つ電子データで、「仮想通貨」とも呼ばれていた。買い物や送金などもできるが、現実の紙幣や硬貨のようなものは存在しない。暗号資産は「ビットコイン」が有名だが、世界で1万種類はあるとされ、多くの人が投資目的だとされる。
「ちか」が投資を持ちかけてきたのは、「Ark Cash(アークキャッシュ)」と呼ばれる暗号資産だった。

被害者Aさんと「ちか」のLINE
「ark cashに関しては、最安値から始めるわけだから下がるリスクが低い分、将来のためになると思うよ」
「暗号資産」投資詐欺の被害者 Aさん
「とにかく今ビットコイン以来の期待できる通貨だよって。怪しいと思って手を出さないのは普通の人。成功する人は買うよねって。私みたいになれるよ、みたいな」
Aさんは当初50万円ほどを投資しようと思っていたが、連絡を取り合ううちに・・・
被害者Aさんと「ちか」のLINE
「どうせやるならもっと目指さなきゃー!笑」「逆に少ない資金だと負けるリスクが高くなっちゃうよ!」
「ちかちゃん疑う訳ではないけど、安心欲しいから ちかちゃんの2000万入れたとこ見せてもらえない?」
「いいよー!」
送られてきた画像には「アークキャッシュ」に2000万円が投じられたことが記されていた。電話での語り口も若いのに賢そうだったと感じ、Aさんは300万円投資してしまった。その後、毎日あったLINEのやりとりは徐々に少なくなり、3か月後、ついに繋がらなくなったという。
「暗号資産」投資詐欺の被害者 Aさん
「うわ、やられたって思ったのと、警察とか金融庁とかいろいろ、消費者センターとか相談したんですけど、投資は自己責任ということで、なんにもかけあってもらえなかった」
ところが被害から2年後、事件は動いた。今月8日、東京のインターネット関連会社社長・山田大紀容疑者(26)らが詐欺容疑で警察に逮捕された。独自に開発したとされる暗号資産「アークキャッシュ」などを「将来値上がりする、自分も投資している」とうそをつき、4000万円相当の別の暗号資産をだまし取ったとみられている。捜査関係者によると、山田容疑者らはマッチングアプリを悪用、女性を装い電話をかけていたという。その手口とは・・・

ボイスチェンジャーアプリ。山田容疑者らは女性の声に変換し、やり取りしていたというのだ。記者がこのアプリを使ってみると・・・
記者
「私の声を女性の声色に変えてみたいと思います」
声を吹き込むだけでは変化はなかったが、「M→W」というボタンを押すと・・・
記者
「私は花子といいます。よかったら今度、一緒に食事しません?」
さらに調整を加えた。
記者
「男性の声が女性の声に変わりました。私は男性です」
男性記者の声が完全に女性の声に変わった。
山田容疑者らがアプリを使って「りほ」という女性を名乗り、被害者の1人に電話をかけた実際の音声が残っている。
りほ
「もしもーし、聞こえる?」
男性
「聞こえます、聞こえますか?」
りほ
「聞こえます。はじめまして。〇〇君であってる?よろしくね。電話でははじめましてだけど、緊張してる?」
男性
「たしかに。りほさんはどうですか?」
りほ
「私は大丈夫かな。ラインしてたし。今は投資一本で生活しているよ。学生の頃からお兄ちゃんの口座を使ってトレード自体はしていたから、(トレーダー業は)もう10年くらいかな」
これが男性の声だと気づけるだろうか。
山田容疑者らはこうした手口で、およそ1500人から総額20億円以上を集めていたとみられている。さらに取材班は、逮捕前の山田容疑者が関係者に対し、手口の一端を語った音声を入手した。
手口について語る山田容疑者の音声
「僕が預かって運用してあげてただけですけど、投資家ですけどっていう話なんで、性別を変えただけだと思います。女の方が売りやすいよねっていう。めちゃめちゃ悪い言い方すると、現代版のオレオレ詐欺的な感じなのかもしれないですけど」

山田容疑者は、男性よりも女性を装った方が警戒されずに投資話に乗ってくると話した。
手口について語る山田容疑者の音声
「500億とか集めても何も(罪に)ならないじゃないですか。(法律が)追いついてないから、たぶん警察ですら全部わかってないんじゃないですか」
警察は、そもそも「アークキャッシュ」という暗号資産自体に市場価値はなく、詐欺に使われた、まさに「仮装」だったとみている。
サクラエクスチェンジビットコイン 山本仁実代表
「こちらが暗号資産交換業として登録を受けている証明書になります」
現在、国内で31の事業者が暗号資産の取引所として、財務局の許可を得ているが、架空の暗号資産を使った詐欺被害が相次いでいると話す。
金融庁は、暗号資産を利用する際は、登録を受けている事業者か必ず確認するよう呼びかけている。(24日23:18)

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