大和証券、セゾングループのFintertech、クラウドファンディング参入で市場は変わるか?

大和証券グループとクレディセゾンのグループ会社、Fintertechは11月24日、貸付型クラウドファンディング事業への参入を発表した。サービス名は「Funvest」。信用力のある貸し付け先を選定し、利回り2~3%を中心とした商品ラインアップを設ける。

「親会社の信頼性を打ち出していきたい。大手でクラウドファンディングをやっているところはない中、我々がやることが強みだ」と、武田誠社長は話した。

SBI撤退後のクラウドファンディングに参入
貸付型クラウドファンディングは、一般にソーシャルレンディングとも呼ばれる。業界トップをmaneoとSBIグループのSBIソーシャルレンディングが競っていたが、いずれも不祥事により苦しい状況にある。

maneoは2018年に集めた資金の不正利用が発覚し、金融庁が行政処分を行ったほか、募集した多くのファンドで延滞が発生し、総額260億円あまりの分配が滞っている状況だ。また、SBIソーシャルレンディングでは、貸し付け先企業が資金を不正流用したことを受けて、投資家に対し損失を補填。それを受けて事業から撤退が決まった。

いずれも投資家にうたった金利水準は高く、8~10%程度の案件も散見される。こうした高リターンの案件はハイリスクであり、貸出先事業者も大手の信頼がおけないところが混じっていたことが、問題の根幹にあった。

「各社は高いリターンを競い合っていた。そうすると、融資先もリスクが高くなってくる。リターンの競争ではない世界で、銀行預金よりもいいが、ハイリスクにさらされない商品を探している。危なそうなところは勝負しにいかない」と武田氏は話し、安心感のある低リスクな貸出先を中心とする考えだ。

利回り3%、為替ヘッジ付き、自己勘定での投資も
当初の商品は、モンゴルの大手商業銀行であるモンゴル貿易開発銀行(TBD)への貸付となる。総額2000万円、貸付期間は12カ月で、想定利回りは3%。

従来のクラウドファンディングとの違いは、大きく2つある。1つはこのような海外案件について、為替ヘッジを提供することだ。海外資産への投資は、為替レートの変動で損益が生まれてしまうが、これをヘッジすることで安定した収益を提供する。貸付先は、国内と海外で半々くらいを想定している。

2つ目は、Fintertechが自己勘定を使い、ファンドの成立に先立って貸付が可能だという点だ。通常クラウドファンディングは、投資家から融資を募り、目標金額に達して始めて成立する。ただし、これは貸付先にとっては融資が実行されるかどうか分からないという問題があった。

Funvestでは、Fintertechが自社の資金を使って先行融資も行う。これにより、貸付先の不安を低減する狙いだ。

「日本のクラウドファンディングは全体のパイが伸びる余地がある。その中である程度のシェアを取っていきたい。融資総額はトップサービスでも数千億円規模だが、4~5年後には先頭企業に追いつきたい」と武田氏は言う。

maneoとSBIソーシャルレンディングという大手の失速で、ソーシャルレンディングという名称には傷がついた。同様の仕組みを使う各社も、敢えてソーシャルレンディングという名前は使わず、クラウドファンディングや貸付投資といった名称を使う。

またハイリスク・ハイリターンのイメージを払拭すべく、大手企業への貸付を中心とし、利回りを低く抑えるサービスが増加している。大和証券グループとセゾングループ傘下のFintertechが参入することで、この分野の活性化が期待される。

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