社説[「子の貧困」新計画]構造的な不利の解消を

県は、2022年度から5年間の新たな子どもの貧困対策計画について骨子案をまとめた。
県内の子どもが置かれた厳しい状況はこれまでの調査で明らかだ。次期計画では確実な実行が求められる。
骨子案には、大人の代わりに家事や家族の介護を担う「ヤングケアラー」支援など、新たな課題への対応が盛り込まれている。
ヤングケアラーの問題は以前からあるものの、当事者である子どもから声は上がりにくく、ほとんど注目されてこなかった。行政が、こうした声なき声に耳を傾けようとする姿勢は評価したい。
一方で、骨子案が「早期発見と適切な支援につなげるための体制の構築に取り組む」とのみ言及するのは切迫感に欠ける。必要なのは、困難に直面する子どもたちへの迅速な対応だ。
骨子案ではまた、改善を目指す主要指標四つを新たに設定した。
このうち「困窮世帯の割合」「公共料金の未払い経験」「食料や衣類が買えない経験」の3指標は、より生活実感に近いが、全体的な所得水準が向上することによって改善が図られる。
これに対し子育てで頼れる人がいない人の割合は、困ったとき身近に頼れる人がいるかを表す点で注目すべき指標だ。
社会とのつながりを欠いた状態は子どもの孤立を招く可能性もある。指標化によって、経済的な貧困だけでなく子どもの健全な育ちにも目を向けたい。
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現行の県子どもの貧困対策計画は、小中高校などライフステージごとの切れ目のない支援などを打ち出し16年度から始まった。

県内では「子ども食堂」などの民間の取り組みが先行し、社会全体で支援の機運が高まった。
官民を超えた取り組みもあり、骨子案と同時に公表された現計画の最終評価では、当初3割近かった小中学生の困窮世帯割合が25%となるなど一定の改善が進んだ。ただ全国的には依然高水準だ。
現在は、新型コロナウイルス感染拡大の影響で子ども食堂など民間の支援活動は縮小し、雇用の不安定化も進む。経済的に苦境にあった家庭は、さらに追い込まれているのが現状だ。
子どもの貧困は「親の貧困」と表裏の関係だ。コロナ禍で格差解消の兆しを後退させてはならない。
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現計画の最終評価では、41指標のうち12が「達成」、25が「改善」とされた。一方で新型コロナによる受診控えなどが影響した就学援助世帯の虫歯未受診者の割合など、3項目は後退している。
これまで県が重ねてきた子どもの貧困に関する調査では、健康や学力面、将来への希望という点で構造的に不利な状態にある沖縄の子どもたちの姿が浮き彫りになった。
子どもの貧困対策計画は、次期沖縄振興計画の行動計画の一つという位置付けだ。振計の目標である「誰一人取り残さない社会」と連動した取り組みを求めたい。

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