2021年の年末調整、変更点はある? 今年の注意点を解説

今年も、気づけば年の瀬が近づいてきました。毎年この時期に行うのが、「年末調整」ですね。昨年2020年には大きな変更点がありましたが、今年はどうなのでしょうか。2021年の年末調整のポイントと、おさらいとして2020年の変更点を解説しました。

■2021年の年末調整のポイント

今年2021年の年末調整は、主に以下の4つの点において変更がありました。押印の不要を除いて特に大きく変わったところはありませんが、ポイントを押さえておきましょう。
1.押印の不要

2021年の年末調整は、2020年と同じ手順です。ただし、令和3年度税制改正により、今年から年末調整における以下の書類について押印が不要となります。

(1)給与所得者の扶養控除等(異動)申告書
(2)給与所得者の保険料控除申請書
(3)給与所得者の基礎控除申告書兼給与所得者の配偶者控除等申告書兼所得金額調整控除申告書
(4)住宅借入金等特別控除証明書(いわゆる「住宅ローン控除証明書」)
2.電子化の承認が不要

国税庁は、2020年から国として「年末調整の電子化」を推進する方針を示していました。これにより、令和2年分以降の年末調整から、生命保険料控除、地震保険料控除、住宅借入金等特別控除に係る控除証明書等について、勤務先への電子データ提供が可能となりました。

2021年の変更点は、この電子化において承認が不要となる点です。これまで、年末調整の電子化をするためには、事前に「源泉徴収に関する申告書に記載すべき事項の電磁的方法による提供の承認申請書」を提出する必要がありましたが、令和3年4月1日以降に従業員から年末調整の書類をデータで受け取る場合には、この承認申請書の提出が不要となりました。

3.住宅ローン控除の特例の見直し

住宅ローン控除(正式には「住宅借入金等特別税額控除」)は、住宅ローンを組んで家を購入したり、バリアフリーや省エネなどのリフォームを行ったりした場合、原則として10年間、年末の住宅ローン残高の最大1%が控除される制度です。しかし現在、特例措置として、控除期間は13年間に延長されています。

「住宅ローン控除の特例の見直し」とは、「特別特例取得」に該当する住宅を取得した場合の住宅ローン控除の特例(控除期間13年)について、床面積の要件や所得要件等を見直したうえで、2年間延長するというもの。

令和3年1月1日~令和4年12月31日までに、以下の期間で取得した住宅に住んでいる場合は、控除期間13年の住宅ローン控除を受けることができます。
○<特別特例取得>

消費税率が10%の住宅で次の期間に契約締結したもの
・新築(注文住宅)…令和2年10月1日~令和3年9月30日
・分譲住宅、中古住宅の取得、増改築等…令和2年12月1日~令和3年11月30日

なお、住宅ローン控除の特例は、床面積が40㎡以上50㎡未満の住宅でも適用されますが、合計所得金額が1,000万円を超える年度では利用できません。
4.退職所得課税の見直し

従業員が退職金を受け取った場合、退職所得に対して税金がかかります。これまでは、以下の式で所得金額を計算していました。

退職所得金額=(退職金の金額-退職所得控除額)×1/2

しかし、令和3年度税制改正により、勤続年数が5年以下の従業員で「退職金の金額-退職所得控除額」で計算した金額が300万円を超える場合、超えた部分については「1/2」が適用できなくなりました。勤続5年以下で、これに当てはまる人はそう多くないかもしれませんが、念のため頭に入れておきましょう。

■2020年の変更点を復習

2020年の年末調整では、主に以下の点が変更となりました。再度、確認してみましょう。
1.給与所得控除の変更

給与の収入金額に対する給与所得控除額の計算方法に変更がありました。これにより、「年末調整等のための給与所得控除後の給与等の金額の表」も改正されています。詳しくは、国税庁ホームページで確認してください。
2.基礎控除および所得金額調整控除の変更

これについては、いくつかの変更がありました。
(1)基礎控除の変更

基礎控除額が変更され、2019年までは合計所得金額に制限がなかったのに対し、所得が2,500万円を超える人は基礎控除が受けられなくなりました。また、所得が2,500万円以下の人の基礎控除額も段階的に変更となりました。
(2)子ども・特別障害者等を有する者等の所得金額調整控除の創設

その年の給与収入金額が850万円を超える所得者のうち、以下に該当する人は、総所得金額を計算する場合、給与収入金額(その給与の収入金額が1,000万円を超える場合には1,000万円)から850万円を控除した金額の10%相当の金額を、給与所得の金額から控除できます。

・特別障害者に該当する人
・23歳未満の扶養親族がいる人
・特別障害者である同一生計配偶者もしくは扶養親族がいる人
○(3)「給与所得者の基礎控除申告書」および「所得金額調整控除申告書」の新設

(1)(2)の改正により、「給与所得者の基礎控除申告書」と「所得金額調整控除申告書」が新たに設けられました。

(1)~(3)のほか、源泉徴収簿の様式に変更がありました。
3.各種所得控除等を受けるための扶養親族等の合計所得金額要件等の変更

同一生計配偶者、扶養親族、源泉控除対象配偶者、配偶者特別控除の対象となる配偶者および勤労学生の合計所得金額の要件がそれぞれ10万円引き上げられました。

また、配偶者特別控除額の算定の基礎となる配偶者の合計所得金額の区分についても、それぞれ10万円引き上げられています。一方、家内労働者等の事業所得等の所得計算の特例について、必要経費に算入する金額の最低保障額は、10万円引き下げられています。
4.ひとり親控除および寡婦(寡夫)控除に関する変更

所得者がひとり親である場合には、ひとり親控除として、その人のその年分の総所得金額、退職所得金額または山林所得金額から35万円を控除することとなりました。また、寡婦の要件が見直されたうえで、寡婦(寡夫)控除がひとり親に該当しない寡婦に係る寡婦控除に改組されました。
■年末調整の準備はお早めに

仕事もプライベートも何かと忙しい年末。今年の年末調整では昨年ほど大きな変更はありませんが、ポイントを押さえたうえで、書類の準備などは早めに済ませておきましょう。

武藤貴子 ファイナンシャル・プランナー(AFP)、ネット起業コンサルタント 会社員時代、お金の知識の必要性を感じ、AFP(日本FP協会認定)資格を取得。二足のわらじでファイナンシャル・プランナーとしてセミナーやマネーコラムの執筆を展開。独立後はネット起業のコンサルティングを行うとともに、執筆や個人マネー相談を中心に活動中 この著者の記事一覧はこちら

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